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マイクロソフトが提唱する、「2025年の崖」への新たな一手
2019.06.12

DXを加速させるITシステムの運用改革第5回

マイクロソフトが提唱する、「2025年の崖」への新たな一手

著者 Bizコンパス編集部

 レガシーシステムに対する企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)停滞により、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生まれる―――2018年9月に経済産業省が発表したレポートは、それを「2025年の崖」として警鐘を鳴らしています。

「2025年の崖」の大きな理由は、部門ごとにカスタマイズされた基幹系システムの老朽化・ブラックボックス化です。国内で21年以上稼働するレガシーな基幹系システムは現在2割に上り、2025年には6割に達すると予測されています。経済損失は12兆円というのは、企業のIT予算やエンジニア稼働の大半がシステムのメンテナンスに割かれ、新たな投資をできないことからセキュリティの脆弱性やシステムダウンのリスク増大、デジタル変革ができないことからの機会損失を含めた試算です。同レポートでは、状況がこのまま放置されれば、日本企業はグローバル競争の敗者に転落する可能性があると指摘します。

 ただし、2025年に向けて企業が集中的にシステム刷新とDXを推進することによって、新たなビジネスモデルを創出できれば、2030年には実質的なGDPを130兆円まで押し上げるとも予測しています。日本企業が崖を飛び越える手立てはどこにあるのか。ここでは、国内企業のDX推進をサポートする、マイクロソフト社の「ある手法」を紹介します。

 

IoT、AIを入れるだけでは成果なし、マイクロソフトが提唱する「DXへの近道」

「デジタル化と多様化が進むグローバル市場を日本企業はどう攻略すべきか」日本マイクロソフトの野村圭太部長は、2019年3月に都内で開催された「ITmediaエグゼクティブセミナー」の講演で、次のように語りました。

「デジタル化の波であらゆる企業、業界が変革に迫られています。最先端は小売業かもしれません。オムニチャネル、Webでの体験、店舗での体験、マーケティング手法を含めてデジタル化が急速に進み、新たなパーソナライズ体験を提供しないと競争優位に立てない状況です。製造業も、出荷する全製品にセンサーが付きテレメトリーでデータがどんどん吸いあがってきます。医療の現場では、患者のデータをもとに事前予測して健康管理に役立てている方向に移行していますし、金融サービスも営業時間だけお客さまの相手をするのではなく、24時間365日デジタルでリアルタイムにサービスを提供していく必要がある状況です」

 しかし、近隣のASEAN諸国の勢いに比べ日本企業の変革のスピードが鈍い現状を踏まえ、グローバル視点から次のような事例を紹介しました。

「弊社の顧客であるロールスロイス社では、クルマだけではなく航空用エンジンも提供していますが、非常に短い間に数テラバイトのデータが弊社のクラウドデータセンターに上がってきます。すべての製造物、製品がコネクテッドの世界、センサーでデータを集約できる状況になっています。こういうデジタル化の波にさらされているのが現状で、デジタル変革が日本企業にとってはマストアイテムであることは疑いのないところです」

 そのような状況でマイクロソフト社では、「お客さまとつながる」「社員にパワーを」「業務を最適化」「製品の変革」の4つの視点からクラウドサービスなどの新製品を開発し、日本企業のDX推進をサポートしています。そしてその柱となるのが、「デジタル・フィードバック・ループ」の構築であるといいます。

「デジタル・フィードバック・ループは、3つのシンプルなステップからなります。まず、取りに行かなくてもデジタルデータが集まってくる“データ収集”の仕組みをつくること。次に、集約したデータを連結・統合し、分析・洞察を得ること。多くの企業はここで終わってしまうことが多い。しかし、IoT、AIを入れるだけでは、投資だけをしている状態で、リターンはありません。それをいかにアクションにつなげるかが重要で、有益なデータを顧客、従業員、経営者、製品開発部門にフィードバックすることで、はじめてDXは実現します」

 

DXの第一歩は、サイロ化したシステムのクラウド移行から

 DXを推進するにあたり障壁となるのが、「2025年の壁」で挙げられたレガシーな基幹系システムだと、野村氏は断言します。企業のシステムの多くがオンプレミスで個別に構築され、システム刷新は更改のタイミングを待たねばならず、時間やコストの兼ね合いから断念するケースも少なくありません。その解決の一歩目は、… 続きを読む… 続きを読む

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