10月中旬に開催された「NTT Communications Digital Forum 2020」には、多くのお客さまが来られたと聞きました。私もイノベーションゾーンにて、シリコンバレーの情報、研究所の技術の展示を行いました。
さて今回は、最近会ったスタートアップの中から、興味深いスタートアップ、日本企業との連携の可能性があるスタートしていますについてまとめてみました。
ビジネスの経理業務をスマートにサポートするTorpago社
業務に必要な備品の購入や出張の支払いは、コーポレートカードもしくは個人の立替払いだろう。個人の懐が痛まないという点以外は、コーポレートカードも個人の立替払いも、事前・事後の手続きは変わらない。
しかし、出張が多い営業担当者にとっては、経費精算は頭が痛い問題だろう。「後でまとめて」と思っているうちに、月末や期末に経理に急かされている人は多いはず。特に日本企業はコンプライアンス遵守の観点で、厳格に運営されている。
Torpago社は、コンプライアンスを遵守しつつ、コーポレートカードを簡単に利用でき、その後の経費手続きも効率よくできるソリューションを提供しているスタートアップだ。
日本企業では物品購入や旅費規定が細かく決められているが、エクセルやパワーポイントで資料化されているだけで、実際の運用はアナログ的なものだ。Torpago社は、物品購入のパートナー、購入権限、決裁権限などの条件設定と、それに基づいた運用をプラットフォームで提供している。
初めて見たピッチイベントは3分間だったので、「コーポレートカードの発行・運用がメインのスタートアップかな」と思っていたが、Torpago社のCEO&FounderのBrent Jacksonさんと個別に打ち合わせをして、単なるカード発行会社ではないことが分かった。
利用のシナリオはこうだ。各企業ユーザーは事前に、購入・支払いに関する情報をTorpago社のプラットフォームに登録する。そして、社員がコーポレートカードを使う時、クレジットカード会社がTopago社に支払い処理をしていいか確認する。Torpago社が承認すれば、支払い手続きが進められるのだが、否認した場合は、取引は成立しない。
各クレジットカード会社は、コーポレートカード使用の可否を確認するためにTorpago社のAPIをコールする必要がある。そのため、Torpago社の機能を利用したいクレジットカード会社は、既存のシステムにTorpago社のAPIをコールする機能の追加開発が伴う。すでにVISA International社が、Torpago社と提携したコーポレートカードを発行している。
Torpagoのプラットフォームは、社員、グループ、部署ごとに設定できるため、人事異動や組織変更があった場合でも簡単にポリシー設定できる。日本ではデジタル庁が新設され、これに伴って企業の経理業務のデジタル化と効率化が格段と進むと予想される。Torpago社が提供するサービスは今後日本でもニーズが高まると思う。
Torpago社のパートナー達
