最前線部隊の営業マンのマネジメント術(第1回)

あなたの部下は本能型?感情型?それとも思考型?

2015.03.04 Wed連載バックナンバー

経営層が最も解決すべき課題は「収益の拡大」ではない?

 日本企業を取り巻く競争はますます激化し、顧客ニーズも多様化を極める中、経営層が解決すべき課題は山のように膨れていることでしょう。

 自社以外の企業は、一体どのような課題を抱えているのでしょうか。その答えは、NTTラーニングシステムズ株式会社が2013年3月に公表をした『企業における人材育成実態調査2012』という調査の結果を紐解くことで、見えてきます。

 国内企業343社からの回答によると、「経営層が認識している内部的な課題(Q10)は何か?」という問いに対して最も多かったのは、3年連続で『人材育成(85%)』であり、2位の『利益の拡大(55%)』を大きく上回っていることが分かりました。また、第3位には『営業力の向上(52%)』がランクインしています。

 この上位3つの課題には、それぞれ密接な関連がありそうです。3位の『営業力』が上がれば、2位の『収益の拡大』を見込むことができます。また、『営業力』を向上するためには、営業マン1人1人の能力向上に加え、マネジメントをする上司の能力向上や営業マンをサポートする環境が求められます。

 つまり、85%の企業が課題だと回答した『人材育成』を少しずつでも改善することができれば、営業力は向上し、利益の拡大にも繋がることでしょう。

 そこで、本稿では、企業内にある部門の中でも売上に直結する営業部門にフォーカスし、売上結果に繋がるような営業マンのマネジメント術について考察を深めたいと思います。

 

人間は9つのタイプがある?

 今までさまざまな部下と接する中で「どうしてコイツはそんなことに拘るのだろう?」「なぜ壊れるほど石橋を叩くほど慎重なのだろう?」と、理解に苦しむケースに遭遇したことはありませんか?

 その謎は『エニアグラム』という性格論によって解明することができます。

 エニアグラムはコーチングの場でも利用される理論で、『人間の本質は9タイプに分けることができる』というものです。その9タイプとは以下のとおりです。(NPO法人日本エニアグラム学会HPより。以下同じ)

タイプ1:改革する人
タイプ2:人を助ける人
タイプ3:達成する人
タイプ4:個性的な人
タイプ5:調べる人
タイプ6:忠実な人
タイプ7:熱中する人
タイプ8:挑戦する人
タイプ9:平和をもたらす人

 そして、これら9タイプは更に3つのグループに分けられます。

【本能センター(本能型)】
タイプ8・タイプ9・タイプ1
※生存と行動に関係

【感情センター(感情型)】
タイプ2・タイプ3・タイプ4
※自分の気持ちをどう受け取って表現するかに関係

【思考センター(思考型)】
タイプ5・タイプ6・タイプ7
※安全な場所を探すことと関係

 

どのタイプの営業マンなのかを知る質問とは

 部下をはじめ、自分や周囲の人がエニアグラムの性格論でいう9タイプのどこにいるのか判別する方法は、NPO法人日本エニアグラム学会のホームページなどに記載があります。

 しかし、最初から厳密に9タイプに分けなくとも、本能型・感情型・思考型の3つに大別することができれば、部下への理解が深まり、能力を発揮しやすい場を明確にすることができます。

 たとえば、1日中営業マンと同行営業をして、6軒も7軒も企業を訪問して、夕方前に喫茶店で一服をしていたとしましょう。ここで営業マンに対し「次はどうしますか?」と質問をぶつけてみて下さい。

 その内容をよく分析すると、本能型・感情型・思考型の3つに大別できるような回答が返ってくるはずです。

 

取引先の担当者はどのタイプか?

 この3タイプに分類することは、自社の営業マンだけでなく、取引先の担当者について行うことで、さらに効果が増します。取引先の担当者がこの3つのどのタイプか分析するだけで、自社の営業担当の中でどの人間をつけた方が相性良く営業力が発揮できそうかという点が明確になるのです。

 たとえば、取引先の担当者が思考型であるのに、自社側が感情型の担当者をつけると、話が上手くまとまる確率は極めて低いことでしょう。

 また、先方が熱意を重んじるタイプの担当者・社長であれば、契約に向けた最後のひと押しとして、プラスの感情で熱意をアピールできるような担当者をつけた方が上手くまとまるでしょう。

 まずは最低でも自社営業マンを本能型・感情型・思考型の3タイプに分けてみて、営業マンの適材適所がどこか検討してみましょう。

 

本能型・感情型・思考型は更に3パターンに分けられる

 もっと詳しく部下のことを知ってから適材適所を判断したいということであれば、本能型・感情型・思考型の3タイプに分けた後で、もう1点確認してみましょう。本能型・感情型・思考型はその中でさらに3パターンに分けることができます。

【自己主張型】

 やり方は異なるものの、困難やストレスに遭遇すると、それに対抗していくことで解決を図ろうと試みるタイプ。

【業務遂行型】

 困難なストレスに遭遇すると、他人の役に立つようにと他者や自分の心にある要求に合わせて解決を試みるタイプ。

【引き下がり型】

 世界との関わりから離れて、想像の世界に入り込むことでストレスに対抗するタイプ

 本能型・感情型・思考型に、上記の自己主張型・業務遂行型・引き下がり型を加えると、以下の表になります。

 そしてこれら9のタイプは、それぞれのタイプが成長しやすい方向というものが決まっています。以下の表をご覧ください。

 このようなルールが分かっていれば、改革心はある人は容易に熱中しやすい人になりやすいものの、挑戦する人や人を助ける人になるには、かなり大変であるということが分かって頂けるはずです。

 上記の表は人材教育にも使えますので、マネジメントをしている人はぜひ覚えてみてください。

 

フツーの営業マンが売り上げを持ってくるとは限らない

 競争環境が激化し、顧客ニーズが多様化している今、フツーの営業マンが100%の確率で売上をもってくるとは限りません。

 もしかして、いつも外回りに行きたがらず、あなたの目前で難しい顔をして座っている『感情型・引き下がり型の営業マン』が、ひょんなところから自身の個性を活かしてン百億円もの売上契約をとってくるかもしれません。

 人材教育・収益拡大・営業力向上に向けた第一歩は、営業マンのタイプを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

矢崎 武一郎

矢崎 武一郎

フリーライター
 
幹部候補生への社員研修を提案する企業で研修プログラムを構築する業務を10年行う。その経験を活かし、現在では人材育成や経営分野に関する記事執筆を行っている。

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