通信業界
これは当然のことにも思えるかもしれないが、エッジコンピューティングは通信事業者にとって戦略的なチャンスを生み出すものだ。英国のコンサルティング企業STL Partnersによれば、エッジコンピューティングへのアプローチを展開できなかった通信事業者は、「この成長市場のシェアを失うリスクがある」という。これは、「通信事業者以外の先発企業が技術開発を続け、市場のダイナミクスを決定している」ためだ。
しかし通信事業者は、未成熟な市場への対応に取り組んでいる。Gartnerは、多くの通信事業者はまだ5Gのサービスを開発している段階であり、多くの場合、現時点ではネットワークスライシングやプライベート5Gネットワークなどの機能を企業が求める形で提供できていないと述べている。サービスプランや価格設定は、2022年まで変化し続けるだろう。
モバイル通信時業者は、エッジコンピューティングを利用することで、サービスの差別化や新しいアプリケーションの提供を行う、顧客やパートナーがアプリ開発で分散コンピューティングネットワークを利用できるようにする、ネットワーク性能やコスト効率の改善、コストの削減を実現するなどの効果を上げることができるだろうとGartnerは分析している。
製造業
Gartnerは、高度にデジタル化され、ネットワークに接続された製造施設であるスマート工場は「未来の工場」だと述べている。同社によれば、「スマート工場に無線技術を導入することで、直ちに対処が必要な重大な問題や欠陥を検知する、自動化されたアラートシステムを実現できる」という。
またEnsonoのRoberts氏は、製造業にはデジタルツインの概念も浸透しており、「大量のセンサーデータが出力されている」と指摘する。それに加え、ロボットや自動化された工場も増えており、処理が必要なデータの量は急増している。この大量のデータを処理するには、接続性も強化する必要がある。
「ここに5Gの出番がある」とRoberts氏は言う。
小売業
Forrester Researchは、従来よりも強力なモバイルブロードバンド、大量の機械同士の通信、低遅延通信を実現する将来の5Gは、「エンドツーエンドの、フリクションレスな体験を実現するための技術的な構成要素を提供し、小売業界の変革を加速させる」と述べている。
5Gは、データから得た顧客に関する知見を活用する機会や、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を利用したサービスを提供する機会を増幅するため、小売企業の差別化に役立つという。
さらに、販売計画やPOSデータの活用などの分野でより実用的な知見を得たいと考えている小売企業にとって、5Gは画期的な変化を起こす要素になる可能性もある。
またGartnerは、5Gは一般消費者が「よりよく、より早く、より安全で、よりスマートなショッピング体験」
を得るためにも役立つと述べている。
※この記事はZDNet Japanから配信されています。