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老朽化、見える化、クラウド化…基幹システムの課題
2016.12.21

解決策がここにある!IT部門のお悩みスペシャル第3回

老朽化、見える化、クラウド化…基幹システムの課題

著者 Bizコンパス編集部

 基幹系システムを取り巻く環境は常に変化し続けているほか、コスト削減や利便性の向上などといった要請を社内から受けることも多いシステムであるため、難しい判断が求められることも少なくありません。ここでは、システムの老朽化やグローバル全体における経営情報の見える化、あるいはSAP S/4HANAへの対応などの、基幹系システムでよくある課題を取り上げます。

 

お悩み1:オフコンをやめたいけどやめられない!オープン化までのシナリオをどう描く?

 現在、基幹系システムの一部でオフコンを使っていますが、ハードウェアの保守期限切れが迫っており、新しい製品を導入するか、オープン化するかの選択を迫られています。とはいえオープン化はかなり難航しそうなため、ひとまずオフコンをそのまま運用し続けることになりそうなのですが、運用コストの負担が大きくて悩ましい。何か解決策はないでしょうか。

オフコン利用における「2つの問題」

 会計や在庫管理、販売管理などといった業務において、今でもオフコンを使い続けているという企業は決して珍しくありません。しかし、その機能追加や運用を担ってきた技術者が高齢化する一方、オフコンを知る若手技術者が数少ないことから、人手不足の問題は年を追うごとに深刻化しているのが現状です。

 もうひとつオフコンの運用における問題として挙げられるのは、ハードウェアの老朽化やそれに伴うリプレース費用です。そこに膨大な費用を投じるのであれば、現在であればクラウドという選択肢もある、オープンシステムに移行したいと考えるのは当然でしょう。

 

オープン化はハードルが高い!オフコンはクラウドで“延命”できる

 とはいえ、オフコンからオープン系への移行プロジェクトは決して簡単ではありません。オフコンで実行されているプログラムを解析・調査し、それをオープン系に移植するのには膨大な作業が生じるほか、オープン化によってビジネスプロセスに影響が生じれば、現場からの理解が得られないといった事態にも陥りかねないためです。

 このオフコンのオープン化問題に特効薬はありませんが、ハードウェアの保守期限切れの問題であればオフコンのクラウド化で解決することが可能です。最近ではNTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud Powerオプション」やIIJの「IIJ GIO Power-iサービス」など、IBMのPower iシリーズをクラウド上で提供するサービスが登場しています。これらを利用し、自社のオフコン上で動作しているプログラムをクラウド上に移行すれば、オフコンを持つことなく利用すること可能になります。

 古いプログラムを実行するのであれば、CPUやメモリといったリソースはそれほど必要がないため、クラウドで必要とするリソースは少なくて済みます。また、段階的にオフコン利用を減らしていく場合は、クラウドのリソースもその都度減らすことができるのもメリットです。

Power iシリーズのクラウド化

 

お悩み2:海外拠点が個別にシステムを構築したので、現地の状況把握が困難

 海外拠点では、本社とは別に会計処理や在庫管理を行うためのシステムを導入したため、本社から売り上げや在庫が把握できません。取引先より、欠品への対応を柔軟にするよう求められています。海外の工場間で在庫を融通しあう体制を構築したいのですが、現地の状況がまるでわかりません。どのように改善を進めるべきでしょうか。

本社も事業部門も悩んでいる…

 システム連携がされていないため、業務部門が個別に海外拠点とExcelのファイルなどで情報をやり取りしているケースも多くあります。売上や在庫の報告にあたっては、毎回苦労して数値集めをしなければなりません。また、受注しても在庫の確認に時間がかかるので出荷日を確定できないといった、業務面での支障も生じており、事業部門から改善要望があがるケースも多いといいます。

 どんな業態においても、品質・コスト・リードタイムは経営にとって重要な要素です。いよいよ経営層から「改善せよ」との指示を受けるのですが、本社は現地の状況がわからないために、何からどう着手したらいいかわからないのです。

ERPパッケージを導入しただけでは解決しない

 このような状況を解消するためのツールとして、昨今多くの企業がグローバルに対応した小~中規模向けのERPパッケージの導入を進めています。具体的には、マイクロソフトの「Microsoft Dynamics AX」やSAPの「SAP Business One」などといったパッケージが挙げられます。しかし、これらを導入しただけで問題が解決するわけではありません。

 たとえばグローバルで在庫を可視化したいと考えたとき、それぞれの商品や部品のコード体系の統一が必要です。業務への影響も大きいため、現地と密にコミュニケーションを図りながら慎重に導入を進める必要があります。現地の意見に耳を傾けず、日本の本社の都合だけで強引にERP導入を推し進めれば、現地の反発を受けることにもなりかねません。

 そのため、ERP導入の支援を依頼するパートナーを選定する際には、業務面も含めてコンサルティングできる体制が整っていることはもちろん、日本に加えて現地にも拠点を持つベンダーを選定したいところです。現状を把握するための「サーベイ」を相談できるほか、現地拠点とのコミュニケーションもスムーズに進められるため安心できます。

 

導入後の運用やサポートも大事――クラウドサービスの活用も検討しよう

 導入後の運用やサポートについても検討しておくべきです。たとえば日本の深夜にトラブルが発生し、現地語で問い合わせが来るといった状況に対応できる体制を整えるのは、あまりにも負担が大きいと言えるでしょう。そこで活用したいのが、運用やサポートのアウトソースサービスです。この際、ERP導入の支援を依頼したベンダーがそれらを含めて対応できれば、導入フェーズから運用フェーズにスムーズに移行できるため、日本本社側の情報システム部門の負担を大幅に軽減できます。

 また、クラウドERPサービスも多く提供されています。メリットは、サービス利用型のため資産を持たず必要な分を必要なだけ迅速に利用開始できることと、海外各国の法制度や商習慣への対応がサービス提供事業者側で一元的に実施されるという点です。たとえばNTTコミュニケーションズの「Microsoft Dynamics AX on Enterprise Cloud / Azureソリューション」は、海外現地でのコンサルティングにより初期検討段階から支援できるほか、システム面ではアプリケーション、ネットワーク、システム運用やビリングまでワンストップで提供しています。

Microsoft Dynamics AX on Enterprise Cloud /Azure サービス構成

 

お悩み3:SAP S/4HANAへ移行するか、方針を出さなければならない

 現在利用しているSAP R/3が2025年でサポートを終了するという発表があり、SAP S/4 HANAへの移行をするかどうか、さらに移行する場合はどのように実施するのかについて、方針を出さなければなりません。どのようにして検討を進めればいいでしょうか。

約60%の企業がSAP S/4HANAへ移行する?

 SAP ERP 6.0およびSAP Business Suite 7について、SAPは2025年でメインストリーム保守を終了することを発表しています。そのためユーザー企業は、現行のERP環境をどう更新するのかを検討しなければなりません。

 そのSAPが新たなERPパッケージとして提供しているのが「SAP Business Suite 4 SAP HANA」(以後、SAP S/4 HANA)です。インメモリデータベースであるSAP HANAとの統合やOLTPとOLAPの融合によるリアルタイム化など、SAP S/4 HANAには多くの特長があります。とはいえ既存バージョンからの移行は大がかりなプロジェクトとなることが必至なため、多くの企業がERP環境を今後どうするのか、頭を悩ませているのが実情ではないでしょうか。

 各企業の動向は明らかではありませんが、2018年をめどに約20%の大企業がSAP S/4 HANAへ移行すると見られており、その後2025年までに約60%の企業がバージョンアップするであろうと予測するアナリストもいます。サーバーのハードウェア更改時期や事業の方向性などを踏まえて方針は固め、SAP S/4HANAへ移行するなら、徐々に準備を進める必要があるでしょう。

 

SAP S/4HANA移行のポイントは「データベース」

 具体的な方策として、クラウド上のHANAにデータを移行し、BIなどOLAP系のシステムで利用してその効果を見極めるといったことが考えられます。こうして検証を進める中で、既存データベースの内容を徐々にHANAへ移送し、SAP S/4 HANAへのバージョンアップの準備を進めていくというわけです。

 いずれにしても、SAP S/4 HANAへの移行を考える上で、大きなポイントになるのはデータベースです。現状SAP ERP環境においてオラクルデータベースなどを組み合わせて利用している場合、まずデータベースであるHANAにリストラクチャリングする必要があります。前述したとおり、HANAはインメモリデータベースであるため、ハードウェアも根本から考え直す必要があるなど、このデータベース移行もユーザー企業にとって頭の痛い問題でしょう。そこでクラウドを利用してコスト負担を抑えつつ、徐々にSAP S/4 HANAへの移行に向けた準備を整えていくというわけです。

 なおNTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud for SAP HANA」など、クラウドサービスとしてHANA環境を利用できるサービスはすでに登場しています。2025年以降もSAPを使い続けるという判断をするのであれば、こうしたサービスを利用し、徐々にデータベース移行を始めるのが現時点での最適解ではないでしょうか。

Enterprise Cloud for SAP HANA / Enterprise Cloud for SAP ソリューション

 

お悩み4:基幹システムのクラウド化は、ネットワーク障害や遅延がとにかく心配!

海外拠点を含め、オンプレミスの基幹系システムをクラウド化する計画です。これまでLAN上にあったシステムがクラウドへ行くので、やはりネットワーク障害や遅延が気になります。大丈夫でしょうか?

ネットワークはクラウドとセットで考える

 オンプレミスで運用している基幹系システムをクラウド化する場合、まず意識したいのはネットワークの品質です。オンプレミスでは問題なく動作しているシステムでも、クラウド化によってネットワーク遅延が増大し、それによってトラブルが発生するといったことは十分に考えられます。そこで活用したいのが、クラウドとネットワークを一体的に提供しているベンダーのサービスです。こうしたベンダーであれば、クラウド化するシステムの内容やクラウドの利用形態に合わせてネットワークを提案してもらえるため、クラウド移行におけるネットワークのトラブルを回避できるでしょう。

 

海外拠点は「現地キャリアコントロール」と「クラウドのリージョン」がカギ

 海外拠点のシステムのクラウド化においても、ネットワークは注意すべきポイントです。それは国や地域によっては、ネットワークの品質が低い、あるいはネットワーク遅延が大きいといった問題が起こる可能性があるためです。また故障が発生した際、その対応までに時間がかかるといったこともあり得ます。海外拠点ごとに現地の通信キャリアと個別に契約してしまうと、このような問題が発生した際に個別に対処する必要があり、相当の負担を強いられることになります。そのため、利用するネットは、グローバルにサービスを展開しており、かつ現地のキャリアをしっかりコントロールできる通信キャリアのサービスを採用し、窓口を集約して全て任せるのが得策です。

 また海外拠点とクラウドサービスを提供している場所が離れていると、ネットワーク遅延が増大してしまいます。そのためクラウドサービスの選定においては、グローバルの各地でクラウド基盤を構築していて、海外拠点から近いリージョンを選択できることを要件に加えるようにしましょう。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

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