Bizコンパス

さくらインターネットがバックボーンを増強する理由
2017.03.03

“攻・守”を兼ねるインターネット事業者の通信戦略

さくらインターネットがバックボーンを増強する理由

著者 Bizコンパス編集部

 ここ数年スマートデバイスの普及、コンテンツのリッチ化などに伴い、インターネットのトラフィックが急増しています。今後もIoTやAIを活用した大容量のデータ分析が拡大することで、さらにトラフィックは伸びていくでしょう。そうした潮流を見越して、継続的な設備増強を行っているのがさくらインターネット株式会社です。同社は東京、大阪、北海道にあるデータセンター間を結ぶバックボーン回線で、いち早く主要トランジット回線の100Gbps化に着手。その取り組みには、“攻め”と“守り”の理由がありました。

さくらインターネット株式会社について

 さくらインターネット株式会社は、1996年の創業以来、データセンター事業を中心とした高品質なインターネットサービスを提供してきました。データセンターを中核とする大規模なインフラを保有しつつ、多彩なインターネットサービスを開発。インターネット環境の変化とともにユーザーの要望に応える各種サービスを提供し、ユーザー企業のビジネスを支援しています。

記事概要

・インターネットトラフィックが急増する中、さくらインターネットは、国内のデータセンターを結ぶバックボーン回線の強化が求められていた

・さらに、大規模化するDDoS攻撃への対応も喫緊の課題となっていた

・サービス品質向上を図る“攻め”とセキュリティ対策の“守り”双方の観点から、バックボーンとなるすべてのトランジット回線を「グローバルIPネットワーク」100Gbpsに増強

・ネットワークは事業の根幹をなす土台であり、強固な土台を構築することが、ユーザーへの高品質のサービス提供につながる

 

急増する通信量がバックボーン回線を圧迫

 インターネットトラフィックが飛躍的に伸びている背景の中で、今後最も大きな要因となってくるのがモバイルデバイスからのトラフィックです。2015年時点での世界のモバイル通信によるデータトラフィックは過去10年間で約4,000倍、過去15年間では約4億倍に増加。さらに2015年から2020年にかけての年平均成長率は53%に達し、2019年には通信全体の約7割をモバイルデバイスが占めると予測されています。こうした予測を見越して、インターネット関連のインフラを提供するサービス事業者は継続的な設備増強に取り組む必要があるのです。

世界のモバイルデータトラヒックの推移及び予測

 国内最大級の大容量・高速バックボーンを持つ自社運営データセンターを生かし、幅広いサービスを提供するさくらインターネットも同様の課題を抱えていました。同社は社員の3分の2がエンジニアで構成されるプロの技術者集団で、近年はIoT時代の到来を見据えた独自プラットフォームの提供、機械学習、ビッグデータ解析などで必要な大量の計算資源に対応する高火力コンピューティングへの注力など、トレンドを先取りした新たな事業展開を図っています。こうしたデータセンター事業の大前提となるのが東京、大阪、北海道にある3つのデータセンター間を相互に結ぶバックボーンとなるトランジット接続です。

 同社のバックボーンチームでシニアプロデューサーを務める西村一弘氏は「バックボーン回線では輻輳などが起こらない絶対の品質と信頼性の維持に努めています。また急伸するお客さま1社、1人あたりの通信利用量に合わせた継続的な帯域の見直しも必要になります」とバックボーン回線の重要性を語ります。

 同社ではバックボーンとなるトランジット回線は標準10Gbps以上、より広い帯域が求められる経路では複数回線による負荷分散を行っています。しかし従来のままでは急増するトラフィックへの対応が困難になりつつあり、同社ではすべての主要経路の100Gbps化を決断しました。西村氏は「従来、東京のセンターでは2016年1月に開通したばかりの100Gbpsと20Gbps(10×2)のトランジット回線を使っていましたが、20Gbps側においてはすでに17、18Gbpsが埋まっており、増速対応は喫緊の課題だったのです」と経緯を説明します。

 

巧妙化するDDoS攻撃への対応も急務に

 トラフィック増加を見越した設備増強はサービス品質を向上する“攻め”の理由ですが、実は今回のミッションには“守り”という側面もありました。それは大規模化・巧妙化するDDoS攻撃への対策です。大量のコンピュータが特定のネットワーク、コンピュータに対して一斉に接続要求を出し、通信をパンクさせて機能を停止させるDDoS攻撃の手口の中でも、最も厄介なのは攻撃のボリュームが急増していることです。… 続きを読む… 続きを読む

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