社屋建設に伴い全拠点にクラウド型PBXを導入

PBX移行でBCP対策と働き方改革を進める鹿児島放送

2018.03.02 Fri連載バックナンバー

 東日本大震災の発生から7年を迎えようとしています。当時、現地からのニュース中継に言葉を失った方も多いのではないでしょうか。放送局はこうした大規模災害時でも、事業を継続しなくてはならない使命があります。リアルタイムな報道が、多くの人々の生命や財産を守ることにつながる可能性があるからです。鹿児島県民に愛される放送局を目指す株式会社 鹿児島放送では、3.11で得た教訓を糧に、いつ、いかなるときでも放送を中断させないBCP対策の強化に取り組んでいます。既存のオンプレミス型PBX環境をクラウドへと移行する決断も、その一環でした。

【株式会社鹿児島放送について】

1982年にテレビ朝日系の放送局として開局した株式会社 鹿児島放送(代表取締役社長:古山順一)は、視聴者にとって「プラス」になる新しい情報や価値を発信し続けることを企業姿勢としています。さらに「私たちの誓い」として、「信頼・貢献・挑戦」を掲げています。「信頼」は放送の公共的使命を自覚し県民に信頼され、愛されるステーションを目指すことを、「貢献」はふるさとの大地にしっかりと根をおろし、地域と共に歩み地域社会の発展に貢献することを、そして「挑戦」は、進取と和の気風を尊び、たゆみない挑戦を通じ、活力ある職場づくりに取り組むことを宣言しています。

 

将来的な本社・新館建設を視野に3つの支社のPBX更改へ

 株式会社 鹿児島放送(以下、鹿児島放送)は、2011年の東日本大震災を受けて、BCP対策の強化を目的に本社・新社屋の建築を決断しました。その背景には、万一の災害時、継続的な放送こそが地域住民の生命や財産を守ることになるという考えがありました。専務取締役の永池誠悟氏は放送局における事業継続の条件を「放送局という事業の特性上、災害対策は極めて重視しています。資源の分散化などの対策や万一の際には社員間の連携強化が事業継続には必須となります」と語りました。

 新社屋は、南海トラフ地震、桜島噴火による地震・津波にも耐える堅牢な構造とする建設計画が進んでおり、BCP対策の一環として電話などの通信基盤の信頼性を高めることも検討材料となっていました。永池氏は当時の状況を説明しました。

「東京、大阪、福岡の支社は、いずれもPBXが老朽化し更新時期も迫っていました。オンプレミス型のPBX(構内電話交換機)は更改時に設備投資が必要であり、運用保守にかかるコストも負担になります。将来的な本社の新社屋建設を見据えて、まずは支社の抱える課題を解決しながら段階的に全社的な電話システムを構築していく考えでした」

 新たな電話システムへの移行は、スマートフォンやタブレットなどさまざまな機器を活用した“スマートな配備計画”の一環として行い、支社を含めて社内で連携しやすいコミュニケーション環境を整備することで取材力、コンテンツ制作力を高めることも求められていました。従来の固定電話のみならず、将来的にはタブレットやスマートフォンを有効に活用できる電話システムの構築も想定する必要がありました。さらに同社では、BCP対策のみならず、全社的なワークスタイル変革までを見据えており、新社屋のフリーアドレス化を計画しました。その布石となるのが、電話システムの見直しでした。

 

迅速な導入、将来の拡張も容易なクラウド型PBXを選定

 同社は、従来オンプレミスで運用していたPBXをクラウドに切り替えることを決断しました。情報システム室 室長代理の上野真一氏は、PBXをクラウド化した真意を振り返りました。

「数年ごとに膨大な費用がかかるオンプレミス型に比べ、クラウド型はコストを抑えて毎月一定額で利用できます。オンプレミスの事業者はIP電話の課題として回線輻輳による通話品質の低下を挙げますが、逆に安定した高品質な回線を確保することができれば、運用の負担を軽減できますし、通信コストも抑えられるのです。しかも、スマートフォンやアプリなどの利用により利便性も上がります」

 同社ではNTTコミュニケーションズのクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」を採用しました。スピーディに導入でき、将来的な拡張にも柔軟に対応できること、さらには安定した通信品質の確保が選定の決め手になりました。

 こうして、同社は3つの支社にあるPBXのクラウド移行に着手。タイトなスケジュ―ルながら移行はスムーズに完了しました。クラウド型PBXの導入で支社の社員1人1人が内線番号を持つようになり、とりわけ支社間のコミュニケーションが活性化するという狙いどおりの効果が得られました。

 

新館のPBXクラウド化と併せてBYOD環境を実装

 支社のPBX更改という喫緊の課題を解決した同社では、その後、本社・新社屋が完成するまでの期間を利用してスマートフォンの内線化の取り組みを進めていきました。「社員の個人のスマートフォンにアプリをインストールして会社の内線電話を利用するBYOD導入の環境を実現したいと考えていました」と上野氏は明かしました。しかし、実現に向けて最も大きなハードルとなったのは社員の同意を得ることでした。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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