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世界からスタートアップが集結「500 Startups」イベントレポート
2021.03.16

シリコンバレー通信第36回

世界からスタートアップが集結「500 Startups」イベントレポート

著者 小室 智昭

(3-1) Future of Work

 ここでは、発表順に各カテゴリーのスタートアップについて紹介する。各スタートアップは2分間の持ち時間で、解決したい課題、サービス概要、チーム構成、資金調達状況、参加者へのメッセージを伝えた。

 Future of Workには、Sendspark社、AVATOUR社、Pineapple社、Stack社、Workclass社、Grow社、Get on Board社というBatch 27で一番多い7社が登場した。ここではRemote Workを支援するAVATOUR社を紹介する。

  AVATOUR社のCEOのDevon CopleyさんはNOKIA社が開発していた高性能な360度カメラ「OZO」の開発プロジェクトに参画していた人物。Devonさんは、NOKIA社での経験を活かしてAVATOUR社を設立した。

  AVATOUR社は、もともとは高価な360度カメラがなくても、スマートフォンで撮影した映像から精度の高い3Dモデルをリアルタイムに配信するサービスを提供していた。その後Devonさんは、360度映像を用いて現場とエキスパートとのリアルタイムコミュニケーションツールへと進化させていった。

  AVATOUR社のリモートワークソリューションを使うと、現場から送られてくる映像をWebブラウザーやVRヘッドセットで見ることができる。また、映像を見るだけでなく遠隔地にいるエキスパートが現場の作業員に作業指示を出すこともできる。

 Devonさんはピッチの中で「調査、監査などの多くの会議は会議室ではなく現場で起きている。現場とリアルタイムにコミュニケーションできるツールが必要で、それがAVATOURだ」と説明した。

AVATOUR社のRemote Workソリューション

  コロナ禍で現地にエンジニアを派遣できない中、AR/VRによるリモートワークソリューションは大きく成長し、さまざまな業界で導入が進んだサービスの一つだろう。人材不足解消および匠の技の継承のために音声認識技術とARグラスを組み合わせたハンズフリーなリモートワークソリューションを提供しているTacit社のCEOのTodd Boydさんは、「AR/VRによるリモートワークソリューションは、コロナ禍でさらにニーズが高まった。」という。

(3-2) eCommerce/Reseller Marketplace

 eCommerce/Reseller MarketplaceにはAppBind社、EcoCart社、Invidica社の3社が登場した。ここではオンラインコマース通じてエコを応援するEcoCart社を紹介する。

 EcoCart社は商品製造に伴う温室効果ガスの排出量を自動的に計算し、購買者が購買行動を変える事なくオンラインショッピングを通じてエコに貢献できるようにするAPIを提供している。「サービス開始後8ヶ月で300以上の事業者がEcoCart社のサービスを利用し、EcoCartを利用している事業者の成績は伸びている」とEcoCart社のCo-Founder & CEOのDane Bakerさんは説明した。

 EcoCart社は、温室効果ガスの排出量を決済時に運送距離、梱包方法、製品から計算する。EcoCartを利用して商品を購入した場合、購入者は植林の寄付に利用できるポイントなどがもらえるため、エコに関心がある人がEcoCartを利用するモチベーションになっている。すでに、同社のEco-Communityは50万本に相当する樹木の保護に貢献したそうだ。

 利用者がEcoCart社のサービスを利用するためには、同社のBrowser Extension(ブラウザの拡張機能)をインストールして拡張機能を有効にするだけ。Webブラウザで商品を検索すると、検索結果にEcoCart社のロゴが表示される。

 EcoCartのサービスは森林保護(SDGsの#6、#13、#14、#15)以外にも、綺麗な水の供給(SDGsの#6、#8、#13、#15)、再生可能エネルギー施設の建設(SDGsの#7、#8、#9、#13)にも貢献している。

EcoCart社が貢献しているSDGs事例

(3-3) Develop/Security

 Develop/SecurityにはAdapty社、Amixr社、Penfield社、Plant an App社の4社が登場した。ここではエンジニアリングチームを応援するAmixr社を紹介する。

「あらゆるクラウドサービスの裏側でモニターリングシステムが常に監視を行なっていて、一日で膨大な量のデータが生成される。健全にサービスを運用するためにはIncident Management Platform(インシデント管理プラットフォーム)が必要不可欠だが、高価かつ複雑で、DevOps、SRE(Site Reliability Engineering; サイト信頼性エンジニアリング)に利用できなかった。そこで、企業内メッセンジャーに注目して、シンプルで効率的なIncident Management Platformを目指して設立したのがAmixr社だ。」とAmixr社のCo-Founder & CEOのMatvey Kukuyさんは会社設立の経緯を説明した。

 現在200人以上のエンジニアがAmixr社のプラットフォームを使ってひと月で770,000件以上のインシデントに対応しているそうだ。Amixr社は開発したPlatformをオープンソースとして提供している。そのため、機密情報を外部に起きたいくない企業が自社ネットワーク内に環境を構築したり、クラウドに環境を構築したり、Amixr社のクラウドを利用したりと、利用者のニーズに合わせて自由に環境を選ぶことができる。

 また、Matveyさんは「Amixrは、Docker、Kubernetes、Prometheus、Grafanaと連携して利用できる唯一のIncident Management Platformだ」と説明した。

Amixr社のDashboard(左)と他プラットフォームとの連携事例(右)

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(3-4) Deep Tech

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