地方型DC選択のカギは首都圏との高品質な通信回線

首都圏との冗長回線をバンドルした低価格DCを提供するキヤノンITS

2018.06.22 Fri連載バックナンバー

 近年、事業継続に向けたDRサイト構築のニーズを受けて、首都圏、関西圏の大都市圏以外にも続々とデータセンターが建設されています。DRサイトの選択ポイントとしては、「地震に対する安全性」「同時被災リスクの軽減」が挙げられます。しかしその際にネックとなるのが、自社とデータセンター間を結ぶ回線コストです。たとえば、沖縄では地震が少なく、首都圏から1,600km以上離れているため、同時被災リスクが非常に低いですが、首都圏から沖縄データセンターを利用する場合には回線敷設に膨大なコストがかかってしまいます。データセンター事業を展開するキヤノンITソリューションズ株式会社では、この問題を解決することで、DRサイトのみならず幅広い潜在顧客にリーチする新たなサービスを生み出しています。

 

“低価格”の裏に潜む地方型データセンターの落とし穴

 東日本大震災以降、多くの企業が事業継続、DRの観点から自社リソースを信頼できるデータセンター(DC)に託すケースが増えています。さらなる事業基盤の強化に向けて、自社の近くのDCをメインサイト、遠隔地のDCをバックアップ用のDRサイトとして利用するニーズが高まっています。当然、2つのDCの距離が離れているほど大規模災害などのリスク対策は強固なものになるため、自然災害が少なく、遠隔地にあるDCを選ぶのがセオリーです。このようなトレンドを受けて東京、大阪といった大都市圏以外にもDCが続々と建設されており、これらの地方型DCが堅調にサービスの市場を拡大しています。

 地方型DCを利用する最大のメリットは、「首都圏のDCより圧倒的に低価格で利用できること」にあります。コスト高を理由にDRサイト構築を断念せざるを得ないユーザーにとって、ラックや設備などが低コストで利用できることは魅力的です。しかし、ここで問題になってくるのは地方型DCと自社拠点との距離です。同時被災リスクが低く、自然災害に強いDCを選んだ際、どうしてもDC-自社拠点間の距離が離れてしまうため、回線コストが高くなってしまう場合があります。

 たとえば首都圏にしか拠点を持たない事業者が北海道や九州などの遠方にあるDCを利用する場合、この回線コストがネックとなり、導入を見送るケースも少なくありません。

 そのような顧客のために「首都圏からでも地方のDCをDRサイトとして低コストで、安心して利用できるサービスを提供したい」と考えたのが、業務システムや組み込みシステムの設計・開発、プロダクト開発など、多様なITソリューションを有するキヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)です。同社は東京と沖縄に2つのDCを運営しており、この両DCをうまく連携し、導入障壁となっていた「回線コスト」も解決させました。

 

東京―沖縄、2つのDC間の回線冗長化が必須に

 キヤノンITSの梶山豊裕氏は東京、沖縄にある2つのDCの位置づけと課題を説明します。

「Tier4に準拠した首都圏のDCと、地震発生リスクの少ない沖縄DCを軸にお客さまの多様なニーズに対応しています。近年、メインサイトとDRサイトによる遠隔地バックアップのご要望が高まっており、このようなお客さまの要望を満たすためには首都圏と沖縄、2つのDCをネットワークで結び、連携を強化する必要がありました」

 これには、先に述べた回線コストが大きく関係しています。2つのDCが高信頼なネットワークで結ばれていれば、首都圏の利用者は首都圏DCに接続する安価な回線コストの負担だけで沖縄のDCを利用できるようになるわけです。しかしながら、自前で東京、沖縄間のネットワークを敷設するには膨大なコストが必要になります。せめて東京―大阪間と同額程度でネットワークが敷設できればと考え、同社が利用したのが沖縄県が主導するIT事業者の通信環境支援策として東京と沖縄を結ぶ「沖縄国際情報通信ネットワーク(ASE)」でした。

 このASEを利用して首都圏と沖縄、2つのDC間を接続できたことで一歩前進します。しかし、そこで浮上したのが… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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