いま求められる“顧客接点の強化”(第6回)

マーケティングは「ファネル」から「ジャーニー」へ

2018.07.18 Wed連載バックナンバー

 日常の中で接触するメディアが多様化したことで、顧客にメッセージを届けるための手段も大きく変化しています。そのような状況を見据え、企業はマーケティング戦略を転換するべきと話すのは株式会社ビービットの宮坂祐氏です。企業が採るべき今後のマーケティング戦略や最新事例などについて、宮坂氏に伺いました。

 

テレビの視聴率が語るマーケティング戦略を変えるべき理由

 ある商品を認知して興味・関心を抱き、それを手に入れたいという欲求が生まれて商品名などを記憶、そして最終的に購買行動に至るプロセスが「AIDMA」と呼ばれているものです。インターネットが普及してからは、興味・関心を抱いた後に検索を行って購入し、その評価をSNSなどで共有する「AISAS」というモデルの考え方も広まりました。

 この2つのモデルはいずれも、顧客における商品の認知(Attention)や興味・関心(Interest)を前提としています。そのためのツールとして広く使われてきたのがテレビCMです。テレビは大勢の人が日常的に触れるメディアであり、そこでCMを流せば多くの人に商品を認知してもらったり、興味を持ってもらったりすることが可能です。

 しかしながら、株式会社ビービットの宮坂祐氏は「顧客の認知を獲得することにおいては、やはりテレビは強い」と認めつつ、テレビだけを前提としたマーケティングのやり方は変えていくべきだと指摘します。

「今から約39年前の1979年には、視聴率が30%を超えた番組枠は一年間に1,860本ありました。しかし2年前は、たった3本しかなかったのです。メディアへの接触時間を考えたとき、かつてはテレビ一辺倒でしたが、現在はテレビではない何かに分散しているわけです。それがインターネットであり、今はスマートフォンであるというわけです」

クイズ ~ 視聴率30%超えのテレビ番組の年間本数は?

 従来のマーケティングは、テレビCMを見て興味を持った、できるだけ多くの人たちが購買行動に至るようにコミュニケーションを設計する、いわゆる「ファネル型」モデルと呼ばれるものでした。しかし接触するメディアが分散するようになったことで、従来のマーケティングでは十分な成果が得られなくなりつつあると宮坂氏は指摘し、その上で「うまくお客さまの生活に寄り添いながら、タッチポイントを取って商品が売れやすくなる土壌を作る。そういった『ジャーニー型』のマーケティングモデルに変えていくべきではないでしょうか」と話します。

デジタル化で転換を迫られるマーケティングモデル

 

顧客に寄り添ったマーケティングにはデータが重要

 こうしたジャーニー型のマーケティングにおいて、先行している国として宮坂氏が挙げるのは中国です。特に都市部におけるスマートフォンの普及率は極めて高く、たとえば上海では人口の97%に普及しているといいます。スマートフォンを使ったサービスも広く使われており、「都市部の人は財布を持ち歩かなくなっているほど、モバイル決済のサービスが浸透している」(宮坂氏)ほか、シェアサイクルの人気も高まっています。

「中国ではMobikeというシェアサイクルのサービスが人気を集めています。都市部に行くと街中に自転車があり、30分1元で乗ることができて、どこにでも乗り捨てられます。自転車側にGPSが付いていて、乗り捨てられるとMobikeの回収車がピックアップして乗られやすい場所に再配置します。ユーザーにとっては、乗りたいときにすぐに自転車を見つけられるし、目的地で乗り捨てればよいため、便利なサービスとして多くの人に利用されています」

デジタル先進国 中国:デジタル化する移動サービス

 ただしビジネス的に考えた場合、専用の自転車を配置し、さらに回収車を街中に走らせるためのコストなどを考えると、30分1元(約15~16円)の価格設定で黒字化するのは困難でしょう。それでも事業が成功している理由として、宮坂氏が説明するのは… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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