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【PNP Spring Summit】モノに貼ってIoT化するテープ、Cookieなしでクリック率を上昇する広告など
2021.06.28

シリコンバレー通信第38回

【PNP Spring Summit】モノに貼ってIoT化するテープ、Cookieなしでクリック率を上昇する広告など

著者 小室 智昭

2.Supply Chain & Logistics(サプライチェーン&ロジスティックス)

 Supply Chain & Logisticsの分野は、IoTを活用したトラッキングやドローン、ロボット、IoTを活用したスマートファクトリーに注目が集まっている。PNP社のSummitでもそれらのソリューションが多く提案されてきた。

 しかし、今回のSummitでは、Freight Management(貨物のマネジメント)やSame-day/Next-day Delivery(当日/翌日配達)に関するソリューションが目についた。Same-dayもしくはNext-dayを提案しているスタートアップの中には、地産地消のように配送先に近い店舗や倉庫から届ける工夫が凝らされていた。

 

(1) Startup Pitch

 今回で8回目のSupply Chain & Logisticsプログラムには22社のスタートアップが登場した。22社の中から、ユニークなIoTサービスを提供している2社のスタートアップを紹介する。

Supply Chain & Logisticsプログラムには22社のスタートアップ

(1-1) BitRip社

 BitRip社はユニークな方法で、企業が悩んでいる資産やインフラ設備のIoT化を推進するソリューションを提供している。BitRip社は格子模様を印刷したテープで、資産やインフラ設備をIoT化できるようにした。BitRip社のFounder & CEOのNicholas Dimitrukさんは、Spring Summit 2021後の打ち合わせで、BitRip社の仕組みを教えてくれた。

 BitRip社のテープには水平方向に同じパターンでラインが印刷され、縦方向には不規則なパターンでラインが印刷されている。BitRip社はその不規則なパターンを専用のスマートフォンアプリで認識して、テープを貼った資産やインフラ設備を識別する。

 BitRip社のテープはガムテープのようにロールになっていて、ユーザーは、ロールからテープをちぎって資産やインフラ設備に貼るだけ。Nicholasさんは、「パイプ型の設備にはテープを巻きつけるように貼っても、テープの一か所だけスキャンすれば、その設備を認識できるよ」と教えてくれた。屋外での利用を考慮してUV加工されているそうだ。

 BitRip社のアプリは、テキスト、音声、写真を保存できるようになっている。例えば定期点検の時に、検査結果をテキスト、音声、写真で残せる。BitRip社はすでにそのテープを販売していて、米国だけでなく、日本を含めた世界中に発送している。私も評価用として、2ロールを購入した。

左上: Bitrip社のメンバー、中: BitRip社のIoTテープ右上・下: BitRip社の利用事例

(1-2) Gebe Cert社

 Gebe Cert(ジービーサート)社は、マイクロチップとブロックチェーンで企業ブランドを保護するソリューションを提供している。Gebe Cert社のCo-Founder & PresidentのNick Williamsさんは、「私たちの調査では模造品による被害は$1.4T(1.4兆ドル、約153兆円)に達し、サプライチェーン業界の10-40%を占めている。私の友達は偽造されたお酒を飲んで亡くなった。2017年に起きたこの事件をきっかけにブランド、商品の透明性と安全性を提供できるシステムの開発を始めた」と起業の経緯と思いを説明した。

 Gebe Cert社のマイクロチップは小型・薄型で、ラベルの中、製品の中、カードの中に埋め込み可能だ。そして、製造過程、配送過程において、マイクロチップがスキャンされる都度、スキャンされたデータは暗号化され、ブロックチェーン管理される。Gebe Cert社のソリューションは、マイクロチップがユーザーごとのユースケースを担当し、ブロックチェーンがセキュリティを担当する構成になっている。

 Gebe Cert社の主な導入事例はEnd-to-EndのTracking(追跡)で、人材削減、時間短縮に貢献している。それ以外には、同社の特徴を活かして中古品市場への導入も目指しているそうだ。

 この業界には多くの協業やソリューションが存在する。バーコードやQRコードも競合ソリューションだという。また、Zebra社や老舗のDover社なども競合に当たる。競争が厳しいこの業界において、Gebe Cert社はタイ政府を含めて15社の顧客を抱え、4社のパートナーの協力を得て60社以上の小売業、製造業、配送業、電子証明発行者と商談を進めているそうだ。

 身近な使い方として、ワインメーカーと連携して、スマートフォンの専用アプリを立ち上げて、ワインボトルにスマートフォンを近づけるだけで、ワインに関する情報を確認できる仕組みを提供している。

上: Gebe Cert社のコア技術、中: Gebe Cert社の導入事例、
左下: Gebe Cert社のデータフロー、右下: Gebe Cert社のビジネスフロー

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