複合機などの多彩な製品群を国内・海外に幅広く提供しているリコーグループでは、2016年から国内のネットワークとデータセンターを中心に、IT基盤の再構築を進めました。経営戦略を踏まえてIT基盤にどのような変革が求められたのか、再構築の結果どのような効果が得られているのか、リコーグループへの取材を通じて紹介します。

【株式会社リコーについて】

 1936年の設立以来、カメラや複写機などの製造・販売を通じて国内外に事業を拡大。現在は、複合機(MFP)やプリンターなどのオフィス機器からデジタルカメラ、半導体、FAカメラ、マネージド・ドキュメント・サービス(MDS)、ITサービスなどの幅広いプロダクトやサービスを提供しています。グループ全体で約9万7千人(2018年3月31日時点)の従業員を擁し、約200の国と地域で事業活動を行っています。高い技術力やグローバルネットワークなどを活用して、新しい顧客価値を創出するとともに、企業活動を通して持続可能社会の実現にも積極的に取り組んでいます。


グループの事業変革に対応できるIT基盤の整備が求められていた

 リコーグループは、オフィス用複合機をはじめとする多様な製品やITサービスをグローバルに提供しています。いまやオフィスという枠を超え、オフィスから現場、社会へと広がる「働く場」に活力をもたらしていくプロダクトやサービス、システムを提供するという思いを「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACE」という言葉に込めて事業を展開。顧客との接点力を生かしてニーズを取り込み、「人々の“はたらく”をよりスマートに」変えていくことを目指しています。

 このような環境のもと、IT基盤の役割や求められる価値にも大きな変化があるといいます。株式会社リコーのデジタル推進本部本部長を務める石野普之執行役員は、その変化を解説します。

「リコーグループのビジネスは日々グローバルに拡大を続けており、IT基盤に最も強く求められているのは、スピードと柔軟性です。従来は自社でシステムを構築していたのですが、SaaSやクラウドを導入し、スピード感を持ってシステムを構築して柔軟に活用する方向へとシフトしています。一方では、社会的潮流でもある『働き方改革』がキーワードになっており、コミュニケーション環境をOffice 365を核とした仕組みに移行しています。そういった流れを考えたとき、これからのグループの経営を支えるIT基盤については可変性やスケーラビリティの強化が最重要課題であると認識していました。さらにSaaSやクラウドの導入が加速していくことを考えると、セキュリティマネジメントの強化も重要なポイントとなります。こうした課題の予見を踏まえて、国内IT基盤の再構築検討が始まりました」

 

システムやネットワークの全体最適化をいかに実現するかが課題

 ITを運用する現場においても、従来のIT基盤には課題があったといいます。株式会社リコー デジタル推進本部 セキュリティ統括部 鈴木弘之部長は、運用上の課題を振り返ります。

「従来はシステムごと、用途ごとにシステムやネットワークの構築を実施していました。その結果、トラフィックの変化にネットワークが対応できないケースや、システムのサイロ化などが生じ、当社の管理部門で通信の利用実態やセキュリティの一元把握ができていないという問題が起きていました。IT運用の現場としては、システムやネットワークの全体最適化をどのように実現するべきかという悩みを常に抱えていたのです」

 こうして、リコーグループは国内のネットワークとデータセンターを最適化し、IT基盤を再構築するプロジェクトを立ち上げ、2015年7月から検討を開始しました。

「プロジェクトにおいては、IT基盤を最適化するために、ネットワークとデータセンターを極力集約することを心がけました。なぜならば、… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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