5Gの普及は進んでいる
コロナ禍の状況下にも関わらず、5Gの普及は進展している。PwCのレポートでは、2020年7月には60%だった米国の人口カバー率は、2021年1月時点で75%まで拡大し、デバイス普及率も2%から8%まで伸びるとされていた。
レポートでは、2021年7月には米国人口の80%が自宅または職場で5Gを利用できるようになり、デバイス普及率も12%に到達すると述べている。
PwCは2023年に5Gが転換点を迎えると予想している。
5Gとエッジコンピューティングの相性の良さを反映して、すでにいくつもの企業間パートナーシップが構築されている。 例えば、AWSは「AWS Wavelength」のインフラ構築をVerizonと連携して進めているし、GoogleはAT&Tとパートナーシップを結んでいる。
Garnerでテクノロジーおよびサービスプロバイダーグループのバイスプレジデントを務めるSid Nag氏は、「重要なのはアプリケーションを充実させることであり、5Gとエッジコンピューティングを利用したソリューションを、開発者コミュニティがそのインフラアーキテクチャーのアプリケーションを開発する機会が増えるようなものにすることだ」と話す。
Frost & Sullivanによれば、2022年までにエッジコンピューティングの利用が大きく高まるという。
また、Enterprise Management Associatesの調査担当ディレクターChris Steffen氏は、「アプリケーションは無限だ」と述べ、具体的な利用事例やその妥当性に応じて、「あらゆる業界が、何らかの形で影響を受けることになるだろう」と付け加えた。
以下では、5Gとエッジコンピューティングによってもっとも大きな影響を受ける6つの業界を挙げていこう。
自動車業界
IEEEのWitkowski氏は、交通は5Gとエッジコンピューティングの組み合わせがもっとも早く導入される分野の1つであり、自動運転車やその他の車両でこれらの技術が利用されるようになると述べている。「自動車メーカーは、ドライバー補助機能を処理する大量の高負荷なオンボードコンピューティングを搭載する自動車を作るよりも、センサーデータを処理するコンピューティングをオフロードすることを選ぶだろう。一度標準化されてしまえば、オフロードコンピューティングシステムで複数の車両のセンサーデータを同時に処理することができる」と同氏は言う。
Witkowski氏は、これが実現できるかどうかは車両と計算リソースの間に低遅延のデータ接続を確保できるかどうかにかかっており、5Gとエッジコンピューティングであれば、この処理に必要な低遅延を実現できると述べている。
West MonroeのSami氏は、「5Gは車両が持つ能力を強化する。これは、車両の周囲で起こっているあらゆることを処理し、クラウドを活用して、車両の機能を高めることが可能になるためだ」と述べている。
またGartnerによれば、自動車メーカーは最近、車両に携帯電話網のデータ接続を組み込むことで「エッジコンピューティング、IoT、クラウドベースのデータストレージやアナリティクスを活用した、直接的・間接的な収益化の機会を得ようとする」ようになっているという。
※この記事はZDNet Japanから配信されています。