Bizコンパス

新・営業にダマされない!クラウドサービスの選び方
2018.03.20

2018年版・営業にダマされない!ITサービスの選び方第2回

新・営業にダマされない!クラウドサービスの選び方

著者 Bizコンパス編集部

よくある失敗例

 企業のIT担当者の元には、「○○を導入しませんか」「○○にすればコスト削減できます」といったセールスがよく訪れます。しかし実際に導入しても、営業マンの言葉のような成果は上がらず、かえって導入前よりも不便になったり、コストが高くなってしまうケースもあります。本連載「新・営業にダマされない!ITサービスの選び方」は、そうした営業の売り文句を鵜呑みにせず、ITサービスを正しく導入するためのノウハウを紹介します。

 第2回目のテーマは、「クラウドサービス」です。企業の基幹システムでも採用が進み、本格的な導入を進めている企業も多いでしょうが、中には以下に紹介するような失敗をしてしまったケースもあるかもしれません。

 

オンプレミスからの移行なら、弊社のコストは安いですよ!

営業担当

<営業担当の売り込み>

 弊社のクラウドサービスは、数多くの機能を実装しており、ERPCRMをはじめ様々なミドルウェアに対応できます。オンプレミスで構築した基幹系システムのクラウド環境への移行を考えている場合は、弊社のサービスがオススメです。コストを抑えて簡単にクラウド化できます!


情報システム担当

<情報システム担当>

 コストや拡張性の観点から自社システムを一部クラウドに移行し、クラウドとオンプレミスを両立する“ハイブリッド”なシステムの構築を検討していました。

 しかし、具体的な検討段階に入り、自社のオンプレミスとクラウドサービスを連携させるには、クラウド・オンプレミスのハイブリッド環境でシステムを構築・運用するノウハウと、事業者のサポートが必要だと、ようやくわかりました。結局、その会社にはノウハウもサポートもなく、クラウド事業者の選定をまた一から始めることを余儀なくされました。

 クラウドとオンプレミスをハイブリッドで連携するためには、(1)アプリケーションの互換性、(2)サーバー環境同士をつなげるネットワーク、(3)統合管理ツール、(4)サポートの4点が重要な要素になります。特に、クラウドサービスを複数利用する場合は、事業者ごとに使っている技術やサポートが異なるため、困難になります。

 クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境を構築する際には、「他社クラウドサービスとの互換性や事業者のサポート範囲、クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境を構築するノウハウを持っているか」という点に注意して、事業者選定を行いましょう。

 

インフラ部分はどの会社も同じ! だったら安いほうが有利です!

営業担当

<営業担当の売り込み>

 自然災害によるサービス停止を免れるためには、システム基盤のクラウド化は必須ですよ。各事業者のサービスメニューを見てください。実はインフラ部分のサービスはどの事業者もだいたい同じなのです。

 提供されるサービスが同じなら、コストを抑えられる弊社サービスが断然お得です!


情報システム担当

<情報システム担当>

 料金のメリットに注目して、自社構築のECサイトをクラウド上に構築・運営をしていたのですが、ある日、システム障害を起こして、数時間にわたってサービスが停止してしまう事態が起こりました。障害自体は軽微なものでしたが、事業者のサポート時間(9:00~17:00)外に発生した障害だったため、すぐにサービス復旧できませんでした。

 事業者とはSLAを交わしていたので、その月の利用料金は割引されたものの、サービスが停止した時間に想定される売上金額には到底及ばない金額でした。当然、事業者は売上に対する保証はしてくれませんでした。

 クラウドのメリットは、事業者がサーバー等の管理・運用をしてくれるという点にありますが、事業者のサポート体制が不十分なことが理由で損失が出てしまっては本末転倒です。

 今やクラウドは、24時間/365日の安定的なサービスが当たり前となってきています。サーバーダウン等の発生でサービスを止めてしまわないためにも、事業者の選定には特に気を使いましょう。

 

海外拠点の通信費を抑える秘策があるんですよ!

営業担当

<営業担当の売り込み>

 御社は世界各地に拠点を展開していらっしゃいますよね!? であれば、ネットワークの通信費が課題になっているのではないでしょうか。弊社クラウドサービスの特徴は、ネットワークにインターネットを利用することで、大幅に回線コストを低減できます。さらに、インターネットVPNでセキュリティも確保できます。


情報システム担当

<情報システム担当>

 弊社は海外に多数の拠点を持っています。そのため、国ごとに業務システムが分かれており、システムの運用方法やセキュリティ基準がバラバラという課題がありました。そこで、全拠点の業務のリアルタイム把握と運用管理業務の効率化を目指して、システムをクラウドに統合しました。

 結果、全拠点から同じシステムにアクセスできるような仕組みになりましたが、運用を始めると、時間帯によって想像以上のネットワーク遅延が発生し、自社内のシステムとの連携が適時に行えないことがわかりました。ネットワークのコストを抑えるためにインターネットVPNを利用したことで、思わぬところでつまずいてしまいました。

  クラウドサービスに求められるネットワークの条件は「安定性・信頼性・安全性」の確保です。もちもん、ネットワークの質と価格はトレードオフの関係になりますが、業務やサービスの特性を把握した上でネットワークの選定をすれば、トラブルは回避できるはずです。

 回線速度はサービスプランによって異なるので、事前確認をしておくことがおすすめです。特に、グローバルに拠点を展開している企業であれば、海底ケーブルの回線速度やトラブルの可能性、あるいはそのデータセンターが設置されている国の治安や政情なども考慮しておく必要があります。

▼そもそも、クラウドサービスとは何なのか? 基本をおさらいしておきましょう▼
「そもそもクラウドとは?」

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

そもそもクラウドとは?

クラウドサービスとは?

 クラウドコンピューティングとは、これまで社内で管理・運用していたサーバーやストレージ、データベース、ネットワーク、ソフトウェアなどのコンピューティングリソースを、インターネットなどのネットワーク上に移し、必要なものを必要な時、必要な分だけ利用できる、コンピュータの利用形態です。

 クラウドコンピューティングの特徴には、以下の5つがあります。

(1)オンデマンド・セルフサービス : ユーザーの要求に対し、サービス提供側がITリソースを素早くユーザーに提供する。たとえば、 ユーザーがWeb画面(ポータルサイトなど)からシステムの調達や各種設定を行うと、人手を介することなく、自動で実行できるという特徴を持つ。

(2)幅広いネットワークアクセス : PCだけではなく、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスから利用できる。

(3)リソースの共有 : 複数のユーザーでシステム資源を共有し、融通し合える仕組みを備えている。

(4)迅速な拡張性 : ユーザーの要求に応じて、システムの拡張や縮小を即座に行える。

(5)サービスが計測可能・従量課金:たとえばCPUやストレージをどれくらい使ったかを電気料金のように計測できる仕組みを持ち、それによって従量課金が可能である。

 クラウドを活用することで、オンプレミスよりも「人的ミスの排除」「調達や変更の高速化」「運用管理の負担軽減」といったメリットが得られます。人件費の削減やテクノロジーの進化に伴う開発コストの改善ができるようになります。

 クラウドはどんなリソースを提供するのかによって、「SaaS/FaaS/PaaS/IaaS」の4種類のサービス形態に分類されます。さらに、どのように共用するのかという視点によって、「パブリッククラウド/プライベートクラウド/コミュニティクラウド/ハイブリッドクラウド」の4種類に分類できます。

 

クラウドサービスの種類

パブリッククラウド

 不特定多数のユーザーがインターネットを経由し、共有して利用するサービスです。オンライン上からの簡単な手続きですぐに利用できます。リソースを使った分しかコストがかからないため、安価に利用できるのが特徴となります。

プライベートクラウド

 自社専用のクラウド環境で、自社の運用に合わせて環境の構築やカスタマイズができます。プライベートクラウドは自社内で構築されるオンプレミス型プライベートクラウドと、パブリッククラウドの一部区切ってユーザー専用のクラウド環境を構築・提供するサービス(ホステッド・プライベートクラウド)に分類されます。

コミュニティクラウド

 自治体や銀行など特定業種や共同体専用のクラウドサービスです。

ハイブリッドクラウド

 プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせて使うのがハイブリットクラウドです。セキュリティやカスタマイズ性の高いプライベートクラウドと、導入スピードが早く費用や運用負荷が少なくてすむパブリッククラウドを組み合わせて使えます。

 

クラウドのサービスモデル

SaaS

 クラウド基盤上で稼働するアプリケーションを、インターネット等を経由して利用できるサービスです。「Software as a Service」の略となります・

FaaS

 特定の機能や関数を「HTTP」、「モバイルアプリ」などで呼び出し、その実行環境を、インターネット等を経由して利用できるサービスです。サーバーレスで処理を実行でき、利用した機能分だけ料金計算されるのが特徴となります(Function as a Service」の略)。

PaaS

 サーバーなどのインフラ(IaaS)に加えて、OSやフレームワーク、アプリケーションの開発・実行環境を、インターネット等を経由して利用できるサービスです(Platform as a Serviceの略)。

IaaS

 仮想マシンやネットワークなどの基盤を、インターネット等を経由して利用できるサービスです(Infrastructure as a Serviceの略)。

 

▼クラウドサービスを利用するメリット・デメリットは次ページで!▼
「メリット・デメリット」

メリット・デメリット

クラウドを取り巻く状況

 近年では、クラウドの導入は当たり前になりつつあります。企業が情報システムを設計する際、まずクラウドサービスを最優先する「クラウドファースト」という言葉も登場し、「AI」「IoT」といった新しい技術を導入する上でも、クラウドは当たり前になってきました。

 MM総研の調査によると、2015年度の国内クラウド市場は1兆108億円と1兆円を超え、2016年度は1兆4,003億円となっています。加えて、IDCの調査によれば、2021年の国内クラウド市場規模は、2016年と比べてパブリッククラウドで約2.9倍プライベートクラウドでは約5.2倍になると見られています。企業のクラウド導入は、今後も進んでいくことが見込まれます。

 これまでのクラウドでは、セキュリティ面での不安がクラウド導入を妨げるポイントの1つとして取り挙げられることもありましたが、下記のグラフが示すように「自前でセキュリティ対策をするより、クラウド事業者に任せた方が安心」というイメージに変わりつつあり、こういったユーザーの心境の変化もクラウドを加速させる要因の1つになっています。

 しかし、技術やコストという観点で見た時に、例えば、「クラウドが良いのか、オンプレミスが良いのか」というように、何が正解なのか判断することは非常に難しいことです。業務や提供サービスの特性に合わせて、TCOが最適になるように選択していければいいのですが、複雑化したサービスメニューは、クラウドを導入する際の障壁となってしまう恐れがあります。

 そういった状況の中で正しい選択をするためにも、クラウドのメリット・デメリットを最低限知っておく必要があります。次のページで、簡単に紹介します。

 

クラウドを使うメリット・デメリット

 自社にどのようなクラウドが必要なのか、どんなクラウド基盤・環境が最適なのかを判断するのは、専門家でも非常に難しいことです。しかし、自社で下記のポイントを最低限把握しておくことで、クラウド移行における失敗を未然に防げます。

 クラウドを導入することによって、そもそもどんなメリットがあり、どんなデメリットがあるのか。基本的なことから学んでいきましょう。

【メリット】

(1)サーバーを社内で持つ必要がなくなる

(2)初期投資が少なくてすむ

(3)早く導入でき、設定変更も簡単にできる

(4)最新の技術環境を常に利用でき、メンテナンスが不要

(5)導入や運用管理に関する社内情報システム担当者の負担が軽減できる

 

【デメリット】

(1)ネットワーク障害が発生すると利用できない

(2)クラウド環境のカスタマイズに制限がある

(3)システム環境がベンダーに依存してしまう

(4)倒産やEDoS攻撃※によるサービスの停止

(5)自社のシステム運用・管理ノウハウがなくなってしまう

※経済的損失を狙ったサイバー攻撃のこと。「Economic Denial Of Sustainability attack」の略。

▼詳細は無料PDFのチェックリストで確認!▼
「すぐに使えるチェックリスト」をクリック!

すぐに使えるチェックリスト

 クラウドサービスは検討項目が多岐にわたるため、導入に際しては、専門家や事業者の担当と相談しながら進めることが望ましいです。

 そこで本記事では、クラウドサービス(パブリッククラウド)を検討する際に、事業者の言いなりにならずに自社に最適なサービスを選ぶためのチェックリストを用意しました。サービス事業者へのヒアリングの際などに活用ください。

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サービス事業者比較

 国内の主要クラウドサービス(IaaS)提供事業者3社(NTTコミュニケーションズ、Amazon、Microsoft)が提供するサービスの内容を、さまざまな観点から比較しました。

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関連する事例記事はこちらからご覧になれます

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