2013年、東京での2020年オリンピック開催が決まり、2014年12月に正式種目候補に挙げられて話題となっているのが、空手。一口に空手と言っても、大きく分けて「ライトコンタクト」と「フルコンタクト」という二つのルールが存在します。なぜ二つのルールが出来上がったのでしょうか。
ライトコンタクトとは、直訳すれば軽い接触。対してフルコンタクトとは完全に接触するという意味を持ちます。大した違いじゃないのと思われるかもしれません。けれどこの二つは異なる歴史を歩んできました。
たとえばライトコンタクトルールは<安全>を重視し、対戦者に直接触れない、という“ノンコンタクト空手”から発展しています。拳や脚にサポーターをつけ、できるだけ対戦者へのダメージを少なくしながら技の的確さを競うのです。こちらは、KARATEと表記するのが相応しく、スペインに本部を置く世界空手連盟(WKF)が主体。日本では全日本空手道連盟がWKFの承認を受け、およそ30年ほど前からオリンピック正式種目化を目指してきました。
一方、<実践>を重視するフルコンタクトルールは、基本的に素手・素足で競技し、対戦者との勝負をつけることが主眼となります。
こちらは空手界のカリスマとして知られた大山倍達氏が1964年に設立した国際空手道連盟極真会館を母体とし、氏の弟子達がそれぞれ独立して流派を作り、世界各地に散らばったという歴史を持ち、まさに空手と漢字で書くのが相応しい存在。けれど250ほどの流派となったフルコンタクト空手は、長年組織化されることがありませんでした。
空手がオリンピックの正式種目候補として取り上げられたというニュースで、拳にグローブを付けて対戦する試合映像を見て、「あれ?」と思われた方も多いかもしれません。素手で本気で闘い、対戦者とじかに触れながら対決するというのが、一般的にイメージされるであろう武道としての空手だからです。… 続きを読む