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イノベーションを生み出す「デザイン思考」を実践するコツ
2019.04.19

デザイン思考導入のアプローチ第1回

イノベーションを生み出す「デザイン思考」を実践するコツ

著者 Bizコンパス編集部

 昨今、新たなイノベーション創出の手法として「デザイン思考」を導入する日本企業が増えています。「デザイン思考」とは、デザイナーがクリエイティブ業務で使う思考プロセスをビジネスに転用し、前例のないことへチャレンジする際などに、新しいアイデアを生み出すための思考法です。

 なぜ、デザイン思考がブームなのか。導入を成功させるポイントはどこにあるのか。導入企業の成功事例を参考にイノベーション創出のヒントを探っていきます。

 

なぜ「デザイン思考」が必要なのか

 デザイン思考がビジネスに取り入れられるようになったのは、1990年代からです。

 その背景にあるのは、消費行動の変遷と考えられます。モノをつくれば売れる時代から、モノがあふれる時代に移ったことでコモディティ化が進み、機能、性能での差別化が困難になったことにあるとNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の櫻田玲子氏は解説します。

「市場が予測困難な不確実性の時代に入り、商品やサービスの開発に新しい発想が求められるようになっています。モノ中心ではなくモノを通してユーザーに対して提供できる新たな価値、魅力的なコト(体験)を創出する必要性が高まり、デザイン思考の需要が広がりつつあるのです」

 モノがあふれている近年では、マーケットの主導権はユーザーに移っています。このためデザイン思考の大前提となるのがユーザー目線です。どのユーザーにターゲットを絞るのか、どんな問題を抱えていて、どんな価値を求めているのか。デザイナーの持つ、バイアスを打ち破る柔軟な発想力や創造力を組織やチームに取り入れ、ユーザーに選ばれる商品、サービスを生み出していくプロセスにデザイン思考の本質があります。

「デザイン」という言葉にとらわれると、少々とっつきにくい印象があるかもしれません。しかし、大事な点は「人に共感し、人を中心に考える」ということです。

 2011年よりデザイン思考の取り組みを進めてきたNTT Comでも、「デザイン」を「顧客」に置き換えて「顧客志向」としたことで急速に浸透が進んでいったといいます。

「ビジネスになじみ深い言葉へ置き換えたことで社内の抵抗感が薄まり、関心が高まっていきました。現在は、私が所属するデジタル・カイゼン・デザイン室(以下、DKD)がお客さまの目線に立ったサービスの開発、提供を主導しています。各事業部の相談窓口としてはもちろん、具体的な取り組み方をまとめたガイドブックを制作し、新入社員研修、セミナーなどを通して広く、深く浸透させる取り組みを進めています」(櫻田氏)

 デザイン思考が社内に浸透しない、取り組みが進まないといった課題があるなら、まずはデザインという言葉を社内において受け入れられやすい言葉に置き換えてみることが、デザイン思考の社内浸透に向けた第一歩といえるでしょう。

 

NTT Comのデザイン思考推進の取り組み

 30年以上前からNTTの研究所では電話、通信といったサービスの普及に向けてヒューマンインターフェイスユニバーサルデザインなどの研究を進めてきました。さらに研究の成果をグループ会社に提供し、受け取った各社がお客様向けにカスタマイズして提供することで多くの新たなサービスが生まれてきた実績もあります。

 長年蓄積してきたユーザーの使い勝手を向上する豊富な知見、ノウハウを基盤としているところがNTT Comのデザイン思考における特長の一つです。

 先に挙げた社内向けのガイドブックには、デザイン思考を進めるための「気づく」「生み出す」「作ってみる」「試してみる」「反映する」という5つのアクションが定義されています。この「COM5」と呼ばれるプロセスを回していくことで、新たな価値を持ったサービスを生み出す仕組みになっています。

「顧客目線に立って、課題を深く理解して共有する『気づく』では、NTTサービスエボリューション研究所の知見を利用して調査、ヒアリング方法などに取り入れています。いろいろなプレーヤーを交えて課題解決のアイデアを考える『生み出す』では、NTTグループが所有する技術、アセットを駆使してお客さまの課題に対する解決策を考えます」(櫻田氏)

 そして『作ってみる』でアイデアをかたちにして試作し、… 続きを読む… 続きを読む

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