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咳の音でコロナ感染が分かるアプリが登場
2021.05.24

シリコンバレー通信第37回

咳の音でコロナ感染が分かるアプリが登場

著者 小室 智昭

2.Commerce Tech

 コロナ禍でEコマース、デリバリー、バーチャルショッピングの市場が急成長している。ここでは、コロナ禍、アフターコロナでも注目されると思われる無人店舗、マーケティングに関するスタートアップを紹介する。

 

(1) INSTORIED社

 マーケティングにおいて、市場に思いを込めたメッセージを届けるのはとても難しく、規模にかかわらずどの事業者も苦労している。INSTORIED社は、思いを込めたメッセージの作成を支援するクラウドベースのソリューションを提供している。

 ユーザーが INSTORIED社のクラウドに文書を登録すると、INSTORIED社は登録された文書をPositive(肯定的)、Negative(否定的)、Neutral(中立)の3つのポイントで分析する。ユーザーは登録した文書をINSTORIED社のダッシュボードで分析理由を確認できる。

 ダッシュボードにはPositive、Negative、Neutralの3つのボタンがあり、例えば、ユーザーが”Positive”ボタンをクリックすると、INSTORIED社がPositiveと判断した単語をハイライト表示する。またINSTORIED社は、ハイライト表示した単語を置き換え可能な別の単語を提案してくれる。

 さらに、INSTORIED社は登録された文書をJoy(喜び)、Fear(恐怖)、Sadness(悲しみ)、Surprise(驚き)の4つの感情で分析する。

 INSTORIED社はユーザーがリアルタイムに分析結果を確認できる編集ツールも提供していて、ユーザーが分析結果を確認しながらインパクトのある文書や見出しを作成できるようにしている。

 INSTORIED社は自分たちの技術を、まずはマーケティングツールとして提供していくようだ。

INSTRIED社のDashboard (左上: ドキュメント管理、右上: 特徴分析、 左下: 感情分析、右下: リアルタイム編集ツール)

 

(2) Standard Cognition社

 Standard Cognition社は、Amazon Goのような無人店舗ソリューションを提供している。Standard Cognition社は同社のプラットフォームにより、店舗経営のコストの削減、顧客への豊かなショッピング体験の提供、店舗の売り上げアップを目指している。

 Standard Cognition社の無人店舗ソリューションの一番の特徴は、店舗レイアウトを変更することなく、後付けでシステム導入ができることだ。AmazonGoは商品棚を重量センサー付きのものに変更したり、商品棚に無数の小型カメラを設置する必要があるが、Standard Cognition社の場合は、天井にカメラを設置するだけだ。

Standard Cognition社の仕組み (上段左・中: カメラ、上段右: 支払い確認、下段: モニターの様子)

 Standard Cognition社は、利用者向けの「Shopperアプリ」と店舗向けの「Storeアプリ」を提供している。

 Shopperアプリは、ユーザーがお店に入る前にアプリを立ち上げていれば、棚から商品を取って、そのままお店の外に出て行けるようにする。Storeアプリは店舗スタッフが、顧客が店のどこにいて、何を買っているのか、把握できるようにした。そして、StoreアプリはShopperアプリと連携して決済を自動化する。StoreアプリはShopperアプリを持っていない顧客を検知したり、顧客が支払いをしないでお店を出ようとした場合、店舗スタッフにアラームを通知するようになっている。

Standard Cognition社のアプリ (左: Shopperアプリ、右: Storeアプリ)

 世界中で14,500店舗を運営するCircle K社は、Standard Cognition社と提携して無人のコンビニエンスストアを展開すると2020年8月に発表している。また、大学や企業にフードサービスを提供しているCompass社は、大学や企業内のカフェや自動販売機をStandard Cognition社の技術を使ってコンタクトレス化するそうだ。自動販売機をコンタクトレス化できるのもStandard Cognition社ならではの機能だろう。

 そして、野球チーム「Worcester Red Sox」(ボストン・レッドソックス傘下のマイナーリーグチーム)の本拠地のPolar Parkも、Standard Cognition社の技術を導入して2021年シーズンからスナック、ドリンク、グッズを無人で販売するそうだ。

 Standard Cognition社は2017年に設立され、その後順調に資金調達を重ねてきた。そして、2021年2月17日にSeries Cとして$150M(1億5千万ドル、約163億円)を調達した。

 気になるのはSeries Cに参加した投資家だ。Softbank Vision Fundがこの投資ラウンドに参加している。Softbank社は別のスタートアップとの連携も発表するなど、この分野に積極的に取り組んでいる。

Standard Cognition社の導入事例 (左上: Circle K社、左下: Polar Park、右: Compass社)

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3.FinTech

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