Bizコンパス

三井物産の“攻めのIT”を支えるグローバルIT基盤
2017.02.17

スピード経営に求められるIT基盤とは

三井物産の“攻めのIT”を支えるグローバルIT基盤

著者 Bizコンパス編集部

 「グローバルで統一仕様のIT基盤を構築する」――海外進出を推進する多くの企業が、それが目指すべき理想であることは理解しています。とはいえ、実現のためにかかる時間や労力、コストを考えると、なかなか本腰を入れて取り組めないというのが実状ではないでしょうか。事業領域がグローバルに拡大するほど、拠点間を確実に結ぶIT基盤の役割は重要になってきます。グローバル共通となるIT基盤の大々的な刷新を決断した三井物産の取り組みを手本に、グローバルにおける競争力強化、新ビジネスの創出に資するIT基盤構築のポイントを探っていきます。

 

挑戦を支える「自ら進化するIT基盤」へ

 1947年に設立された三井物産株式会社は、常に時代の変化に対応し、絶え間なくビジネスモデルを進化させてきました。昨今のグローバル化、IT革新などにより、あらゆる産業分野で競争環境が速く、激しく変化する中、同社では「360°business innovation.」のスローガンを策定。変化の潮流を的確に捉え、マーケティング、ロジティクス、ファイナンス、リスクマネジメント、IT・プロセス構築力という総合力を駆使した事業基盤の拡大を図っています。

 こうした多角的かつ複雑な事業展開を支えるため、近年はこれまで本社やグループ企業が個別に構築・運用していたIT基盤をグループ全体でグローバル最適化を図る方向へとシフトしています。三井物産の植田勲氏は「当社のグローバル事業は現在65地域に及び、事業所数は138拠点、連結対象の関係会社は462社を数えます(2016年10月1日現在)。世の中のさまざまなニーズに応じて、国やお客さま、人やモノ、事業や情報をつなぐことが総合商社の使命です。そのため拠点間をどうシームレスにつないでいくかは非常に重要なテーマになり、その中枢となるIT基盤は事業の命運を握る生命線といえます」と語ります。

 すでに2011年より同社では海外拠点におけるネットワークの標準化、ローカルキャリアのマネジメント一元化に着手し、一定の成果を生んでいました。しかしインフラの整備が遅れている一部の新興国では、標準的な通信品質の確保が困難であり、工事や障害時のトラブル対応などでも大きくレベルの差が出ていたと言います。また近年のスマートデバイスやクラウドサービスといったコンシューマITの普及に伴い、セキュリティを担保した上でそれらのツールやサービスを業務利用したいという声が社内で高まっていました。

 植田氏は「たとえば通信については、つながらなかったり、遅延が発生したりしてはいけない。社員がどの国に赴いても均質のITサービスが受けられるようにしたい。そういった社内からの要請のレベルが、年々上がってきていました。同時に今後の拠点拡張やM&Aによる新たな企業間連携をスムーズに進めるため、経営環境の変化に素早く追従できる“自ら進化するIT基盤”が必要でした。そこでグローバルなIT基盤の刷新プロジェクトを開始したのです」と振り返ります。

 

“顔の見える”プロジェクト推進体制が決め手に

 同社が新たなIT基盤の要件として挙げたのは、グローバルの全拠点を網羅できるサービス基盤のカバレッジ、商社の業務に欠かせない高信頼で均一の通信品質でした。そしてアプリケーション、クラウド、オンプレミス、ネットワークなどすべてのITリソースをワンストップで提供し、マネジメントできるパートナーだったと言います。しかしIT基盤を構成するサービスレベルにおいては各社横並びで、採択の決め手にはなりませんでした。むしろ、同社がこだわったのはプロジェクト推進体制です。

 植田氏は「各拠点の関係者との意見調整を図り、日本を中心にグローバルな標準化を進める体制を構築できることが重要なポイントでした。当社は『米州』『欧州・中東・アフリカ』『アジア・大洋州』といった地域ごとに独立性を持たせた三極体制をとっています。当然、それぞれの地域におけるIT基盤強化への要望が同じということはあり得ません。しかしグローバルな全体最適を図っていくには、… 続きを読む… 続きを読む

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