Bizコンパス

営業にダマされない! クラウド型メールの選び方
2014.02.28

営業にダマされない! ITサービスの選び方第7回

営業にダマされない! クラウド型メールの選び方

著者 Bizコンパス編集部

よくある失敗例

 自社運用(オンプレミス)のメールシステムから、大容量で低料金のクラウド型メールへ移行する企業が増加しています。

 これまで大半の企業はメールサーバーを企業内に保有してきました。しかし、「BCP対策の観点から、メールは自社で抱えずアウトソーシングしたい」、「増加し続けるメールサーバーと従業員からの問い合わせ対応について、運用管理を継続することが難しい」、「数年前から老朽化が進むメールサーバーをどうするか決めなくてはならない」、といった事情から、クラウドの検討・活用を始めることが多くなっています。

 企業のコミュニケーションの中核を担う機能としてメールの役割は非常に重要です。しかしセールストークを鵜呑みにしたサービス導入は、企業の生産性を落としかねません。今回はクラウド型メールサービスに焦点を当てたいと思います。

 

社内メールサーバーが老朽化したら、絶対にクラウド型メールにすべきです!

営業担当

<営業担当>

 前回のお打ち合わせで御社にヒアリングさせていただいたところ、社内にあるメールサーバがかなり老朽化しているとのことでした。そのような企業様には、クラウド型のメールサービスがオススメです。現在運用しているメールサーバの管理の負荷が軽減される上、今後サーバーの老朽化を心配する必要がなくなります。バックアップはニーズに合わせて設定できますのでメールデータが損失する可能性もほとんどありません。

情報システム担当

<情報システム担当>

 メールサーバーが老朽化していたことは事実であり、運用負荷軽減やバックアップの安全性など、提案内容も納得がいくものだったため、クラウド型のメールサーバを採用した。しかし、実際にメールを利用している現場部門からは不満の声が聞かれるようになった。社内でヒアリングをしてみると、画面やショートカット、機能などインターフェースが従来からまったく異なり使いづらく、生産性に悪影響が出てしまった。

  利用者である現場部門の声を踏まえず導入したことが失敗の要因になっています。クラウド型メールサービスの導入を検討する際は、メーリングリストが作りやすいか、フォルダ分けやショートカットが簡単にできるかなど、現場部門がインターフェースの使いやすさをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

 

インターネットブラウザだけあれば利用できます!

営業担当

<営業担当>

 弊社のクラウド型メールサービスはインターネットブラウザさえあれば利用できます。豊富な機能も備えており、必ず貴社のニーズに応えられるサービスになっています。

 

情報システム担当

<情報システム担当>

 メーラーではなくブラウザで見られるという利便性を求め、クラウド型メールサービスへ移行した。しかし、サービス事業者側が要求しているブラウザのバージョンに対応しないといけないため、社内の多くのシステムを、常に最新のブラウザにバージョンアップしなくてはならなくなった。メール更改前にはなかった、事業者側の改修についていくという、新たな負荷が加わってしまった。

 クラウド型メールサービスでは、サービス提供ベンダーが提供する仕様に、サービスを利用する企業側が合わせる必要があります。今回のケースのように、頻繁にブラウザのバージョンアップが必要になると、結果的に更改前よりも負荷が高まるといったケースにつながりかねません。導入前には、対応するブラウザやバージョンを確認しておくことが重要でしょう。

 

システム部のメールサーバー運用負荷が減らせます!

営業担当

<営業担当>

 御社の情報システム部門のメールサーバ運用負荷は、事業拡大に伴ってかなり高くなってきているようですね。サーバーがこのまま社内にある限り、システム障害のリスクと戦いながら運用とメンテナンスを続けなければなりません。クラウド型メールサービスへ移行すれば、その運用負荷も減るのではないでしょうか。メールサーバーがクラウドになりますので、御社のシステム部門で運用負荷を気にしていただく必要はありません。運用とメンテナンス負荷が削減されるため、コスト面でも非常に有利ですよ。

情報システム担当

<情報システム担当>

 事業拡大に伴いメールサーバーの運用負荷増加は喫緊の課題になっていた。一刻も早くメンテナンス負荷を軽減させるために、とあるクラウド型メールサービスの導入を検討しはじめた。しかし、この会社のサービスでは、ウイルス対策や誤送信防止など、これまで自社で運用していたセキュリティソフトがクラウド環境下では利用できないことがわかった。このまま移行をしてもセキュリティ機能のユーザー設定を個別に行う手間が出てくるため、別のクラウド型メールサービスを検討することにした。

 システム部門のメールサーバー運用負荷は多くの企業で課題となっており、クラウド型メールサービスはその負担を軽減する新しいサービスとして注目されています。しかし、セキュリティ対策など、導入によって本当に負荷が軽減されるのか、その検証活動を疎かにしてしまいがちです。本当に運用負荷軽減につながるのか、メールサービス全体をチェックしましょう。

▼まずは、クラウド型メールサービスをおさらい▼
「クラウド型メールサービスとは?」

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

クラウド型メールサービスとは?

クラウド型メールサービスとは?

 クラウド型メールサービスとは、社外のクラウド環境にメールサーバーを置き、ウェブブラウザからメールを送受信することができるサービスです。主な機能として、ウィルスチェックや迷惑メールフィルタリング、暗号化・誤送信防止、メールのアーカイブ(保管)やタスク管理などがあります。サポート窓口を設けているところも多く、障害対応や問い合わせ対応などを受け付けています。またメールデータは、データセンターで保管され、24時間365日の監視・運用が行われていることが一般的です。

 ITのクラウド化が進む近年では、企業はメールサーバーを更改・導入する際に、プライベートクラウド、またはパブリッククラウドを検討する企業が多いようです。プライベートクラウドとは、社員や関連会社など、内部の限定された利用者に対してサービスを提供するものです。パブリッククラウドとは、広く一般の利用者に対してサービスを提供するクラウド環境のことです。前者は、閉域網(イントラネット)で利用可能なサービスのため、自社のセキュリティレベルを下げることなく利用できる点が優れています。後者は、どこからでもインターネット回線で接続できる点が特徴的です。

 クラウド型メールサービスを導入する際に重要なポイントは複数ありますが、特に重視して検討すべき点として以下の6点が挙げられます。

(1)メールサーバー (2)スパム対策 (3)メールアーカイブ
(4)添付ファイルセキュリティ (5)導入 (6)運用・管理

 上記6つすべての点に共通することとして大事なのは、「関係するスタッフ全体に、導入によるメリットがあるかないか」です。具体的には、マネジメント・現場ユーザー・情報システム部門の視点から、前述の6つのポイントを見ていくことが、導入で失敗しないための重要事項になります。

 

クラウド型メールサービスを取り巻く状況

 2011年の国内メール市場全体の推定市場規模は約540億円、2012年は約562億円と予測されています。2012年の段階ですでにオンプレミス(自社設置)型のメールサーバーの市場成長は鈍化し、代わりとしてクラウド型メールサービス市場が今後成長していくことが見込まれています。

 加えて、メールのセキュリティ市場も堅調な推移を見せています。メール誤送信防止・メール共有管理市場はそれぞれ2ケタ以上の成長率が予想されており、今後もさらに市場が拡大していくことが見込まれています。

 クラウドの登場で、メールサービスの提供形態は、オンプレミス型、クラウド型の二つに大きく分類されるようになりました。

 

クラウド型メールサービスの種類

オンプレミス型

 利用企業が自社にメールサーバーを持ち、利用企業自らシステム全体を管理します。既存ソフトウェアとの連携が比較的容易にできる点、自社にインフラを持つためセキュリティを担保しやすい点でメリットがあります。管理をシステムインテグレーターへ外注するケースもあります。

クラウド型

 クラウド型はインターネット経由で利用するグループウェアサービスです。ユーザー数や利用量に応じてサービス料金を支払います。常に最新の機能が追加コストを払うことなく利用できるうえ、障害時の対応はサービス提供ベンダーが一元的に対応します。さらに、自社でシステム部門を運用する必要がないため、負荷を軽減しやすい点も特徴です。

 次のページでは、クラウド型メールサービスのメリット・デメリットについて考察します。

▼クラウド型メールサービスを利用するメリット・デメリットを確認!▼
「メリット・デメリット」

メリット・デメリット

クラウド型メールサービスを利用するメリット

メールボックスの上限設定が柔軟に設定可能

 クラウド型のメールボックスを利用することができるため、上限値が非常に大きく設定されている。万が一、容量が上限に達した際には、ボックス容量を拡張しやすい。

メールサーバーの運用負荷がない

 サービス提供ベンダーがメールサーバシステム全体の運用管理を行うため、オンプレミス型で発生するようなアプリケーションやインフラの管理負荷がない。

コストはユーザー数に応じて適正に課金される

 クラウド型のサービスであるため、ハードウェアやソフトウェアへの初期投資を行う必要がない。また、1ユーザーあたりに課金される月額利用料金だけでサービスを利用することが可能。

ユーザー数に応じた適正なコスト

 スマートフォンやタブレットなど、パソコン以外の機器でも利用可能。場所を選ばず利用できる。

 

クラウド型メールサービスサービスを利用するデメリット

クラウドメールサーバーで障害が発生した時に対応しづらい

 サービス提供ベンダーがアプリケーションやインフラに何かしらのトラブルを発生させても、サービスを利用する企業側では対応できない。

サービスのカスタマイズ性が低い

 アプリケーションのバージョンアップは全てサービス提供者が管理するため、自社の要件に合わせたカスタマイズがしづらい。

メールセキュリティの柔軟性が低い

 セキュリティ機能まで実装しているクラウド型メールサービスが多いため、アプリケーションのバージョンアップは全てサービス提供者が管理する。そのため、自社の要件に合わせたカスタマイズがしづらい。

サーバーの場所によっては日本の法律が適用されない可能性がある

 海外に設置されたクラウドメールサーバの情報は、日本の法律が適用されないため、障害の種類によってはメールサーバー内の情報安全性が担保されない可能性がある。

 

▼では、もっと詳しいチェックリストで確認しましょう▼
「すぐに使えるチェックリスト」

すぐに使えるチェックリスト

 クラウド型メールサービスは、検討項目が多岐にわたるため、導入に際してはベンダー側の担当と相談しながら進めることになるでしょう。

 ここではクラウド型メールサービスを検討する際に、事業者の言いなりにならずに自社に最適なサービスを選ぶため、チェック項目と解説をまとめた資料をご用意しました。サービス事業者へのヒアリングの際などにご活用ください(ダウンロードにはBizコンパスへの会員登録(無料)が必要です)。

サービス事業者比較

 主要事業者3社(エアネット、IMS、NTTコミュニケーションズ)が提供するクラウド型メールサービスの内容を、さまざまな観点から比較しました(ダウンロードにはBizコンパスへの会員登録(無料)が必要です)。

この記事で紹介しているサービスについて

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