インターネットやスマホの普及などにより、モノの買い方が、従来から大きく変わりつつあります。
特にオンラインショッピングでは、自身の購入履歴をもとにパーソナライズされたレコメンド(おすすめの商品)が表示されることが、もはや当たり前になりつつあります。多くのECサイトでは、実店舗に行かなくても、店側の提案を受けられるというわけです。
しかし、株式会社セールスフォース・ドットコムの丸山浩太郎氏によれば、このようなモノの買い方の変化に伴って、消費者と企業の間に“大きな溝”が生まれ始めていると指摘します。
企業が消費者との間にあるその“大きな溝”を埋めて、消費者のニーズに応え、ビジネスを成立させるためには、どうすれば良いのでしょうか?丸山氏に話を聞きました。
消費者は「企業は自分のことをわかっていない」と考えている
丸山氏は、消費者と企業の間にある「大きな溝」とは、両者の“価値観の差”のことであると説明します
「我々の調査によると、企業の60%が『自分たちの価値は良い製品を作ることやいいサービスを提供すること』と考えていて、『お客さまはその良い製品・良いサービスを、必ず魅力的に感じてくれるだろう』と考えています。
しかし一方で、顧客の73%が重視しているのは『購買体験』です。たとえば、“商品選びから購入まで、ストレスなく気持ちよく購入できた”、“自分が欲しいと思っていたモノをレコメンドしてくれた”、 といったような体験を最優先しているのです」

こうした価値観の差は、企業の販促活動が消費者にうまく届かないという、もう1つの“溝”を生み出すことにつながります。
現在、実店舗やECサイト、コンタクトセンター、あるいはWebサイト上の会員サイトやコミュニティサイトでは、企業と顧客間の接点は増え続けています。それらのチャネルで得られた顧客情報を統合型プラットフォームにまとめて、販促活動に利用する動きも広まっています。
「たとえば、86%の企業が『統合型プラットフォームを用いて、ユニファイドコマース(顧客それぞれに価値のある購買体験を提供するためのマーケティング手法)を実現したい』と考えています。
しかし、『自分のことをよくわかっている』と満足している購入者は、全体の4%に過ぎませんでした。企業側は顧客に様々な手法でマーケティングを実施しているつもりでも、ほとんどの消費者は『企業は自分のことをわかっていない』と考えてしまっているのです」

顧客に“ファン”になってもらうためのツールがある
なぜ、統合型プラットフォームというツールを使っているにも関わらず、企業はそれぞれの顧客に適したマーケティングや販促活動に失敗してしまうのでしょうか。丸山氏はその理由について、… 続きを読む