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咳の音でコロナ感染が分かるアプリが登場
2021.05.24

シリコンバレー通信第37回

咳の音でコロナ感染が分かるアプリが登場

著者 小室 智昭

 2021年度最初のシリコンバレー通信です。今回は、3月から4月にかけて話を聞いたスタートアップを、テーマ別に紹介したいと思います。

 日本では東京、大阪などで3回目の緊急事態宣言が出されましたが、気をつけてお過ごしください。

1.Health Tech

 Health Techは、ウェアラブルデバイス、AI、AR/VRなどの技術を活用したDXの進化が著しい分野だ。ここでは、Ai、ウェアラブルに関するスタートアップを紹介する。

 

(1) Hyfe社

 Hyfe社は、「咳(せき)」を録音して、咳の裏側に潜んでいる疾患を診断するソリューションを提供している。Hyfe社のCo-founderのPaul Riegerさんは「咳の波長も個人差があり、疾患によっても特徴がある」と説明してくれた。そしてPaulさんは、「Hyfe社のプラットフォームを使うと新型コロナに感染しているかどうかも分かる」と続けた。

 咳の録音はHyfe社のスマートフォンアプリで行う。例えば、寝るときにスマートフォンを充電しながらベッドの脇に同社のアプリを起動して置いておくだけで録音できる。

 Hyfe社のアプリは、寝ている間に何回咳をしたか、どのような咳をしたかを分析して可視化する。

 Hyfe社が提供しているスマートフォンアプリはApp Store、Google Playからダウンロードできる。ただPaulさん曰く、iOSはApple社の仕様により機能が制限されているため、Android OSがお勧めだそうだ。

 Hyfe社は北米、南米、ヨーロッパ、アジア、アフリカなどの世界各地の医療機関と連携して開発を進めていて、日本にもパートナーがいる。Paulさんは高校3年間を横浜の都筑区で過ごしたこともあり、日本の医療業界にも人脈があるようだ。

Hyfe社による咳の分析結果 (左上: 疾患による違い、右上: 診断結果、 左下: コロナ感染分析、右下: リアルタイムモニター)

 

(2) Flow Bio社

 Flow Bio社は、汗を分析・可視化し、アスリートのパフォーマンス向上を支援するソリューションを提供している。

 運動後のケアのために血液を採取して分析しているアスリートは多くいる。既存の手法では、血液を採取するための器具を持ち歩く必要があったり、リアルタイムで分析結果を確認することができないという課題がある。

 そこでFlow Bio社は、運動後の体調管理のために汗に着目し、汗を分析するためのウェアラブルセンサーとウェアラブルエッジコンピュータを開発した。

Flow Bio社が目指す運動後のパフォーマンス分析 (左: 既存の方法、右: Flow Bio社の提案)

 Flow Bio社のウェアラブルセンサーとウェアラブルエッジコンピュータは、汗を採取して汗の質、アスリートが必要としている塩分量および水分量をリアルタイムに分析・可視化する。

 ウェアラブルセンサーとウェアラブルエッジコンピュータはとても薄いパッチタイプで、二つを重ねて胸や上腕部に貼る。Wearableセンサーは使い捨てで、1回で8時間利用できる。8時間利用できれば、普段の練習やマラソン、トライアスロンなどのレースでも、時間を気にせず利用できる。

左: Flow Bio社のセンサー(左手)とEdge Computer(右手)、 右: センサーとEdge Computerを重ねている様子

 Flow Bio社は専用のスマートフォンアプリも提供しているが、リアルタイム性を考慮して汗の分析は全てウェアラブルエッジコンピュータで行い、スマートフォンアプリは分析結果の通知と可視化の機能に特化している。

 Flow Bio社のスマートフォンアプリは複数のセンサーをまとめて管理できるため、複数のアスリートのパフォーマンスを一つのアプリで管理できる。

 Flow Bio社のCo-founder & CEOのStefan van der Fluitさんは、個別の打ち合わせの中で、”アスリートのパフォーマンス向上”が優先市場と説明していた。日本では工事作業員の体調管理に関する取り組みもあることを紹介したところ、「とてもいいいね」と、作業員の体調管理に高い関心を示した。

 現在Flow Bio社は、2022年春のサービス化を目指して被験者限定でアルファテストを実施している。その後、テスト対象を拡大したベータテストを実施するようなので、ベータテストに参加できるように依頼した。

Flow Bio社のターゲット市場

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2.Commerce Tech

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