近年、IoTシステムの開発において「PoC(Proof of Concept:実証実験)」を実施するケースが増えています。PoCは、新システムのコンセプトが本当に実現可能なのか、実現するためにはどのような課題を解決すべきなのかを、机上での理論ではなく、実際に検証するプロセスです。
グローバル規模で総合国際物流事業を展開する株式会社日新も、新たなビジネスに挑戦するために、PoCを実施しました。そのPoCとは、生鮮食品の鮮度を保持する梱包を、IoTとクラウドで管理するというものです。
【株式会社日新】
1938年創業の国際物流企業。横浜で港湾輸送業者として発足し、以降、国内の主要港湾に事業を拡張。1968年からは国際複合一貫輸送業務をスタート。現在は国内および、海外(25か国)でビジネスを展開する。
日新の新サービスは、なぜ物流コストを抑えられるのか
日新では2017年より、物流容器に新技術を活用することにより「開発」「管理」「運用」をワンストップで提供し、効率的で最適な物流の実現を目指す「ハコラボ」サービスを展開しています。
ハコラボの概要

物流業界では、パレットやコンテナといった、荷物を安全にかつ効率よく運搬する物流容器が必需品となります。しかし、その多くは使い捨てとなっており、廃棄や新規調達にかかる費用も物流コストに含まれてしまいます。この物流容器を「使い捨て型」から、繰り返し使える「リターナブル型」に切り替えれば、こうしたコストはもちろん抑えられますが、切り替え後は利用者側に、物流容器の追跡や回収といった作業負担が発生してしまいます。
ハコラボは、リターナブル型の物流容器を企業にサブスクリプションモデルで提供することで、物流容器を購入するための初期投資を抑え、管理・運用にかかる作業負担も軽減する点がメリットとなります。
「通常の物流業務では、お客様が物流容器を用意し、それを当社が預かって輸送するという形態がほとんどでした。しかし、商品ごとに容器の形態が異なるため、コンテナに積載する際にどうしても無駄なスペースが生じるという問題もありました。
ハコラボは、お客さまや案件ごとに積載効率の良い専用容器を開発し、それをリユースしていくことで、物流業務全体の最適化を図る狙いもあります」
IoTとクラウドが、青果物の鮮度を“見守る”
日新はこのハコラボの付加価値を高めるため、新たなチャレンジをスタートします。それは、青果物の鮮度を保持したまま海外へ海上輸送する「鮮度保持梱包」でした。梱包容器に… 続きを読む