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新ビジネス「コロナテック」に挑むスタートアップが登場
2020.05.01

シリコンバレー通信第27回

新ビジネス「コロナテック」に挑むスタートアップが登場

著者 小室 智昭

2.Last One MileのためのeTrailer

 今の時勢を反映して、「CoronaTech(コロナテック)」という言葉が生まれた。CoronaTechのカテゴリーは、Medical(医療)だけでなく、セキュリティ、リモートワーク、デリバリーなど多岐にわたる。

「Last One Mile(ラストワンマイル)ソリューション」というと、自動運転による配送に注目が集まっているが、ドイツのハンブルク市に本社があるNuwiel社は、Last One MileのためのユニークなeTrailer(電動トレーラー)を開発している。同社のeTrailerは、どんな自転車にも簡単に装着して利用でき、特許申請中の技術により、自転車に乗っている人が荷物の重さを感じることがないように自動的に加速、減速する。同社のアイデアはユニークだが、eTrailerに採用されている技術もとてもユニークだ。

「ヨーロッパでは道路の狭さ、交通渋滞、大気汚染を考慮して、自動車、オートバイによる荷物の配送が制限されるようになっている。」とNuwiel社を立ち上げた理由を教えてくれたのは、同社のCo-FounderのNatalie Tomiyamaさん。Natalieさんは「現在は、自動的に加減速してくれる技術の開発に注力しているが、BLEなどの無線技術を使ったトラッキング機能を開発する予定だ。」と話をしてくれた。また、「シェアリングサービスの提供に向けた開発も行っている。」と教えてくれた。

 同社は、Ikea Bootcamp社、Startup Autobahn社から€71.4K(7万1,400ユーロ、約830万円)の資金を調達してハードウェア、ソフトウェアの開発を行うとともに、Ikea社、UPS社などと市街地や倉庫・店舗内での荷物の運搬に関する実証実験を行っている。

Natalieさんによると「ドイツでも自動車を保有する若者が減少している。Ikea社はこれまでは郊外の大店舗でのビジネスを重視していたが、最近は都市部の小さめの店舗へとビジネスモデルを転換し始めている。そのため、Ikea社は自動車を保有しない若者向けに購入した家具を運ぶ手段を探している。」とIkea社との連携の裏話を教えてくれた。

 同社のeTrailerは、本体のみ、Open Box、Closed Boxの3タイプがあり、カスタマイズも可能だという。ビジネスモデルはeTrailerの販売と、月々のサブスクリプションの組み合わせ。eTrailerの価格は€5,000(5,000ユーロ、約58万円)からになる。

 日本でも配送業者が自転車で大きなカーゴを引いている姿をよく目にした。Nuwiel社のソリューションは、道路が狭く、地元の人材を活用した配送モデルを持つ日本市場にフィットするに違いない。また、同社のeTrailerは自動運転ではないため、日本で商用利用する場合のハードルは自動運転と比べると間違いなく低い。

Nuwiel社のeTrailerの利用例

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