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【PNP Summer Summit 2021】呼吸器疾患を遠隔で診察するデバイス、セルフィーで発行できるクレカが登場
2021.09.01

シリコンバレー通信第40回

【PNP Summer Summit 2021】呼吸器疾患を遠隔で診察するデバイス、セルフィーで発行できるクレカが登場

著者 小室 智昭

(3) InsurTech(保険のテクノロジー)

(3-1) 注目ポイント

 前回のInsurTechプログラムはPNP Winter Summit 2020だった。その時は日本の生命保険会社が気象リスクに関するソリューションを提供しているスタートアップとの連携の事例が見られたため、気象リスクに関するソリューションを紹介した。

 それから6ヵ月後のSummer Summit 2021でPitchを行ったスタートアップを俯瞰すると、顧客サポートに関するソリューションが多かった。次に多かったのは、リスク、気象、災害、健康に関する”Prediction(予測)”だ。保険業界での導入が進んでいるデジタル化、自動化に関するソリューションも引き続きニーズが高い。

 

(3-2) 注目スタートアップ

 データ分析、Healthcare & Wellness(ヘルスケアと健康)、AI/ML/NLP(AI/機械学習/自然言語処理)の3つのグループに分かれて、25社のスタートアップがピッチを行った。ここでは、保険業界のみならず企業にとって重要な顧客接点となっているコールセンターにフォーカスしたソリューションを提供しているSpyglaz社を紹介する。

 Spyglaz社は、保険業界やサービス業界が必要としている顧客の行動分析ソリューションを提供している。

 Spyglaz社はこれまでの対応履歴をMLで分析し、解約リスクの予測、Up Sell(アップセル、顧客がより高い商品を購入すること)、Cross Sell(クロスセル、顧客が別の商品と併せて商品を購入すること)に関するポイントをまとめる。そして、それらの分析結果をコールセンターのシステムと統合する。顧客から問い合わせがあった場合、コールセンターのオペレーターは画面の”Spyglazボタン”をクリックするだけで、顧客の対応ポイントを確認しながら、最適な顧客対応ができるようになる。

 Spyglaz社のプラットフォームはMicrosoft Azureで運用され、データはセキュアに管理されている。

Spyglaz社が解決する課題(左)、Spyglaz社の導入イメージ(右)

(4) FinTech(フィンテック)

(4-1) 注目ポイント

 前回FinTechプログラムが開催されたPNP Winter Summit 2020ではRPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)に関するスタートアップを多く見かけたが、Summer Summit 2021は様相が違う。

 RPA、PFM(Personal Financial Management、個人資産管理)は依然スタートアップにとって人気の分類だが、それを上回ったのは開発ツールだ。今回は、高度なサービスを簡単に開発できるツール、既存のスマートフォンをスーパーアプリにするツール、Low-Code(最小限のソースコードで開発を行うこと)、No-Code(ソースコードを記述せず開発を行うこと)でアプリやMLモデルを開発するものが増えた。Low-Code、No-Codeな開発ツールはFinTech以外の業界でも増え始めていて、今後の注目ポイントだと考える。

 サービスの内容でスタートアップを俯瞰すると”Personalize(個人に合わせて、変更したり作り変えること)”を実現しようとするスタートアップが多かったように思う。
FinTechプログラムに参加したスタートアップのソリューション


(4-2) 注目スタートアップ

 Summer Summit 2021ではCustomer Engagement/Experience(カスタマーエンゲージメント/エクスペリエンス)、Operations(運用)、Operations & HR Tech、Lending & Payments & Security(融資と支払いとセキュリティ)、Infrastructure(インフラ)、Data Analytics(データ分析)の分野に関する16社のスタートアップがピッチを行った。その中から独自に発行したクレジットカードとそのクレジットカードと連携したPFMを提供しているDeserve社を紹介する。

 1990年代の金融システムを表すと”物理的なカード”、”チェック”、”バッチ処理”、”静的制御”。それに対し、2020年代の金融システムは”デジタル”、”オンライン”、”API”、”リアルタイム”、”動的制御”と、遅いと言われながらも進歩している。しかし、システムの裏側を見ると、今でも複雑かつ古い仕組みが残っているようだ。

 Deserve社は顧客にとっても金融業界にとってもシンプルな仕組みを提供しようとしている。Deserve社はクレジットカードの詳細な利用履歴に加えて、支払い方法や支払いのタイミングもユーザーに提案する。

 クレジットカードの申し込み方法もユニークで、まず運転免許証の両面とセルフィーをアップロードする。次に利用する金融機関を選択する。これだけで、クレジットカードが発行される。簡単すぎて心配になるかもしれないが、裏では詐欺防止のために運転免許証とセルフィーでBackground Check(身元調査)を行っている。

Deserve社のソリューション概要

後編に続く

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