東京23区・北東部に位置する足立区。江戸時代より宿場町として栄えた千住地区を筆頭に、昔ながらの風情を残す下町エリアだ。
その一方、「犯罪が多い」「治安が悪い」といったネガティブなイメージを持たれることもしばしばで、23区内においてはやや魅力に欠けるところもあった。
しかし、そんな足立区が変わりつつある。
ここ数年、「犯罪発生数(刑法犯認知件数)」が激減。区の中心部である北千住は「住みたい街ランキング(SUUMO調べ)」の上位に躍進し、区が行ったアンケート調査でも「足立区に誇りを持つ」区民が増えているという。
区のイメージを大きく変える契機となったのは、足立区が5年前より取り組む「シティプロモーション」戦略。民間からプロモーションの専門家を招き、イメージアップに腰を据えて取り組んできたことが少しずつ実を結びつつあるようだ。その取り組みを取材した。
「足立区に誇りを」。区を挙げたイメージアップ作戦
足立区に「シティプロモーション課」が発足したのは2010年4月。目的はシンプル。ズバリ、「区のイメージアップ」をはかることだ。課長には、民間からベテランの広告クリエイターが登用された。今年で就任5年目となる根岸彰雄課長は、当時をこう振り返る。
「5年前の足立区世論調査では『足立区に愛着をもっている』と答えた人が約7割いらっしゃいました。しかしその一方で『足立区に誇りをもっている』となると、3割程に減ってしまう。私たちの使命は、区民のみなさんに足立区をもっと好きになってもらうこと、地元を自慢できる街、誇れる街へと進化させることでした」
そこでまず着手したのは、足立区がもつ既存の魅力を掘り起こし、世に広く発信することだった。… 続きを読む