前回(クラウド導入のステップ 前編)に続いて、オンプレミスで運用しているシステムをクラウドに移行する際のポイントを紹介します。今回は、オーバースペックになりがちなサーバー稼働を把握することで、コストの最適化を実現する「サーバーリソース調査サービス」について詳しく解説していきます。
オーバースペックになりがちなオンプレミスの物理サーバー
オンプレミスで運用しているシステムをクラウド化する理由として、最も多く挙げられるのは「コスト削減」でしょう。クラウドサービスとして提供されている仮想サーバーを利用すれば、障害発生時の調査やその対応、メーカー保守の期限が切れた場合の新サーバーへの移行など、運用保守のための作業の負担を大幅に軽減することが可能になり、それによってコスト削減を実現できるからです。
この保守運用の負担軽減と併せて考えたいのが、「サーバーリソースの適正化」です。具体的には、システムが必要とする処理能力を見極め、各々のサーバーに必要なリソース(CPUやメモリ、HDDなど)を過不足なく割り当てることでクラウド環境において利用する仮想サーバーのコストの最適化を図ります。
クラウド移行によるコスト削減効果はプロジェクトによってさまざまですが、たとえばNTTコミュニケーションズの「クラウドマイグレーションサービス」を利用してクラウド移行を果たしたある企業では、1,700台あったサーバーを500台にまで減らし、さらにトータルコストを30%削減しました。このように適正にクラウドサービスを利用すれば、大きなコストダウンを図れる可能性があります。
とはいえ、オンプレミスで運用しているサーバーをそのままクラウドに移すだけでは、コスト削減は見込めません。そこでぜひ実践していただきたいのが、サーバーの利用状況を見極め、徹底的にムダを排除することです。
自社のIT環境に、それほどムダがあるとは思えないと考えるかもしれません。しかしオンプレミスで利用する物理サーバーは、処理能力が不足すると遅延やシステムの停止といったトラブルに発展する恐れがあります。また、処理能力の増強にはサーバーの入れ換えなど大掛かりな作業が必要であることから、実際に必要な処理能力よりも高性能な製品を選ぶケースが一般的です。高性能なサーバーを導入すればそれだけコスト負担も増えますが、いわばトラブルを防ぐための保険であり、将来的に高い処理能力が必要になったときのための投資であると捉えるのです。

さらに最近では、低価格なサーバーでも(以前と比較すると)高性能なCPUや大容量のメモリを搭載しています。このため、それほど処理能力を必要としないシステムの場合であっても、「それ以下の選択肢がない」という理由でオーバースペックなサーバーが使われるケースも少なくありません。… 続きを読む