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データ、アナリティクス、AIの2021年を占う(1)–DWHとデータレイク、民主化、倫理
2021.02.25

IT&ビジネス最新ニュース第114回

データ、アナリティクス、AIの2021年を占う(1)–DWHとデータレイク、民主化、倫理

責任ある倫理的なAI

 もう1つの主要な話題は、責任あるAI/責任あるMLと、AIやMLのモデルにおける信頼性と説明可能性に関する全般的な重要性についてだ。Neo4jのグラフ分析およびAIプログラムのディレクターであるAmy Hodler氏は、「(パンデミックによって)責任あるAIの議論が停滞しているとはいえ、責任あるAIの必要性は変わっておらず、公の場での議論をスタートする必要があるという点はやはり重要だ」と述べている。O’ReillyのRoumeliotis氏も、これまでのはかばかしくない進捗に関して同様の観点を有しており、どのようにして2021年の主なアクティビティーを推進していくのかについて述べる中で、「今まで、企業における責任あるMLの採用は中途半端か、せいぜい受動的なものだった。2021年には規制(欧州連合の一般データ保護規則:GDPRや、カリフォルニア州消費者プライバシー法:CCPA)、および反トラスト法といった法律面での制約によって企業は、責任あるMLというプラクティスを採用するようになるだろう」と述べている。Domino Data LabのCEOであるNick Elprin氏も同様の予想をしており、「GDPRやカリフォルニア州のCCPAを皮切りに、プライバシー関係の標準が急速に進化しているため、2021年にはAIモデルにも、より透明でよりセキュアなものにするよう注意が払われていくことになる」と述べている。

 企業幹部やチームメンバーは、責任あるAIへの道を歩まずして自社が設計しているAIモデルに信頼を置くことは難しいだろうし、そういった信頼なしにAIを活用して企業に利益をもたらすことも不可能だろう。SASでプリンシパルビジネスソリューションマネージャーを務めるJoao Oliveira氏は、「AIの出した結果に対する可視性が高まれば、意思決定者はそのモデルによって生み出された意思決定にさらなる信頼を置けるようになるだろう」と述べている。さらにOliveira氏は、こうした自信によってAIの普及が進むとも確信しており、「人間の監督と、意思決定プロセスの各段階におけるモデルに対する説明により、AIと自動化された意思決定が受け入れられ始めるだろう」と述べている。Clouderaでプロダクトマーケティング、データエンジニアリングおよびMLのディレクターSantiago Giraldo氏もこれと同様の考えを有しているだけでなく、そうしたAIの採用が現実的に必須となる企業も出てくると述べ、「2021年には、このようなモデルを信頼する企業の能力、つまりAIによって生み出された洞察を行動に移せるという能力が、その企業の生き残りを決定付ける要素となる」と続けている。

 Clouderaの業界ソリューション担当バイスプレジデントであるCindy Maike氏は「倫理的なAIは今後12~24カ月の間に、中心的に取り組まれるべきテーマになるだろう」と述べている。また、Deloitte AI InstituteのエグゼクティブディレクターであるBeena Ammanath氏は「2021年はAIの倫理に向けた行動の年になる」と考えており、「AIシステムへの信頼を実現することが、AIにおけるあらゆる対話の中心になる」と述べている。Ammanath氏は「企業は、AI戦略の倫理面での決定に向けて行動し始め、機械学習運用(MLOps)の一環として倫理的な面を統制できるAIモデルを実装するようになるだろう」と感じている。実際に、RELXの2020年版「Emerging Tech Executive Report」はこの点に対する裏付けともいえる内容を含んでおり、「企業リーダーの10人に8人以上は、倫理面での考慮が自社のAIシステムの設計や実装における戦略的優先事項になると確信している」と記している。

 Domino Data LabのElprin氏も、「2021年には、自動化された意思決定の持つ法的側面やリスクが、業界をまたがってより広く認識されるようになるだろう」と予想し、倫理的AIを無視することの危険性を具体的に述べている。われわれはこれらのモデルによる意思決定が引き起こした差別や責任に対する訴訟を目にするかもしれない。しかし、先行きの暗い話ばかりではない。Dataswiftでリサーチのパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めており、AI研究者であり、HATLABのディレクターでもあるJames Kingston氏は「倫理的で規制に準拠しており、プライバシーを保護するための原則と、将来に向けたスケーラビリティーを有しているテクノロジーインフラが組み合わさることで、社会はデータの価値によって個人と企業双方に、同様にメリットを与える方向に進んでいくだろう」と説明し、明るい材料を提供した。

※この記事はZDNet Japanから配信されています。

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