最初に、Reality.ai社との出会いと同社のこれまでの活動について話をしたい。Reality.ai社のCo-Founder & CEOのStuart Fefferさんと最初に出会ったのは、PNP Winter Expo Summit 2016だった。
2016年はAIブームが始まったばかりで、AIに関するソリューションを求めて世界中から多くの企業がシリコンバレーのAI関連スタートアップとの連携を求めてやってきた。日本の企業も例外ではない。しかし、スタートアップが提案するのはAIエンジンばかりで、AIを活用したソリューションは少なく、具体的なソリューションを求めてやってきた企業との間には大きなギャップがあった。
そんな時から、Reality.ai社は異音検知など、自社のAIが適応する事例をきちんと説明できていた。PNP社からの依頼もあり、Winter Expo 2016の後、数社の日本企業にReality.ai社を紹介した。その中で、Reality.ai社の活動のドライブになったのが、小糸製作所との実証実験だろう。小糸製作所はヘッドライト業界のリーディングカンパニーで、2016年からシリコンバレーにイノベーション拠点を設立して、数多くのスタートアップと連携している。
小糸製作所はReality.ai社の技術についてPoCを実施し、PoCの成果をCES 2018で発表した。その後、日本企業を含め、多くの企業がReality.ai社のPoCを行った。
当初、インフラ、工場、自動車などの異音検知がReality.ai社の主なCase Studyだったが、今は幅を広げ、Smart City、Smart Home、Connected Car、Healthcare、Securityなどのサービスを支えている。
特に同社が注目しているのは”音”だ。”ガラスが割れる音”、”緊急車両のサイレン”、”歩行者、自転車、自動車の音”、”子供の泣き声”、”犬の鳴き声”、”煙感知器”などだ。例えば、話し声もよく聞き取れないような賑やかなレストランでも、グラスが割れる音を検知できる。しかも一種類ではなく、音が異なる複数のグラスが割れる音も検知できる。Reali.ai社は、ガラスが割れる音を検知できるAIをSmart Homeの防犯ソリューションとして提供するため、NXP社から技術支援を受けて開発を進めている。このデモビデオを見ると、高いレベルでガラスが割れる音を検知できていることが分かるはずだ。

自動運転の分野でのReality.ai社の導入事例