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【PNP Spring Summit】モノに貼ってIoT化するテープ、Cookieなしでクリック率を上昇する広告など
2021.06.28

シリコンバレー通信第38回

【PNP Spring Summit】モノに貼ってIoT化するテープ、Cookieなしでクリック率を上昇する広告など

著者 小室 智昭

3.Brand & Retail(ブランド&小売)

 Brand & Retailのカテゴリーは今回で15回目のプログラムになる。Brand & RetailプログラムのトップのWill Deckerさんは、「今回で15回目となるBrand & Retailプログラムでは、E-Commerce Enablement(eコマースの可能性)、Data Analytics/Operations(データ分析/運用)、Sustainability & New Ideas(持続可能性&新たなアイデア)、Consumer Touch Points(顧客接点)の4つの分野において、PoC、試作品開発などをスタートアップと企業との協業を支援してきた。」と説明した。

 Spring Summit 2021では、プログラムに参加した14社のStartupは、In-Store and Omni Channel(店内&オムニチャネル)、eCommerce(eコマース)、Media(メディア)、Data & Automation(データ&自動化)の4つに分類して紹介された。

 Data & Automationの分野には、AIを活用してリアルな世界でのデータを分析し、ユーザー動向を予測できるブラットフォームを開発し、店舗やマーケティング担当者が自信を持って次のアクションを判断できるようなるソリューションを提供しているスタートアップがプログラムに参加するなど、この業界におけるAIの活用の広がりと関心の高さを感じた。

 また、Data & Automation分野のパネルの中で「企業にとっての大きなチャレンジは非構造データの分析と顧客データを使うことだ」と企業が抱えるデータ活用の悩みに関する話があった。


(1) Startup Pitch

(1-1) BRGHTLY社

 In-Store and Omni Channelに分類されたBRGHTLY社は、2020年3月に設立されたとても若いスタートアップで、コンタクトレスなLast-Mile Delivery(ラストワンマイル・デリバリー、顧客に配達物を届ける最後の接点)のための「Smart Locker」を開発している。

 BRGHTLY社は、Smart Lockerの格納部分をモジュール化し、Smart Lockerを設置する広さに応じて、大きさを自由に変えられるようにした。またBRGHTLY社は、各モジュールの扉部分にLCDディスプレイを配置し、映像や写真を表示できるようにした。

「このLCDディスプレイのおかげで、UX(ユーザー・エクスペリエンス、顧客接点)とUser Engagement(顧客エンゲージメント)を直接的に高めることができ、小売業の売り上げを伸ばすことができる」と同社のSmart Lockerの特徴を説明したのはBRGHTLY社のCo-Founder & CEOのDave O’Roukeさん。

 ユーザーは、オンラインで買い物をする際、自分のお気に入りの写真をロッカーの扉のLCDディスプレイに表示するように指定できる。それにより、ユーザーが荷物を取りに行った時、どのロッカーに自分の荷物が預けられているのかが一眼で分かる。ロッカーの扉は、ユーザーが専用アプリを使って開錠できる仕組みになっている。

BRGHTLY社の製品概要(左の写真に写っている人がDaveさん)

 現在同社はプロトタイプを開発中で、LCDディスプレイに表示する映像、及び購買プロセスに関する特許を申請中だそうだ。

BRGHTLY社の技術概要
(左: 特許申請中の購買プロセス概要、右: BRGHTLY社が開発しているモジュール)

 さらにBRGHTLY社はこのLCDディスプレイを広告プラットフォームとして提供するための開発を進めている。Summit後の個別の打ち合わせでDaveさんは、「この広告プラットフォームは他社との大きな差別化ポイントとなる。」と話してくれた。

 同社は、小売業、Fast Food Restaurant、大学のキャンパス、スタジアムなどへの導入に向けて活動している。

BRGHTLY社のターゲットユーザー例


(1-2) Spiral社

 Data & Automationに分類されたSpiral社は、AIを用いてヘルプデスクなどが、ユーザーからの問い合わせによる炎上を防ぎ、問い合わせ内容を具体的な知見としてデータベース化するソリューションを提供している。

 Spiral社のCo-founder and CEOのElena Zhizhimontovaさんは「中小企業でも1週間に10万件以上のフィードバックが顧客から寄せられるが、全てのフィードバックに対応できていない。それを解決するのがSpiral社だ」と語った。Spiral社は、電話、電子メール、レビュー、SNS、チャットなどから寄せられたフィードバックから真の課題を見つけ出し、製品責任者、顧客サービス責任者に報告できるようにした。

 Spiral社の分析によると、企業に届くフィードバックは、製品に関する課題、顧客サービスに関する不満、製品に関する質問の3つに大別できるそうだ。

多岐にわたるFeedbackチャネル(左)と主なFeedback内容(右)

 Elenaさんは、Spiral社のサービスの特徴を、(1) どのような分野のどのような問題にも対応できる、(2) 緊急対応が必要な課題を分析できる、(3) 複数言語に対応している、(4) 文脈を分析できる。ことだと説明した。

 Elena Zhizhimontovaさんはex-Amazonier(Amazon社の元社員)で、「FireTVのサポート業務の経験を元にSpiral社を起業した」と起業の経緯を説明した。Spiral社はAmazon社の元社員が立ち上げたスタートアップらしく、Bezos Expeditions(ジェフ・ベゾス氏のベンチャーキャピタル)からも支援を受けている。

Spiral社の支援者たち

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