企業にとって、業務で利用する社用車はいわば“会社の顔”です。万一、交通違反や事故を起こすようなことがあれば、業務に支障をきたすだけでなく、企業としての信用が失われるというリスクもあります。
「うなぎパイ」で知られる有限会社春華堂(以下、春華堂)の配送トラックは、車体に看板商品が大きくデザインされていて、自社ブランドの“走る広告塔”とも言える存在です。同社ではIoTの活用により安全運転の仕組みづくりに取り組み、無事故という大きな成果を出しています。
【有限会社春華堂について】
静岡を代表するお土産として全国的に知られる浜松の銘菓「うなぎパイ」をはじめ、和菓子から洋菓子までを幅広く扱う地域密着型のお菓子屋。日本古来の趣ある慣習と思いやりの心を礎に、自由で新しい発想で「喜びと感動」をお客さまに提供することで“豊かな安らぎ”と“最高の笑顔”を創造する仕事に取り組んでいる。
指導を徹底しても、交通違反・事故はゼロにはならない
静岡県浜松市に本社を置く春華堂は、銘菓「うなぎパイ」をはじめとするお菓子の製造・販売を行っています。同社の商品を工場から直営店や量販店に運ぶ配送トラックは、側面に大きな「うなぎパイ」がデザインされていて、ひときわ目を引きます。そのインパクトのある車両はまさに“走る広告塔”ともいえる存在のため、同社ではかねてより社員に対して安全運転の指導を徹底して行っていました。
しかしそれでも十分とは言えなかったと明かすのは、同社営業部の市川京氏です。
「当社では、配送トラックをはじめ30台以上の業務用車両が稼働していますが、軽微なものとはいえ、年に数件の交通違反や事故が発生していました。急加速、急ブレーキといった乱暴な運転は交通事故のリスクを高めるばかりではなく、配送する商品にダメージを与えますし、ブランドイメージにも悪影響を及ぼします。そのため日ごろから安全運転の指導に注力していましたが、指導を受けた社員の実際の運転の詳細までは把握できませんでした。ですから、指導による改善状況や効果を確認する方法がないという大きな課題がありました」
同社の課題解決の糸口は、浜松の企業が集まる交流会でもたらされました。その経緯を語るのは、ユニバーサルネットワーク株式会社(以下、ユニバーサルネットワーク)代表取締役の内藤賢二氏です。
「弊社も同様の課題を抱えていたのですが、IoTサービスの導入により交通事故・違反がゼロになりました。春華堂の山崎社長にその話したところ、『ぜひわが社でも使ってみたい』という流れになり、ご提案いたしました」
同社は製造業の多い浜松を拠点に、地場企業の課題をITで解決するソリューション事業を展開しています。同社の内藤氏は事業の方針を次のように語ります。
「弊社は、お客さまへのご提案候補となるソリューションはまず自社に導入して実際に利用してみることをポリシーとしています。実際に使ってみて、サービスのメリットや導入効果はもちろん、サービスのカバーしていない点や不足している点もきちんと把握し、リカバーする対策まで検討を行います。そのうえで自信をもっておすすめできるサービスと判断したら、同様の課題を持つお客さまにご提案をするようにしています。春華堂様に導入したIoTサービスもそのようなプロセスを踏んだのちに、多くのお客さまにご提案をしています」
山崎社長から話を受けた営業部は、早速検討を開始します。
「ユニバーサルネットワーク社からは弊社の車種を踏まえた導入方法も含め、きめ細かいご提案をいただきました。検討した結果、交通事故・違反による業務効率の低下、保険料の高騰などの課題解決に効果が見込めると判断し、サービスの導入を決定しました」(市川氏)
車両運行の“見える化”によって現れる長所と短所
春華堂が導入に踏み切ったのは、… 続きを読む