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急速に変化する購買行動–カスタマージャーニー分析で「デジタルマーケティングの最適解」を発見する
2021.03.18

IT&ビジネス最新ニュース第122回

急速に変化する購買行動–カスタマージャーニー分析で「デジタルマーケティングの最適解」を発見する

状況に応じてカスタマージャーニー分析手法を使い分ける

 顧客接点や顧客ニーズの多様化がさらに加速したとしても、全てのユーザーが全く別々の行動プロセスをたどるわけでは当然ない。属性や行動などの傾向ごとにユーザーをセグメント分けすることはできる。しかし、全てのセグメントの分だけカスタマージャーニーの仮説を作成し、施策を検討するとなると、マーケターは何人いても足りない。

母数の大きいユーザーをターゲットにするときは、カスタマージャーニーの仮説をもとに分析

 マーケターがデジタルマーケティングの戦略設計として作成し、施策に関わる社内外の協働者に展開するカスタマージャーニーは、費用対効果の観点からもボリュームの大きいユーザーセグメントをターゲットにすべきであり、投じる予算が大きいからこそ戦略の成功に向けて、マーケターが協働者らと一体となって取り組むべきで、個々の施策が戦略とずれていないかをカスタマージャーニー分析によってチェックし、施策の最適化を図る必要がある。

母数の小さいユーザーをターゲットにするときは、実際にユーザーがたどったプロセスをもとに分析

 ボリュームの小さいユーザーセグメントをターゲットにした取り組みは、マーケターが日々の運用の中で、既存のコンテンツやメールの調整を繰り返しながら小規模に実施するのが望ましい。しかしこの取り組みは、そもそものターゲットユーザーの母数が小さく、かつ高額な商材を取り扱うBtoB向けのマーケティングにおいては大きな価値を生み出す。一人の購入ユーザーがたどったプロセスをカスタマージャーニー分析により特定し、メールマーケティングなどを活用して同じプロセスをたどるユーザーを数人増やしただけで大きな利益を生むケースもある。

 ターゲットユーザー数や取り扱う商品数が多い場合においては、どの個人に注目してカスタマージャーニー分析を行い、どのセグメントを類似ユーザーとして設定すべきかの判断が難しい。その場合は、AI(人工知能)を活用したユーザーセグメントの抽出やメール配信が有効である。ユーザーの属性データや行動データのボリュームが大きい場合は特に高い精度が期待できる。

戦略を大幅に見直す場合もまずは実際にユーザーがたどったプロセスを分析

 コロナ禍のような大多数のユーザーの行動に影響を及ぼす社会変化が起きた場合は戦略自体を見直す必要があるが、その場合も新たなカスタマージャーニーの仮説の作成にすぐに着手するのではなく、まずは実際に購入に至ったユーザー個人のカスタマージャーニーを分析し、分析結果をもとに現在の施策を最適化するのが望ましい。この先の未来の社会変化を予測した上で、その中でユーザーの行動がどのように変化するかを想像しながらカスタマージャーニーの仮説を作成するのは、不確実性の高い要素が多く、施策の精度が下がり大きな効果が見込めない可能性がある。

 カスタマージャーニーと実際のユーザー行動のギャップを継続的に分析し、施策の改善を行っても、ボリュームの大きいユーザーセグメントの行動がカスタマージャーニーと乖離(かいり)する場合は、マーケターは戦略の見直しを判断し、協業者とのコラボレーションによりカスタマージャーニーを再定義する必要がある。

最後に

 ユーザーのあらゆる行動がデータで把握できるようになる未来を目前にして、マーケターのデジタルマーケティングにおける戦略設計の難易度や業務負荷は上がる一方である。未来の市場で勝ち抜くために、マーケターは協働者とのコラボレーションやテクノロジーの力を活用しながらデジタルマーケティングを高度化することが肝要である。

 

内野奈央子
クニエ シニアコンサルタント 国内SIerのマーケティング部門やデザインファーム、リサーチ会社におけるBtoB向けデジタルマーケティング戦略の立案・実行・効果検証、サービスデザイン・UI/UXデザインの業務経験を経て、クニエに入社。情報通信業、金融業、製薬業などのさまざまな業界に対して、オウンドメディアを軸にしたマーケティング・コミュニケーション戦略の立案・実行、デジタルマーケティング基盤の導入や定着化に関わる。

※この記事はZDNet Japanから配信されています。

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