自社で運用していたサーバーをクラウドに移行する、あるいはクラウド型グループウェア「Office 365」や「G Suite」を利用するなど、企業におけるクラウドシフトは着実に進んでいます。
さらには「Amazon Web Services(AWS)」や「Google Cloud Platform(GCP)」、「Microsoft Azure」に代表される各種パブリッククラウドで提供されている機能を利用してクラウドネイティブなIT環境を構築することにより、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業も、もはや珍しくありません。
しかし本格的なクラウドシフト、クラウドネイティブには思わぬ課題が立ちはだかり、導入が思うように進まなかったり、逆に利便性を損なう状態に陥ることもあります。
今回は“クラウド導入の壁”と、その解決方法を、前後編に渡って解説します。
◆後編『過去にうまくいかなかった人にも見てほしい「最新クラウド導入方法」』はこちらから
クラウド移行の検討時につきまとう悩みとは
IDC Japanの調査では、2018年の国内パブリッククラウドのサービス市場規模について、前年比27.2%増の6,688億円としており、2018年から2023年の年間平均成長率も20.4%に達するとされています。

同じくIDC Japanの調査によると、プライベートクラウドの市場は非常に高い成長率を保ち、ますます利用が拡大するとされています。この数字からも、企業がDX実現のためにさまざまな形でクラウドを活用していることが読み取れます。

企業がクラウド移行を本格的に検討するきっかけはさまざまです。既存のオンプレミス環境のインフラ/OSサポート切れ、アプリケーション更改を契機としたインフラコストやIT運用コストの見直しなど、その理由は多岐にわたります。その中でいくつかの悩みが生じるケースも少なくありません。
1つ目の悩みは、自社のオンプレミス環境で構築・運用しているアプリケーションが、移行したクラウド上で問題なく動作するのか判断できないといったものです。小規模なシステムであれば問題なく動作していても、基幹系システムに代表される大規模なアプリケーションを移行した場合の動作性を見極めるのは容易ではありません。これをどのように検証していくかという課題はクラウド・オンプレミスに関わらず存在します。
2つ目の悩みは、… 続きを読む… 続きを読む