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世界からスタートアップが集結「500 Startups」イベントレポート
2021.03.16

シリコンバレー通信第36回

世界からスタートアップが集結「500 Startups」イベントレポート

著者 小室 智昭

(3-4) Deep Tech

 Deep TechにはMightyFly社、Omnitron Sensors社、Drover社、Butlr社の4社が登場した。ここでは、Micro Mobility(マイクロモビリティ)向けのソリューションを提供しているDrover社を紹介する。

 Drover社は、Micro Mobilityに関する地方自治体の規制を遵守しつつ、Micro Mobilityビジネスの成長を支援するスタートアップだ。「eScooter(電動キックボード)が街に放置されているが、それは利用者の責任です」と言うのは、Drover社のCEOのAlex Nesicさん。Alexさんは、「Drover社は、都市が頭を抱えているeScooterの放置問題を解決できる」と続けた。Micro Mobilityは都市交通の未来であり、コロナ禍でもMicro Mobility市場は成長を続けているそうだ。日本でも公共交通機関の利用を避けたい人が自転車やスクーターを利用している。

 全てのeScooterには追跡、管理のために小さなデバイスが付いている。Drover社はそのデバイスをAIとコンピュータービジョンで次のレベルに引き上げた。Drover社はeScooterが歩道、車道、バイクレーンのどこを走っているのかをリアルタイムに検知できるようにした。

 Drover社は最近Spin社との提携し、Spin社が提供する1,000台のeScooterに同社の技術を提供すると発表した。Spin社との契約では、Drover社が開発したデバイスを搭載したeScooterの台数見合いで課金することになっているそうだ。

 Drover社はeScooterの利用者の悪いマナーを削減し、eScooter事業者の収益をあげること目指すという。

Drover社のデバイス(左)と認識結果(中: 車道、右: 歩道)

(3-5) Startup Healthcare

 HealthcareにはAsh社、Sira Medical社の2社が登場した。ここでは、Sira Medical社を紹介する。

 Sira Medical社のCo-Founder & CEOのRick Bebermanさんは、「Sira Medical社は、CTスキャンまたはMRIのデータから患者独自のホログラムを作成し、外科医が手術前の計画を立てるのを支援するARソフトウェアを開発している」と自社のサービスを説明した。

 Rickさんは、公園のウンテイから落下して複雑骨折した少女の事例を紹介して、ARホログラムのメリットを説明した。同社のARホログラムを使えば、外科医が骨片を見逃すことなく、ジグソーパズルを組み立てるように骨を適切な場所に戻すための計画を手術前にたてられるという。Rickさんは「私たちの技術は、手術におけるエラーの25%を占める予想外の事態を避けられる。」と説明した。

 Sira Medical社は、UCSF(University California San Francisco; カリフォルニア大学サンフランシスコ校)での実証実験において、手術時間を20%以上短縮することができたそうだ。

 Sira Medical社のARホログラムは、スマートフォン、タブレット以外にVRグラスでも見られる。

Sira Medical社のソリューション(上段と左下)とパートナー(右下)

(3-6) Financial Technology

 Financial TechnologyにはBrave Credit社、AWSM Bank社の2社が登場した。ここでは、AWSM Bank社を紹介する。

「小さい時に身をもって体験したことは、その後ずっと忘れないように、私たちは本物のクレジットカードや金融商品を使いつつ、安全な環境で若者に金融知識を身につけてもらうためのソリューションを提供している」と自社のサービスについて説明したのは、AWSM Bank社のCEOのAlibek Junisbayevさん。Alibekさんは「72%の親が子供はお金の価値が理解できない。2/3の人が30歳前に金融的に大きな失敗をする」と続けた。

 AWSM Bank社は金融知識を教えるのではなく、体験型の新しい銀行を目指している。親が子供のアカウントを作ると数日のうちにリアルなクレジットカードが子供に送られてくる。親が利用限度を設定できるため、子供が無制限に買い物ができないようになっている。Alibekさんは、「例えば、Xboxを買うための$500(約5万円)のローンは子供には大きな負債に感じるだろう。そこで、子供たちは、お手伝いをしながらお小遣いを貯め、貯まったお金で、自分で毎月のローンの支払いをする。期日までに支払いをしなければ、クレジットスコアは下がる」とAWSM Bank社のサービスの利用事例を紹介した。

 このような実体験を通じて、大人になったときに金融トラブルを抱えないようにするのがAWSM Bank社の究極のゴールだ。

幼い日の思い出(上段)とAWSM Bank社のカードとアプリ(下段)

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(3-7) Consumer

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