お酒の席で評価を上げる知恵(第6回)

部下は意外に待っている?飲み会のスマートな誘い方

2015.03.21 Sat連載バックナンバー

 「最近の若者は、飲みに誘ってもプライベートを理由に断る」と言われはじめたのが80年代。 以来、若手を飲みに誘うことを控える風潮が強まってきました。しかしながら、アルコールにはお互いの理解を深める大きなはたらきがあります。職場の人間関係を円滑化するためにも、たまには部下を飲みに誘ってみませんか?

 

部下は意外に待っている?

 新入社員を対象にマクロミルがおこなった「2011年新社会人の意識調査」によると、会社での飲み会について83.4%の人が「参加したい」「なるべく参加したい」と答えています。参加したい理由でもっとも多かったのは「職場の人間関係を円満にするため(83.5%)」でした。

 ところがキリンホールディングスが一般社会人を対象に2012年に行ったアンケート調査では、同僚・上司・部下などと飲む機会が必要、と回答した人の割合は、50%を割り込みます。相手を上司のみに絞ると、この数字はさらに低くなり、もっとも高い20代男性でも47.0%どまり。希望に燃える新人のころには、職場の飲み会に対して理想があったのに、現実に参加してみると「もうけっこう」となることが多いようです。

 ちなみに、同アンケートには恋人・部下・上司・友人・同僚といった飲む相手別の予算もありますが、2008~2012年を見ると、ほぼすべての数字が右肩下がりになっています。

 注目したいのは、同僚と飲みに行くときと、上司と飲みに行くときの違い。同僚との場合には1回平均3,822円となっていますが、上司の場合には、これを上回る3,899円となっています。上司との飲み会となれば、「おごってくれるもの」というイメージがありますが、実際にはここでも新人の期待は裏切られてしまうようです。まずは、「今夜は俺のおごりだ!」の一言が大切です。

 

意外な盲点も! 好まれるのはこんな上司

 とはいえ、懐事情が冷え切っている上司の方も少なくないでしょう。おごってやりたくてもその資金がない、というのが本音かも。ならば人格的な魅力で、「一緒に飲みたい」と考えてもらうしかありません。

 若手社員は、どんな上司となら一緒に飲みたい、と考えられているのでしょう? そのヒントになりそうな情報が、先に紹介したキリンホールディングスのアンケート調査にあります。「一緒にお酒を飲みたい上司を有名人で言うと?」という項目がそれ。

 ベストテンを1位から順に並べると、北野武、所ジョージ、明石家さんま、高倉健、タモリ、渡哲也、佐藤浩市、西田敏行、阿部寛、役所広司となっています。有名お笑いタレントが上位を占め、それ以外でベストテンにランクインしているのは大物俳優という図式からは、親しみやすさを重視し、その次に貫禄や仕事ができそうな雰囲気が好まれる模様です。

 この結果に同年、明治安田生命が行った「理想の上司」アンケートを重ねると、ちょっと面白い傾向が見えてきます。同アンケートのベストテンは、順に池上彰、阿部寛、関根勤、所ジョージ、山口智充、堤真一、長谷部誠、松岡修造、渡辺謙、タモリとなっています。先に紹介した「一緒に飲みたい上司ランキング」と重なるのは、阿部寛、所ジョージ、タモリの3人だけ。はずれた「上司」を見ると、全体に圧迫感の強い人や、熱いイメージがある人は、敬遠されているようです。

 部下を誘うなら、熱く語るより、日ごろからの親しみやすさと、貫禄や信頼感が重要といえそうです。

 

誘うときはTPOに気をつけて

 実際に部下を誘う際には、それなりの配慮が必要です。どういった誘い方がいいのか、考えるときには、自分の若手時代を思い出してみるとよいでしょう。誘う側になった方も、若手時代は「誘われる側」だったはず。

 今の若手も、上司や先輩に対して抱く思いは、それほど変わりません。当時のことを思い出せば、どんなお誘いがうれしいかわかると思います。

 ただプライベートと仕事に価値の軽重をつけないのが昨今の価値観です。かつては通用した無理目のお誘いは、現代ではパワハラと受けとめられてしまいます。誘われる側の気持ちに配慮したTPOを大切にしましょう。以下、誘う時のポイント3点を紹介します。

【ポイント1:プレッシャーを与えない】

 部下や後輩が断るときには、その日は行けない事情があっても「上司に気を悪くされるのでは」という不安があるものです。そんなプレッシャーを与えないよう、明るく軽めのテンションを心がけてみてください。断られたときにも、「じゃあ、また今度行こう」とサラッと流すのがコツ。

【ポイント2:タイミングを読む】

 仕事でミスをしたときや悩みごとを抱えているときには、上司や先輩に相談してみたい、と考える若手も少なくありません。そんなときこそ「飲みにケーション」が役に立ちます。

【ポイント3:楽しく役に立つ話題を】

 一緒に飲みに行って楽しい上司や先輩になら、若手も喜んでついてきてくれます。逆に自慢話や説教が話題の中心になる飲み会は避けたいもの。仕事だけでなく人生の先輩として、ファッションや恋愛、遊びなど、大人の知恵を楽しく分け与える場を創造しましょう。

 

 「お誘い」というのは、人間関係の中でも、かなり気遣いを要する行為です。ましてや、上下関係がある仲では、さまざまな気遣いやメンツなどもからむため、お互いの思いが複雑になりがち。部下の思いを丁寧にくんで、スマートに誘える上司なら、仕事の面での信頼も高いはず。まずは飲み会への「お誘い」で、そんな配慮をチラリとのぞかせてみませんか?

※掲載している情報は、記事執筆時点(2014年3月25日)のものです。

 

谷垣 吉彦/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

谷垣 吉彦/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

フリーランスライター

アダルト層向け商品の販促プランニングや、経営・医療系書籍の企画・立案・執筆など、幅広い分野でライターとして活動する。大阪ミレニアムミステリー賞を受賞するなど、エンターテイメント分野での実績も評価されている。

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