世界中の情報や人々と瞬時にアクセスできるインターネットは、もはや私たちの生活に欠かせないツールです。この地球を網羅するネットワークにおいて、非常に重要な役割を担うのが国際海底ケーブルです。
近年、企業活動のグローバル化に伴い企業用の専用線やVPNなどが世界中を網羅しており、グローバル通信の需要は年々高まっています。そのうえ日本ではこれから世界的なビッグイベントが続くことも、インターネットトラフィックを増大させる要因となるでしょう。
そのような中、2020年の開通に向けて日本と米国、フィリピンを結ぶ新たな国際海底ケーブル「JUPITER」の建設が進んでいます。この国際海底ケーブルのプロジェクトに参画しているNTTグループの担当者に話を聞きました。
インターネットトラフィックの止まらぬ上昇曲線
総務省の発表によると、2017年11月から翌年11月の1年間で国内のダウンロードトラフィックは23.5%も増加(下図参照)。その数値は、年々加速度的に上昇しています。その背景には、スマートフォンやタブレットなどの接続端末の増加や、オンラインゲーム、音楽・動画のオンデマンド配信、SNSの普及によるコンテンツの大容量化といった個人利用の拡大があります。
さらにビジネスにおいては、クラウドサービスの利用が急増し、ネットワーク接続が事業活動の前提となっていることもトラフィック増加を招いているでしょう。今後ますますインターネットを流れるデータ量が増えていくことを考えると、いずれ物理的なネットワーク回線の容量が足りなくなるのは明らかです。
我が国のブロードバンド契約者の総トラヒック(ダウンロード)比較

現在、世界の大容量通信を支えているのが光海底ケーブルです。年々増加するアジア・米国間のインターネットトラフィック需要、クラウドサービスの活性化、5G無線通信時代などに対応するために、そして2020年、多くの外国人観光客が日本を訪れる東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、2017年、新たな光海底ケーブル「JUPITER」の建設プロジェクトは始動します。
なぜ太平洋に新たな海底ケーブルを敷設する必要があるのか
JUPITERは日本・アメリカ・フィリピン間を結ぶ、総延長約14,000kmとなる大容量の光海底ケーブルです。日本では三重県と千葉県、米国ではカリフォルニア、フィリピンではダエットに陸揚げされます。すでに、太平洋を経由して日米を結ぶ国際海底ケーブルは複数ルートが存在しますが、どうして増やす必要があったのでしょうか。… 続きを読む