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【PNP Summer Summit 2021】ダンボールに貼れるセンサー、人流を可視化するプラットフォームが登場
2021.09.01

シリコンバレー通信第41回

【PNP Summer Summit 2021】ダンボールに貼れるセンサー、人流を可視化するプラットフォームが登場

著者 小室 智昭

(8) Mobility(モビリティ)

(8-1) 注目ポイント

 PNP社は、以下の4つを最近のモビリティ業界のトレンドと考えている。

(a) Mobility services(モビリティサービス)

 コロナの影響で、人の移動よりも物の移動に関心が高まった。例えば、オンラインショップで買った商品のトラッキングがそれに当たる。また、新型コロナの影響でWFH(Work From Home、在宅勤務)の機会が増え、移動の減少に伴ってMicro-Mobility(小型軽量車両)のニーズが米国では減少した。

(b) Autonomous Driving(自動運転)

 自動運転業界も新型コロナに翻弄された。自動運転を開発している企業・スタートアップは、不景気、規制強化で大量の社員を解雇せざるを得なかった。

(c) Electric Mobility(EV/電気自動車)

 EVの関心が急騰。新型コロナの影響で短距離移動でのニーズが増え、大手OEMはEVによる利益目標を設定した。

(d) Connectivity and HMI(接続性&ヒューマンインタフェース)

 運転席にドライバーがいないことを想定して、音声、ジェスチャー、ビデオディスプレイ、センサーによるIn-Vehicle Experience(車内体験)が注目されている。

PNP社が注目するMobility Trend

 

(8-2) 注目スタートアップ

 スタートアップ PitchはAV/ADAS(自動運転と先進運転支援システム)、Connected Vehicles(コネクテッドカー)、Smart Manufacturing & Operations(スマートな製造&運転)に分かれて16社のスタートアップがPitchを行った。

モビリティのソリューションというと、Computer Vision(カメラが捉えた映像を解析し、運転をサポートする技術)とLiDAR(光による検知と測距)を用いた自動運転ソリューション、MaaS(Mobility as a Service)、Last Mile Delivery(ラストワンマイルの配達)という印象が強いが、今回参加したスタートアップを私の目線で分類すると、運転支援、Last Mile Delivery、スマートシティ、位置情報、セキュリティ、Connectivity(接続性)、保険/調査となる。その中から、スマートフォンアプリの情報をもとに都市をスマートにするソリューションを提供しているDowntown.ai社を紹介する。

 Downtown.ai社はスマートフォンアプリの情報をもとに、リアルタイムに都市交通の監視・調査、そして人流の分析が可能なプラットフォームを開発した。Downtown.ai社のCo-founder & CEOのYoran Bazazさんは、「これまでに世界中でモビリティサービス、交通監視、都市計画などの実績がある」と個別のミーティングで導入事例について話してくれた。Downtown.ai社のプラットフォームは、北米のある都市の将来の公共交通、都市計画の設計に採用されたそうだ。コロナ禍では新型コロナ感染者の分析も行ったという。

 Downtown.ai社はオレゴン州ポートランド市のプロジェクトにおいて、一般車両、自転車、歩行者を日時ごとに指定して交通量の変化を可視化した。同社のプラットフォームは、起点と終点の指定機能、Geo-fencing(地図上にバーチャルな柵を設置する技術)機能を提供していて、より細かな交通・人の流れを可視化できる。

 試しにYoranさんに「東京周辺の交通・人の流れを可視化できる?」と質問したところ、数日後に2月の東京周辺のデータが送られてきた。それをみると、幹線道路、鉄道、主要駅に多くの人が集まっていることが一目で分かった。

 Downtown.ai社との打ち合わせでのもう一つの気づきとしては、このようなスマートフォンアプリの情報を提供しているアグリゲーターの存在だ。地図を見ながら移動したり、移動中に写真を撮ってSNSに投稿する人もいると思うが、そのデータがアグリゲーターに流れているということだ。きっとサービス約款のどこかに、「第三者によるデータ利用」に関する記載があり、それに基づいてユーザーデーターが利用されているのだろう。

Downtown.ai社の導入事例

(9) Travel & Hospitality(旅行&おもてなし)

(9-1) 注目ポイント

 これまでは、Airbnbのような民泊アプリやツアーアプリが多かったTravel & Hospitalityプログラムだが、Summer Summit 2021では、それと同じくらいSustainabilityに関するソリューションに出会えた。また、旅行業界向けにEngagementや購買意欲を高めるソリューションが増えたのもSummer Summit 2021の特徴だろう。

 もう一つ特徴を挙げるとするとCarbon Neutral(カーボンニュートラル)だろう。一般的な話として、企業をターゲットにした”移動に伴うCarbon Neutral”に関するサービスも登場している。出張で利用するフライト、タクシー、Ride Share(マイカーの相乗り)などの二酸化炭素排出量を計算し、従業員に環境問題について意識づけするのが狙いだ。企業の環境対策は不買運動、ブランドイメージ、株価にも影響を及ぼすようになっているため、企業を対象とした環境対策ソリューションは今後も多く登場するだろう。

Travel & Hospitalityプログラムに参加したスタートアップのソリューション

 

(9-2) 注目スタートアップ

 Travel & Hospitalityには18社のスタートアップがピッチを行った。先述の通り、Sustainabilityに関するソリューションが印象深かったため、ここでは成長著しい個人ベースのCarbon Offset市場を加速させるソリューションを提供しているChooose社を紹介する。

個人ベースのCarbon Offsetトレンド

 Chooose社のCo-Founder & Head of Strategic PartnershipsのMartine Kveimさんは「”ボランティアベースのCarbon Offset市場は2016年から2019年の3年間で3倍になった。”という調査結果がある。今後、規制強化やユーザーのCarbon Offsetへの関心の高まりで、個人のCarbon Offset市場はさらに成長する。」とピッチの冒頭で説明した。

 Chooose社は企業、個人のCarbon Offset活動を促進するオールインワン・プラットフォームを提供している。例えば、イギリスのヒースロー空港はChooose社のプラットフォームを使って、旅行者に旅行プランの提案と一緒に、旅行に伴うOffset料金とOffsetするためのプロジェクトを提案している。もちろん、Offsetする/しないは利用者の自由だ。

 Chooose社は自社のウェブサイトでもOffsetのためのプロジェクトを提案している。実際にChooose社のサービスを使ってみた。Chooose社のサービスに参加するためにはクレジットカードの情報が必要だが、参加申し込みの時点では課金はされない。Chooose社は活動を一目でウェブサイト活動を確認できるダッシュボードを提供している。このDashboardはOffset活動の励みになるに違いない。

 Chooose社はグローバルでパートナー開拓を行っていて、日本の大手旅行代理店も同社のパートナーになっている。

ヒースロー空港のChooose社導入事例

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まとめ

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