営業にダマされない! ITサービスの選び方(第1回)

営業にダマされない! クラウドサービスの選び方

2013.04.05 Fri連載バックナンバー

本記事は2013年に制作されたものです。最新の情報は「2018年版・営業にダマされない!」にてご確認ください。

 企業のIT担当者のところには、よくシステム関連の企業から売り込みがやってきます。そのとき、どのように判断すべきでしょうか?売り込みの営業担当者の言葉だけを信じて○○を採用すると、失敗する可能性も……
 「営業にダマされない! ITサービスの選び方」第2回のテーマは、クラウドサービスです。まずは、営業マンの売り込みを信じてしまって失敗した3つの例を見ていきましょう。

 

低料金だがサービスのインフラの堅牢性に問題

営業担当

<営業担当>

 情報システムのインフラ部分のクラウド化をお考えなら、各業者のサービスメニューを見てみてください。
 実はインフラ部分のサービスはどの業者もだいたい同じなのです。提供されるサービスが同じなら、コストを抑えることが出来る料金の安いサービスの方が断然お得です。


情報システム担当

<情報システム担当>

 料金のメリットに注目して自社構築のECサイトを業者のクラウド上に構築、数ヶ月の運営を行なっていたのですが、ある日業者のサーバーが障害を起こして数時間にわたってサービスが停止してしまう事態が起こりました。
 業者とはSLA(※通信サービスの事業者が、利用者にサービスの品質を保証する契約)を交わしていたので、その月の利用料金は割引されたものの、ECサイトが停止した時間に想定される売り上げ金額には到底及ばない金額でしかありませんでした。業者は逸失利益の弁済には応じません。

 サービスメニューが似通っていても、サービスを提供するインフラのセキュリティや可用性はさまざま。サーバーのダウンを見越してバックアップや二重化対策がとられていないと、復旧までに長時間を要したり、場合によっては回復できない事態に陥ります。
 シマンテックの調査(2013年2月4日プレスリリース)によると、世界のクラウド利用企業の 43% は「クラウドのデータ喪失とそれよるバックアップからのデータ復旧」を経験しており、68% が「クラウドのデータ復旧の失敗」を経験し、22% がクラウドでの破滅的なデータ喪失からの復旧に3日以上かかると答えています。

 こうした失敗は常に起こりうると考え、業者のデータセンターがどのような設備構成になっていて障害対策をどのようにしているか、そしてバックアップ対策をどのようにしているのかを、契約前に確認し、できるだけ安心できる業者を選ぶ必要があります。

 

スケールアップ、スケールアウトに時間とコストがかかる

営業担当

<営業担当>

 当社のクラウドなら必要に応じて処理能力を増強するのが簡単です。
 その逆に処理能力を下げて料金を抑えることも簡単です。


情報システム担当

<情報システム担当>

 当面はごく小さな構成でスタートし、徐々にシステムを拡張する手法をとるのが合理的と考えました。しかし、実際に運用を始めてみるとアクセス数が予想を大きく超えることがあることがわかりました。
 システム増強策を考えましたが、その業者のサービスではシステムをいったん退避して、新しく構築した仮想サーバーに再構築する手間がかかることがわかりました。
 またこれは自動的に行なわれるのではなく、自社の運用管理者が処理能力の不足を見越して手作業で行なう必要があり、管理負荷が重いことも判明。予想していなかった追加料金と運用管理コストが加わり、予算をオーバーしてしまいました。

 性能を増強するには、システムに手を加えずにそのまま増強できる場合と、システムを再構築しなければならない場合があります。スケールダウンの場合も同様です。業者により違いがあるので注意しましょう。
 また、仮想サーバーを増やすスケールアウトの場合には、ローカルIPアドレス、グローバルIPアドレスのどちらも制限があるケースがあります。必要なサーバー数に対応できない場合は、アドレス追加のための追加料金が必要になるか、サーバーを一定数以上は追加できないことになります。

 なお、サーバー台数を減らす際は、スケールアウトしたサーバーを停止しただけだとサーバーの料金がかかり続けるサービスもあります。完全に仮想サーバーを削除しなければコストが抑えられないので注意が必要です。

 

業務の特長とネットワーク品質とが合わない

営業担当

<営業担当>

 インターネットを利用するので、クラウドの通信料金は低く抑えられます。御社では各地に拠点を展開しておられますが、本社のシステムを利用するためのネットワークにコストがかかっているのではありませんか? クラウドサービスに切り替えれば、全国どこからでも安い通信料金で業務システムにアクセスできますよ。


情報システム担当

<情報システム担当>

 これまで各地の拠点間をVPNでメッシュ接続していて、それにコストがかかっていたのは事実。インターネットを使っていてもデータを暗号化することで安全に通信できると聞かされ、これを機会に通信回線コストを削減できると判断してクラウドサービスに踏み切りました。
 しかし運用を始めてみると、思いのほか遅延が大きく、自社内のシステムとの連携が適時に行なえないことがわかりました。インターネットはベストエフォートサービスなので、利用できる帯域が一定でなく、遅延の大きさが読めなかったのです。

 インターネットは他のユーザーの利用状況によっても利用可能な帯域が変わります。リアルタイムなデータのやり取りが必要なシステム連携や、頻繁に大きなサイズのファイル転送を行なうといった利用法には向きません。ただし現在では通信事業者がクラウドに対応したネットワークサービスを提供しており、帯域の保証や優先制御が行なえるので、遅延が問題になることが少なくなります。

▼まずは、クラウドサービスの基本をおさらいしておきましょう▼
「クラウドサービスとは?」

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

Bizコンパス編集部

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