働き方改革や生産性向上を目的に、クラウド型グループウェアを導入する企業が増えています。ユーザーの多くは「リアルタイムでデータがバックアップされる」「サーバー側で十分なセキュリティ対策がされている」ことに信頼を寄せ、保存されたメールやファイルなどをデータのアーカイブやバックアップに活用していることも多いでしょう。
しかし、サービスプランによってはデータに容量制限がある、サイバー攻撃やヒューマンエラーなど、データの消失理由によっては、復元ができない、保証対象外であるケースもあります。「バックアップされていると思っていたクラウド上のデータが、実は冗長化されているだけだった」これらはデータ消失後に気づく、「クラウドデータの落とし穴」といえます。
そういった中で、世界的にマーケットが拡大しているのが「クラウドバックアップ」です。Office 365におけるクラウドバックアップのマーケットリーダーである米SkyKick, Inc.(以下、SkyKick)は、今春からNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)と協業したサービス提供をスタートしました。日本企業で今後ニーズが見込まれる「クラウドバックアップ」について紹介します。
クラウドデータ消失の6割は、「うっかりミス」が原因
SkyKickの「クラウドバックアップ」は、Office 365とは別のクラウド(Azure)上にデータ保管することで、期間・容量無制限でOffice 365のファイル消失時のデータ復元が可能なサービスです。同社の共同経営責任者であるトッド・シュワルツ氏は、Office 365でのデータバックアップにおいて、企業が見落としがちな点を次のように説明します。
「あるユーザー調査では、クラウド上で発生するデータロスの原因を調べたところ、およそ15%が“メールなどに起因するマルウェア・ランサムウェア被害”、15%が“悪意ある社員によるデータ消去や持ち出し”ということが分かりました。さらに、うっかりデータを消去するといった“ヒューマンエラー”が、60%という圧倒的な割合を占めていました。Office 365上のデータはリアルタイムで冗長化され、保護についてはMicrosoftが責任を担保されますし、クラウド基盤のセキュリティ対策についても多大な投資がされています。しかし、クライアント側に起因するセキュリティ被害、ヒューマンエラーがある限り、データ消失のリスクをゼロにすることは困難なのです」
これらクライアント側に起因するデータロスは、Microsoft側の保証範囲には入っていません。トッド氏自身も社内データが消失するトラブルに遭遇した経験があり、それがOffice 365に特化したバックアップサービスを展開するSkyKick創業にもつながったといいます。
「SkyKickを立ち上げる前の話です。コラボレーションツール『SharePoint』にアップした7年分の財務情報フォルダが消える事件が起きました。社内の情報システム部門が総力を挙げて探しましたが見つからず、結局、データを作り直すことになりました。そのための損失は、数百時間におよぶ稼働、金額にすると数万ドル相当でした。同様の経験は、他の多くのユーザーからも聞かれました。クラウド上でのデータバックアップのニーズがこれから広がっていくと感じたのです」(トッド氏)
国内企業向け「クラウドバックアップ」サービスが登場
「クラウドバックアップ」は日本ではまだ馴染みがないサービスですが、グローバルでは「常識」となりつつあります。現在、SkyKickのサービスは、世界… 続きを読む