1日のうち、大きな割合を占める睡眠は、健康と密接な関係があります。ただ実はまだ、どういった働きや効果があるのか、ハッキリしたことはわかっていません。脳との関係、うつ病など心の病との関係など、少しずつわかってきたことを暮らしのヒントに取り入れてみませんか?
脳は眠りながら掃除や整理している
睡眠欲は食欲や性欲などより強く、人間の欲求の中でもっとも強いもの、といわれます。それだけ必要度が高いのですが、なぜ必要なのかはよくわかっていませんでした。
そんな中、昨年、米ロチェスター大学の研究者が発表した論文は、一つの答えになるかもしれないものとして、注目されています。研究によると、どうやら人は眠っている間に、脳を掃除しているようなのです。
ほかの内臓と同じく、脳も使っている中で老廃物や毒素がたまっていきます。中にはアルツハイマー病の原因といわれるアミロイドβなど、たまっていくと大きな病気につながってしまうものもあります。そういった老廃物や毒素を脳は眠っている間に排出しているらしいのです。このお掃除には、大きなエネルギーを使うため、起きて考え事に使っている間は、できないのだとか。脳が捨てた老廃物や毒素は肝臓に送られて分解されます。
これとは別に、脳の機能面では、睡眠に情報の整理効果があることが知られていました。勉強したことや体験したことの記憶は、しっかり眠った方が定着しやすいのです。徹夜の勉強を続けるより、ある程度の睡眠時間をとった方が勉強がはかどるのはこのため。
さらにこの記憶の定着機能は、嫌な出来事や感情についても適用されることが、最近米MITの研究によって判明しました。嫌なことが起きた日にしっかり眠ると、その嫌な思いまで強く定着してしまうのだとか。逆に徹夜すれば、嫌な記憶の定着率は弱まったそうです。
こういった記憶の定着作用はレム睡眠が多いほど強くなることがわかっています。これを逆手にとるなら、嫌なことがあった日には、友だちと徹夜で飲むのがよいかもしれません。… 続きを読む