a-1) Triggermesh社
Triggermesh社は、クラウドアプリを相互に連携させて、業務の自動化、DXを支援するソリューションを提供しているスタートアップ。
Triggermesh社のサービスを一言でいうと、クラウドサービス版IFTTT(イフト、複数のWebサービスを連携し、自動で処理をするサービス)だろう。Triggermesh社は、イベントをきっかけにクラウドアプリ同士を繋げてアプリ連携を実現する。

Triggermesh社のコンセプト
サービスの使い方もIFTTTとそっくりだ。まず、Triggermesh社のポータルサイトで”Bridge(ブリッジ)”というPlaybook(自動処理のためのルールが書かれたファイル)を作成する(IFTTTではRecipe[レシピ]と呼ばれている)。次に連携の起点となるサービスとトリガーを指定する。最後に連携先のサービスを指定して保存する。Triggermeshは連携先のサービスを複数指定でき、この点はIFTTTと違う。数秒すると、保存したPlaybookが有効になり、サービス連携が始まる。
Triggermesh社は、Auth0、AWS、DataDog、Github、G-Suite、Kafka、OneLogin、Salesforce、Zendeskなどのクラウドサービスに対応している。
データ流出は、毎日のように世界のどこかで起きている。ITRC(The Identity Theft Resource Center)の調査によると、2020年前半のデータ流出件数は2019年と比べて33%減少しているが、これは、COVID-19対策として企業のリモートワークに対応したセキュリティ対策によるものと、オフィスクローズにより社員が簡単にデータにアクセスできなかったことが理由と結論づけている。
データ流出件数の減収はハッカーにとっては大きな課題のはずなので、きっと新たな手口を考えていることだろうから、継続してデータ流出防止の対応は必要なセキュリティソリューションと言える。
b-1) Inpher社
Inpher社は、データ活用とData Privacyを1つの環境で両立させるデータ管理プラットフォームを提供しているスタートアップ。一般的にデータ活用とData Privacyはトレードオフの関係にあるとされているが、Inpher社はData Privacyに配慮しつつ、データを積極的に活用できるようにした。
Inpher社のCo-Founder & CEOのJordan Brandtさんは、「私達にはデータを移動させることなくデータを安全に演算処理できるセキュリティソリューションが必要だ。Inpher社のソリューションの「Secret Comuting」を使えば、ユーザーはデータを暗号化したままデータを演算処理できる。」と説明した。
Jordanさんは、「多くの良いデータが集まれば良い予測ができるようになる」という。Inpher社のソリューションは、企業や団体など個々に管理されたデータを安全に利用できるようにする。特に、Secret Computingの中核をなすXOR Serverは、データ分析ツールとデータ群を繋ぐハブ的な役割を果たす。
例えば、分散管理されたデータベースにアクセスする場合、一般的にはそれぞれのデータベースにアクセスする必要があるが、XOR Serverを導入すると、XOR Serverがユーザーの代わりに複数のデータベースにアクセスして必要なデータを一度に集めてくれる。XOR Serverはデータの中身を見ないので、XOR Serverから情報が漏れることはない。
同社はデータ管理の規制が厳しい金融、医療の分野で顧客開拓を行っている。同社は、AWS社、Google社とパートナーになり、Secret ComputingはAWS、Google Cloudに構築されている。
Jordanさんは今後の抱負として「業界リーダー達とSecret Computingを使ったデータエコシステムを作り、直近のゴールはユーザーの既存のデータモデルを改善することで、将来的ゴールは、ユーザーができる限り正確な予測モデルを構築すること」と語った。ちなみにInpher社の社名は、暗号という意味の”Cypher”に因んだ名前のようだ。

Inpher社のサービスコンセプト

Inpher社のEcosystem
b-2) Okera社
「データの活用は急速に拡大し、複数クラウドの利用を検討しているユーザーが8割以上いる。既存のIAM(Identity and Access Management)では十分なアクセス制御ができず、GDPRだけでも2021年に支払われる違反金は$1B(10億ドル、約1,040億円)に達する。」とデータ市場の現状を話してくれたのは、Okera社のCMOのPaul Singhさん。
Paulさんは、データ利用者とデータ管理者の間に大きな溝があるという。データ利用者は、マーケティングなどの目的で多くのデータにリアルタイムにアクセスしたいが、データ管理者はデータ保護の管理でそれを許さず、アクセス制御、認証、監査などで立ち塞がる。結果として両者の間に大きな溝が生まれるという訳だ。
Okera社はこの溝を埋めるためのソリューションを提供しているスタートアップで、データの可視化、管理ポリシーの作成・運用、拡張性のあるデータ保護の3つが、Okera社のプラットフォームの特徴である。
同社のソリューションは、Nike社、CapitalOne社など、Fortune100(Fotune社が発表するトップ企業100社)企業に利用されている。Nike社は同社のプラトフォームを使って10 Petabyteのデータを管理しているようだ。

Okera社の課題したい課題

Okera社の導入事例