部屋を移動して「あれ、なにがしたいんだっけ?」とわからなくなってしまうこと、ありませんか? 年齢とともに増えるのが物忘れ。記憶があいまいになる原因は、一般に知られている認知症だけではありません。意外な病気が原因になっていることもあり、簡単な対応で大きく改善するケースも見られます。
「なにするつもりだっけ?」は自然なことだった
ちょっとした用事で別の部屋に移動したら、なにをするつもりだったのか忘れてしまった……ときどきあることですが、実はあまり心配する必要はありません。2011年には、米ノートルダム大学の研究チームが「人間の脳はそういう風にできている」という趣旨の論文を発表しています。
実はそれまで、こういった現象は、覚えていたい物事の「重要性」や、そのための「努力」、覚えていなければいけない「時間」によって、起きる確率が違ってくるものと考えられていました。つまり大切なことでなければ忘れやすいですし、一生懸命覚えようとしないときや、覚えてからずいぶん時間がたってしまった場合には、記憶が抜けてしまいやすくなる、というわけです。
ある意味あたりまえのような気もしますが、米ノートルダム大学の研究では、これに加えてもう一つ、物忘れしやすくなる要素があることが判明しています。なんと「ドアを開け閉めして別の部屋に行く」という行動に、記憶をリセットしてしまう効果が見つかったのです。
研究では、学生にブロックを運ばせ、その色と形を覚えていられるかどうかを検証しました。すると、… 続きを読む