2018.03.30 Fri

 クラウドサービスの進化・拡大に伴い、従来オンプレミスで運用していたPBX(Private Branch Exchange)をクラウド化するケースが、企業だけでなく自治体にも増えています。町村合併から12年を迎えた福島県南会津町は、新庁舎の建設を機に全拠点にクラウド型PBXを導入し、電話システムを一新。その背景には、防災拠点としての役割を担う新庁舎のBCP対策の取り組みがありました。 

 福島県の南西部に位置する南会津町は、2006年3月に田島町・舘岩村・伊南村・南郷村が合併して誕生。地形は越後山系から連なる帝釈山を最高峰に、山に囲まれており、本庁舎の標高は550mとなっています。河川は荒海山を源とする阿賀川水系と伊南川水系の2つを有し、水系とその支流沿いに5本の国道が走り集落が点在しています。気候は、夏は朝夕しのぎやすく、冬は厳しい日本海型に属し、特に西部地区は特別豪雪地帯に指定されています。町の総面積は886.47km2で、その約92%が森林で占められています。 

 

新庁舎の建設に向けて通信環境の見直しが求められていた

 4つの町村の合併で誕生した南会津町の以前の本庁舎は、1966年に竣工した施設であり、建物の老朽化や耐震性に不安を抱えていました。2011年の東日本大震災を経て、新庁舎建設の機運が高まり、「住民の安全・安心な暮らしを支える防災拠点となる庁舎」をコンセプトに新庁舎の建設に着手し、2017年7月に開庁を迎えることができました。新庁舎建設に伴い、課題となっていたのは通信環境の見直しでした。12年前の町村合併以前に4町村が運用していた、別々の電話システムが混在していたのです。

 南会津町総務課の渡部正義氏は、通信環境見直しのきっかけについて語ります。

「大きなきっかけとなったのは、2011年3月に発生した東日本大震災です。南会津町は内陸部に位置しますので、4地域の庁舎には大規模な被害は無かったのですが、あらためて庁舎の防災・災害復興拠点施設としての課題が浮き彫りになりました。そこで新庁舎建設には、万一の災害に強いことが求められたのです。中でも通信環境は最重要なインフラであると考えていました」

 新庁舎建設にあたっては、4庁舎(本庁と3つの支所)のPBX老朽化が喫緊の課題となっていました。同町南会津町総務課の渡部正義氏は、当初は従来通りのオンプレミス型PBXへの更改を考えていたと振り返ります。

「4庁舎は、それぞれ町村合併以前から使用している別々のオンプレミス型PBXを設置しており、電話システムが継ぎはぎの状態になっていました。通信設備のリース時期もバラバラで、運営についても支所ごとに維持・管理されていて、町全体として把握することは困難でした。そこで、老朽化しているPBXをどうするか課題になっていました。それぞれ莫大な費用を掛けて整備するには、財政的に大変な負担となります。そこで、コストを抑えつつ4庁舎が統一性のとれた通信機器を設置する施策を模索していました」

 東日本大震災では、近隣の福島県内の自治体では、PBXやサーバーなどのシステムのダウンも経験。復旧作業に多くの手間とコストがかかりました。電話やシステムが使えないと、業務が停止してしまい、災害情報の収集や復旧活動の指揮などに支障を来すことも考えられます。業務システムについては、BCP対策として庁舎内に極力サーバーを設置しない方針を推進しているという中、PBXについてもクラウド化が可能であること知ったシステム担当は、クラウド化の検討を始めました。


従来の約4分の1の導入コストが決め手となり、全庁舎一括導入を決断… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

このテーマについてもっと詳しく知りたい

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

関連キーワード