2021年もワクチンが行き渡るまではQRコードのスキャンに頼る年に
Chris Duckett
欧米では、この10年間のほとんどの期間、ニッチな領域に定着できなかったテクノロジーの冗談を言いたければQRコードの話をすればよかった。
QRコードを使ったWalmartの決済システムも笑われたし、MicrosoftがブルースクリーンにQRコードを表示したときにもジョークになった。
米ZDNetの過去の記事でも、「QRコードは、一時的な流行で終わってしまうのを回避する必要がある」とか「QRコードを利用しようと思うのはやめるべきだ」などとたびたび書いてきた。これらの表現が使われたのはどちらも2012年の記事で、QRコードの普及には最初から抵抗があったことを示している。
欧米から見れば、2019年までのQRコードは、広告に表示されている単なる邪魔な模様でしかなかった(欧米では、アジアではQRコードが一般的に使われていたことが都合良く忘れられてしまっているのだが)。
「Android」カメラでQRコードをスキャンしたことがあるユーザーは滅多におらず、「QRコードなんてどうでもいい。誰もあんなものは使わない」というのが2019年までの普通の反応だった。
しかしコロナ禍に襲われたことで、QRコードは再び息を吹き返した。
新型コロナウイルスをある程度管理できた地域(例えばオーストラリア、シンガポール、ニュージーランド)では、あらゆる場所にQRコードが貼られ、誰もがそれをスキャンした。これは、政府が市民に、人が集まる場所や飲食店に入るときにはQRコードを使ってチェックインすることを求めたからだ。
呪われた2020年の経験から言えば、デジタルシステムはある1点で人間にとって有利なシステムだといえる。ウイルスはペンや紙などの物体に付着した飛沫で感染する可能性があるが、非接触型のシステムであればそのリスクを回避できるのだ。保健当局にとっても、デジタルシステムは、ある施設で陽性の患者が発生した際に接触状況を調べるための信頼できる唯一の情報源を生み出してくれるし、データベースがクラウド上にあれば、紙が破れたり、なくなったり、こぼしたビールで水浸しになる可能性も低い。
2020年がQRコードが復活した年だとすれば、2021年は多くの国がパンデミックを乗り越え、経済活動を再開するためにQRコードを大規模に使用する年になるだろう。すでに普段の状態に戻りつつある国では、ワクチンが届くまでの間、QRコードが日常生活の一部になると考えられる。
QRコードの奇妙な四角の模様は、あっという間に「邪魔なもの」から命を救うかもしれない存在へと変わったが、2021年にも私たちの生活の中にとどまる可能性が高い。
新型コロナウイルスについてもう少し書いておきたい。以前は、Googleが提供しているAndroidの標準カメラアプリは、デフォルトの状態ではQRコードを読み取れなかった。コードを読み取るには「Googleレンズ」を使う必要があった。この状況は変わってきたが、そうでなければ多くの人が混乱していたかもしれない。
これは特に意外ではないが、サムスンのカメラアプリは以前からQRコードの読み取りに対応している。
※この記事はZDNet Japanから配信されています。