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コロナ後のデータセンター業界を待ち受ける課題
2020.07.30

IT&ビジネス最新ニュース第41回

コロナ後のデータセンター業界を待ち受ける課題

 テクノロジー業界の大手企業や中小企業が、柔軟な働き方を許可するポリシーを恒久的に導入し始め、「無期限での在宅勤務」が最新のバズワードになるなか、従業員のなかには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機が去った後も日常的に、自宅のリビングルームから会議に参加する可能性に心を躍らせている者もいるはずだ。

 その一方で、全社的なデジタルインフラの継続稼働を任されている従業員は、仕事がさらに増えることになるはずだ。われわれのデジタルな動きすべてを支えているデータセンター業界は、英国や欧州大陸全体でCOVID-19に起因する制限が緩和され始めるなかで、著しい需要の高まりを予想している。

 これは、データセンターに対する需要がパンデミック中に低迷していたという話ではない。実際のところその逆だ。企業や組織によるリモートワークへの切り替えを受け、事業者やエンジニアらはデジタルな世界が最も重要な時期に機能不全に陥らないようにするために、日夜作業に取り組んでいる。

 データセンターの作業員らは今も現場で作業を続けている。それはパンデミックの危機の間もずっと続いており、彼らは障害停止を防ぐために絶え間なくインフラを監視、維持してきている。彼らはそのために、シフト体制を強化し、普段よりも多くのハンドサニタイザーを消費し、増えた作業をこなすために長時間働いている。

 データセンターに特化した不動産事業を手がけるCyrusOneの欧州担当マネージングディレクターであるMatt Pullen氏は米ZDNetに、「多くの人々は、これまでにないほど忙しい日々を送っている。人々は延長シフトでより長時間、長い期間にわたって驚くほど懸命に働いてきている」と語った。

 同氏は「ハイパースケールクラウドの利用者が、増加した需要への対処として予備の容量に手をつけるようになったことで、われわれの業界にはその影響がすぐに現れた。しかも、見えているのは氷山の一角だ」と続けた。

 COVID-19のパンデミックによって、ほとんどの企業はデジタル化への取り組みを一気に実現せざるを得なくなったが、こうした取り組みは危機が去ったからといって消えてなくなるわけではない。つまり、データセンター事業者はここ数カ月間忙しくしているが、今後その状況にさらに拍車がかかりそうだということだ。

コロナ禍で生じるニーズ

 Pullen氏は、コンシューマーが今後もEコマースを利用し続け、企業が従業員の在宅勤務を継続するなか、デジタルサービスに対する需要は伸び続けると見込んでいる。なかでも、企業のクラウド導入が大きく伸びそうだという。

 同氏は、COVID-19を受けてIT分野で悲観的な見通しが相次ぐなかでクラウド支出のみが明るい話題となっているというGartnerの最近の調査レポートを引き合いに出した。このレポートでは、IT支出が2021年に8%減少する一方、パブリッククラウドサービスが20%近く成長するとされている。

 Pullen氏は「われわれはまだ、オンプレミスからクラウドへという企業のアウトソーシングの真の高まりを目にしていない」と述べ、「しかし危機の時には、アウトソーシングによって自社のデータセンターではなく、コア事業に注力できるようになる。これはリスクやリスク管理を他社にアウトソーシングするということだ。COVID-19以後、われわれはそうした動きが加速するのを目にするはずだ」と続けた。

 英国のテクノロジー業界を代表する組織であるTechUKは既に、COVID-19からの復興に向けたデータセンター業界の計画のたたき台を作成している。事業者の間で懸念を引き起こしそうな問題のリストの上位には、新たな容量の注文要求に応える必要性や、インフラに対する緊急アップデートという顧客要求に応える必要性が挙げられている。

 要求の増加とともに、多くのデータセンターを建設する必要が出てくる。今までは、パンデミックによってデジタルトラフィックに多大な影響が及んでいたにもかかわらず、ほとんどの企業は実際に必要とするよりも多くの容量を確保していたため、容量面で大きな問題は出ていなかった。しかし、今回の危機が3カ月続いているなか、余剰分の容量は底を尽こうとしている。

 Pullen氏は「ハイパースケールクラウドの利用者は、それぞれが十分な容量を有した複数のプラットフォームを用意しており、要求の急激な増大を徐々に吸収してきているため、必ずしもこういった増大が注目されているわけではない」と述べ、「しかし、各データセンターの負荷は大きく増化してきている」と続けた。

 また同氏は、「通常、顧客が実際に消費している容量は60〜70%程度だが、現在では90%、場合によっては100%の負荷をかけており、これが大きな緊張を生み出している。われわれはこのような問題に直面しつつある」と付け加えた。

 

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※この記事はZDNet Japanから配信されています。

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