NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

【PNP Spring Summit】日用品をオンラインでサンプル提供するサービス、ギグワークでリサイクルを推奨するスタートアップなど
2021.06.28

シリコンバレー通信第39回

【PNP Spring Summit】日用品をオンラインでサンプル提供するサービス、ギグワークでリサイクルを推奨するスタートアップなど

著者 小室 智昭

3.Sustainability(持続可能性)

(1) PNP社の注目エリア

 PNP社は、AEPW(Alliance to End Plastic Waste、廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス)と共同で2020年にシリコンバレー、パリ、シンガポールの3カ所で、Sustainabilityプログラムを実施した。Sustainabilityプログラムには2,000社を超えるスタートアップが応募し、PNP社は32社をプログラムに招待し、今も23社のスタートアップを支援している。2021年はシリコンバレー、パリに続き、上海、サンパウロ、シンガポール、ヨハネスブルグでSustainabilityプログラムを実施する。

 Sustainabilityプログラムの現在のテーマは、End Plastic Waste、Carbon Neutrality(カーボンニュートラル)、Water Resilience(水資源保全)の3つで、各テーマは、さらに細かいテーマが設定されている。

SustainabilityにおけるPNP社の注目エリア

 

(2) Startup Pitch

 Sustainabilityプログラムは昨年立ち上がり、今回が2回目のプログラムだったため、参加したスタートアップは7社と数は少なかった。

 今回のプログラムではリサイクルする資源を集めるための仕組み(Marketplace/On-Demand)を提供しているスタートアップが目立った。

 再生する技術は進化しているが、リサイクル資源の収集が課題と考えているスタートアップが多くいるということだろう。日本のアパレルメーカーも中古ダウンを回収して、新たなダウンジャケットに生まれ変わらせる取り組みをしているが、中古ダウンの回収に苦労していると聞いたことがある。

 

(2-1) Olyns社

 Olyns社は、ペットボトルなどのプラスチック資源を回収する仕組みを開発しているスタートアップ。消費者のSustainabilityへの関心は年々高まり、Sustainabilityに取り組んでいる企業の商品を選ぶ消費者も増えている。それを受けて、企業もSustainabilityに向けて積極的に取り組むようになり、Sustainability市場は成長を続けている。

 しかし、Olyns社のCo-Founder & CEOのPhilip Stangerさんは、「毎年1,000億個のプラスチックがリサイクルされずに捨てられている。リサイクルのニーズに対して使用済みプラスチックの回収量が圧倒的に少ない。」と説明した。

 Philipさんは、使用済みプラスチックの回収率を上げるためにOlyns社を立ち上げた。Olyns社が開発した大人の背丈ほどある回収ボックスは、利用者、企業、設置された店舗、環境のそれぞれに価値を提供している。

 利用者は簡単にリサイクルに参加し、社会貢献に対する満足度を上げるだけでなく、プラスチックを回収ボックスに入れるとポイントがもらえる。回収ボックスにはディスプレイがついていて、企業が広告を表示してリサイクルに貢献していることがアピールできる。設置された店舗は、回収ボックスをきっかけに、新たな顧客を得られる可能性がある。プラスチックのリサイクルによる環境への恩恵はいうまでもない。

 Olyns社は利用者向けのスマートフォンアプリとプラスチック資源を回収するGig Worker(ギグワーカー、インターネットのサービスを介して単発の仕事を請け負う労働者)向けのスマートフォンアプリも開発している。利用者は、スマートフォンアプリで、リサイクルで得られたポイントを確認できる、プラスチック資源を回収するGig Workerはスマートフォンアプリを使って、回収ボックスを開けて資源を回収し、リサイクル業社まで回収したプラスチックを搬送する。

 Olyns社はPepsiCo社、米国の大手スーパーのSafeway社と提携している。Olyns社は次のステップに向かうために、新たな資金調達、回収ボックスの設置先、そして回収ボックスに表示する広告主を探している。

 Safeway社のミルピタス市の店舗前にOlyns社の回収ボックスが設置されているようなので、Olyns社のサービスに加入して利用してみようと思う。

左上: Sustainability市場動向、左中: 企業の活動事例、左下: リサイクルに関する課題
右上: Olyns社のサービスの流れ、右下: Olyns社の回収ボックスを利用している様子

 

(2-2) Scrapo社

 Scrapo社はプラスチック資源のリサイクルのためのマーケットプレイスを提供しているスタートアップ。Scrapo社のマーケットプレイスは、150カ国以上の55,000社以上の企業が利用している。同社のミッションは、自然環境をまもるためにリサイクルを前提とした製造サイクルを構築することで、そのために規模、技術で世界一を目指している。Scrapo社は規模の拡大を目指して戦略的に他社と連携したリサイクルのバリューチェーンの構築に取り組んでいる。

 Scrapo社のCEOのRashad Abbasovさんは、「リサイクル業界には、需要と供給のギャップ、品質、詐欺、輸送、キャンセルなどの売買リスク、バリューチェンの非効率性という解決があるが、リサイクルが環境に与える影響は大きいため、積極的に取り組んでいく」と語った。

 Scrapo社は、オープンで売買リスクがなく、効率的な運搬が可能なプラットフォームにより、業界の課題を解決しようとしている。

 Scrapo社は2017年にサービスを開始し、2020年1月に大規模なアップデートを行なった。Scrapo社のスマートフォンアプリ、Webサイトは、リサイクル資源の販売、購入、請求、支払いが簡単に行えるようになっている。また、購入者は、購入したリサイクル資源の運搬状況をスマートフォンアプリ、Webサイトで確認できる。Rashadさんはピッチの最後に、「地球を救うために、私たちのサービスを利用してほしい。」と語った。

左: 課題とScrapo社のソリューション、中: Scrapo社のサービスとビジネスモデル、
右: Scrapo社が目指すエコシステム

次のページ

4.まとめ

SHARE

関連記事

デザイン思考は、イノベーションを生みだす魔法の杖ではない

2021.07.21

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第31回

デザイン思考は、イノベーションを生みだす魔法の杖ではない

企業にCDOが求められる3つの理由

2021.07.16

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第30回

企業にCDOが求められる3つの理由

有識者が解説する「誤解だらけのサブスクとDXの関係性」

2021.06.25

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第68回

有識者が解説する「誤解だらけのサブスクとDXの関係性」

早大IT戦略研究所 根来龍之氏 「日本の大企業だけがDXに後れを取っているわけではない」

2021.06.04

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第67回

早大IT戦略研究所 根来龍之氏 「日本の大企業だけがDXに後れを取っているわけではない」