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2021年のデジタル変革を形作る8のトレンド
2020.12.22

IT&ビジネス最新ニュース第93回

2021年のデジタル変革を形作る8のトレンド

 デジタルへの依存がますます高まってきている世界において、IT部門の役割はかつてないほど重要になっている。組織は、競争力を維持するとともに、コネクテッドエクスペリエンスを生み出すよう、さらなるプレッシャーにさらされている。Salesforce傘下のMuleSoftが公開した「2020:接続性ベンチマークレポート–世界800人のITリーダーのインサイト」によると、ITプロジェクトの数は40%増加すると予測されている一方、企業の82%がITチームに顧客のコネクテッドエクスペリエンスを生み出すよう指示しているという。MuleSoftによる独自のリサーチや、サードパーティーの調査結果を吟味することで、デジタル変革のジャーニーの途上にある最高情報責任者(CIO)やITリーダー、組織が直面するトレンドが見えてくる。

 以下は、2021年のデジタル変革を形作る8つのトレンドだ。

1.デジタルレディーな文化:組織は、サービスのデジタル化を大規模かつ迅速に実現して顧客の需要の増加に応えるとともに、新たな収益チャネルを生み出すよう求めるさらなるプレッシャーにさらされている。

2.イノベーションの民主化:業務部門のユーザーはデジタルな顧客エクスペリエンスをより迅速に生み出そうと尽力している。IT部門は業務部門のセルフサービス化と、ソリューションの迅速な調達を支援することで、文化的な変革を推進する必要がある。

3.コンポーザブルエンタープライズ(組み替え可能な組織):アプリが極めて特化した目的を担うようになり、その数が大きく増えた結果、組織はアジリティーを高めるためにコンポーザブルエンタープライズにシフトしつつある。コンポーザブルエンタープライズでは、デジタルな能力を毎回ゼロから開発するのではなく、APIを用いて既存アプリケーションを組み合わせて実現できるようになる。

4.自動化:組織は、運用効率の向上や業務プロセスの改善のために自動化を活用している。APIは、自動化の推進と生産性の向上に向けた鍵となる。

5.APIのセキュリティ:平均的な企業には900のアプリケーションが存在している。新規エンドポイントの増加によって新たな侵入経路が生み出されるため、APIの堅牢なセキュリティが求められる。

6.マイクロサービス:組織は新たな顧客エクスペリエンスを迅速に開発するためにマイクロサービスに目を向けている。本番環境にマイクロサービスを配備する企業は、その規模を拡張するために何らかのサービスメッシュを必要とするようになる。

7.データによる分断:顧客の進化する期待に応え続けるために、組織はデータをくびきから解き放ち、洞察を得るための近道を模索している。2021年は、データが組織と競合他社を、そして組織と顧客を分かつ年となるだろう。つまり、データを解き放ち、分析し、それに基づいて行動する能力が成長に欠かせなくなるということだ。

8.データアナリティクス:組織は顧客エクスペリエンスを変革するために、データアナリティクスに投資している。データアナリティクスの価値は分析対象のデータに依存することになる。

トレンド1:デジタルレディーな文化

 コンシューマーは自らが好んでいるチャネルをまたがったかたちでの、ブランドとの一貫性あるエンゲージメントを望んでいる。買い物客の73%は、自らのショッピングジャーニーの過程で複数のチャネルを利用している。Deloitteが述べているように、コンシューマーの75%は企業とやり取りする際に、あらゆる部門をまたがって一貫性あるかたちでやり取りできてほしいと考えている。また、コンシューマーの86%は、チャネルをまたがってブランドとやり取りできることを望んでいる。そして、顧客の92%はライブチャットサービスの利用に満足しており、同サービスは顧客満足度の最も高いサポートチャネルとなっている。さらにコンシューマーの78%は、ブランドの顧客サービスとやり取りする際にモバイル機器を使用している。この数値はミレニアル世代では90%にまで跳ね上がる。組織は顧客サービスのための新たなデジタル手法に投資する必要がある。

 また、ITリーダーはデジタルイニシアティブの調達に向けたプレッシャーの高まりに直面している。2020年にはITプロジェクトの数が40%増加するというのだ。このため、デジタル変革の取り組みに向けた最大の課題の1つが統合になる。ITリーダーの89%は、データのサイロ化によって自社のデジタル変革イニシアティブにおける業務上の課題がもたらされているとしている。またITリーダーの85%は、統合に関する課題によってデジタル変革の取り組みが阻まれているとしている。組織はITの殻を破ったイノベーションを可能にする必要がある。これはCIOにとって極めて重要な教訓だ。ITプロジェクトというものは存在せず、あるのは業務プロジェクトのみだ。そして業務部門はIT部門がイノベーションに向けたロードマップや戦略的イニシアティブを作り出すのを待ってはくれない。2020年は、IT部門ではなく業務部門の担当者が開発を推進するという「市民開発者」(シチズンデベロッパー)革命が勃発する年なのかもしれない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって自動化やデジタル変革に関するすべてのプログラムが数年分前倒しにされた。Gartnerによると、大企業におけるアクティブな市民開発者の数は、2023年までにプロフェッショナルな開発者の数の少なくとも4倍になるという。

※この記事はZDNet Japanから配信されています。

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