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世の中全般よりも遅れている?–コンタクトセンター基盤のベンダー座談会(後編)
2021.02.10

IT&ビジネス最新ニュース第110回

世の中全般よりも遅れている?–コンタクトセンター基盤のベンダー座談会(後編)

コンタクトセンターと経営をつなげていない企業が多い

羽富氏:チャットボットや音声認識といったテクノロジーよりも、顧客体験を正しく記録し、データ分析につなげていくのは当然必要だ。先程福井さんがおっしゃっていた顧客へのアタッチはMA(マーケティングオートメーション)ツールを使い、カスタマーサービスと当社のプラットフォーム、CRMを統合してコンサルティング業務を行うようなお客さまが出てくるだろう。

福井氏:ジェネシスはもともとCX基盤なので、お客さまとの多様なコミュニケーションは以前から取り組んできた。最近は仮想店舗の動きを促進するため、ウェブ動線やカスタマージャーニー、ボット、自動化辺りが外せない。ただ、日本はデジタル化が進んでいないため、ユーザー企業が導入を望んでも多くの支援が必要だ。他方で、世の中全般よりもコンタクトセンターは遅れていないだろうか。電話して番号操作で接続先を選ぶのはテンションが下がる。

羽富氏:多くの場面でスマートフォンが活躍するのに、コンタクトセンターへ連絡する場面になった瞬間、電話をかけるというのもおかしな話だ。

福井氏:最近はCTO(最高技術責任者)を置く企業も増えているが、カスタマーセンターのデジタル化を推進する担当者が必要だ。

幸崎氏:本来はカスタマーサクセスマネージャーが担当する部分だが、日本では普及していない。「コンタクトセンターのゴールは」と尋ねると、日本企業の多くはいまだに「応答率」と答える。エンドユーザーの要件を適切な手段とタイミング、そしてスピードで満たせるかが重要なのだが、ほど遠い。

羽富氏:われわれが啓蒙活動しなければならない部分だと思う。大企業だけでなく中堅中小企業でも、カスタマージャーニーに取り組む所が出てきた。9割9分はわれわれが併走するのだが、とある顧客は「不要だ。俺たちのことは俺が一番知っている」と頼もしい回答をしていた。こういった方々が市場に出ていける世界観も作っていきたい。

――国内コンタクトセンターやCXの課題を改めて聞かせてほしい。

幸崎氏:繰り返しになるが、カスタマージャーニーやワークショップに取り組む企業は多くない。また、コンタクトセンターを経営とつなげていない企業が多い。正しくはKPI(重要業績評価指標)で握り合っていないから、生産性を上げつつもコストを下げろ、人員削減という形を取り、数字だけが一人歩き。エンドユーザーは置き去りになるという悪循環が生まれている。コンタクトセンター側から貢献度や必要な投資を経営層に明確にしていかなければ、コンタクトセンターの存在感が弱まっていくと思う。

羽富氏:私も繰り返しになるが、2020年は頑張れても2021年は分からないというコンタクトセンターは少なくないので、課題を解決してあげなければならない。

幸崎氏:コンタクトセンターは、クローズドな箱の中で頑張っている。

福井氏:だからこそ幅広く見る担当者が必要。そうすれば企業内のポジションも向上していく。

――海外と比較した場合、国内コンタクトセンターの対応状況に違いはあるのか。

幸崎氏:一言でいえば遅い。例えばCXやDX(デジタル変革)というキーワードが登場して久しいが、必要性を理解しているユーザーは海外と比べて圧倒的に少なく感じる。ASEAN(東南アジア諸国連合)と比較しても彼らはIT投資に積極的だ。日本は時間がかかっても高品質なものを開発してほしいという要望が今も続いているが、海外は競争にさらされているので、予定納期を半分にしたら倍の対価を支払っている。企業経営とスピードは切り離せないが、その点で日本企業はぬるま湯にいる。

羽富氏:海外企業は在宅勤務など、新型コロナウイルスの感染拡大に対する初動が速かった。お二方はどのように感じただろうか。

福井氏:指示側が素早く対応できていないのが日本風だと感じた。コンタクトセンターは企業の手足、体の一部だが、経営層がコンタクトセンターにいないからだろう。

幸崎氏:ジェネシス・ジャパンさんはグローバルで運用を統一し、2020年3月20日頃に年内の在宅勤務を決定していたと聞く。秋頃には2021年6月までの延長も決め、先取りしている。グローバルで基準を設定して、アクションを実行できることに驚きを覚えた。当社は国ごとで状況が異なり、日本政府の提案に合わせてしまった。話がそれてしまったが、お上が迷走していたため、企業も似たり寄ったりではないだろうか。

※この記事はZDNet Japanから配信されています。

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