Bizコンパス

東南アジアのベンチャー企業が日本のピッチイベントに参加する理由とは
2019.03.06

新たなイノベーションはアジアから始まる第2回

東南アジアのベンチャー企業が日本のピッチイベントに参加する理由とは

著者 Bizコンパス編集部

 NTTコミュニケーションズは2017年より、アジア地域のスタートアップ企業(ベンチャー企業)と、日本の大手企業をマッチングするピッチイベント「NTT Com Startup Challenge」(以下、Startup Challenge)を実施しています。これまでにインドネシア・マレーシア・ベトナムの3カ国で開催されました。

 先月掲載した第1回目では、同イベントを開催する狙いについて主催者側にインタビューしましたが、現地のスタートアップ企業側は、どのような思いでStartup Challengeに参加したのでしょうか。

 本記事では、Startup Challengeのマレーシアラウンド、インドネシアラウンドに参加した850社以上のスタートアップ企業の中から、優秀な企業に贈られる「Orange Fab Asia Award」を受賞した、マレーシアの「MBack Pay」社、インドネシアの「Halal Local」社の担当者に、日本からは窺い知れない、現地で新規事業を展開するノウハウやスタートアップ事情を聞きました。

なぜスタートアップという道を選んだのか? 創業にかける思い

――御社のビジネスモデルをご説明いただけますか?

MBack PayのCEO Wilson Low氏(以下、Low):弊社は、1つのQRコードであらゆるe-wallet(電子マネー決済システム)に対応することができる店舗向け決済ソリューションです。

 お客さまがe-walletを使う時に、店舗側で複数の会社のe-wallet用QRコードを用意しておく必要がなくなります。どのe-walletアプリであるかをMBack Payのシステムが判別して、支払いをそれぞれのe-walletに転送します。また店舗側は、全ての取引をスマホで管理することができます。

 ビジネスを立ち上げた当初はキャッシュバックのシステムを提供していたので、「Money Back」を意味するMBackという社名にしたのですが、B2CとB2Bの両方をやるのは無理があると思い、クライアントを店舗に絞ってB2Bに特化することにしました。店舗に導入費用はかからず、取引が発生すれば一定の割合の手数料をMBack Payに支払う仕組みです。

Halal LocalのChairman Muhammad Senoyodha Brennaf氏(以下、Brennaf): Halal Localは、ムスリム(イスラム教徒)の旅行者向けにハラルフード(※)を出すレストラン、ハラル原料を使った商品や土産物、近くの礼拝室やモスクを見つけることができるアプリです。さらに、礼拝の時間や方角、ハラル原料情報や観光情報など、すべての情報が1つのプラットフォームにまとめてあります。

※イスラム法上で食べることが許されている食材や料理。

 ムスリムの人々の食事制限の厳しさは、個人によって違います。そこで、利用者が自分に適したものを判断できるように、掲載レストランを「ハラル認証」「ムスリム歓迎」「豚肉不使用」「アルコール不使用」「ベジタリアン」「ビーガン」などのカテゴリ別に掲載しています。

 弊社では、次の4つの方法で情報を収集しています。1)インドネシア国内における独自調査、2)ネットでの情報収集、3)掲載を希望するレストランなど、ユーザーによる入力、4)各国の認定組織からの情報、の4つです。現在、100カ国以上における5万ほどのハラルレストランと、15万のモスクを掲載しています。

 ビジネスモデルは、2種類のB2Bがあります。1つ目は、レストラン向けのメンバーシップ制度。無料版と有料のプレミアム版があり、有料版にはプッシュ広告やリストの上位掲載などの機能があります。

 2つ目はAIを活用したビジネス。わたしたちはハラルに関するデータを集めてAIで処理しており、BI(ビジネスインテリジェンス)や、データを活用したマーケティング戦略の価値を高めたい企業に、データ解析やAPIを提供しています。

――自分自身で新しいビジネスを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

Low:遺伝でしょうか、兄も事業を起こしたので、自分もやってみたいと思いました。でも兄と同じ広告業は嫌だったので、オンライン・ショッピングサイトのLazadaやQoo10でeコマースのビジネス開発に携わっていた経験を生かして、事業プランを考えました。

Brennaf:弊社は、われわれがイギリスに留学していたことがきっかけです。イギリスでハラル料理を見つけるのがとても大変だったので、ムスリムの旅行者がハラルレストランを簡単に見つけることができるプラットフォームを作りたいと思いました。

 もう一つ、韓国でこんなことがありました。… 続きを読む… 続きを読む

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