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【CES2020 #2】あと数年で「空飛ぶタクシー」に乗れる?最新モビリティの今
2020.02.03

シリコンバレー通信第24回

【CES2020 #2】あと数年で「空飛ぶタクシー」に乗れる?最新モビリティの今

著者 小室 智昭

 世界最大の家電見本市・CES 2020が、1月6~9日の間、ラスベガスで開催されました。

 前回の記事では、主催者であるCTA(全米家電協会)が「注目の分野」として挙げた中から、「5G and IoT」「Content(Streaming Wars)」「Immersive」の3つを紹介しました。今回は「Transportation」「Flyng Cars(eVTOL)」「Digital Health」「Resilient Technologies」の4ジャンルを紹介します。

(4)Transportation

1) CTAの予測

 CTAがTransportation(交通手段)の分野で期待する技術は、C-V2X、Multi-modal(後述)、EV(電気自動車)、Self-Driving Fleet(業務用の自動運転車)の4つ。CTAは「今はEV(Electric Vehicle)の時代で自動車の電化(Electrification)が進み、CES 2020でも見逃せないトピックスの一つ」と説明した。

 CTAは、Self-Drivingを期待する技術としたが、一般消費者向けのSelf-Drivingではなく、物流や運輸などの事業者向けのFleet Management(業務用車両の管理)に注目している。

 Multi-modal Transportationとは、複数の交通手段を用いた移動方法を指す。CTAはMulti-modal Transportationの一角をなすeScooter(電動キックボード)に注目しているという。世界ではeScooterは生活に欠かせない移動手段として利用されているが、日本では道路交通法で規制されていて、公道では利用できない。ただ、日本でもMicro Mobility(小型モビリティ)サービスの実現を目指し、福岡市がeScooterによるシェアリングサービスの実証実験を行っていて、今後の成長が望まれる。

2) Osram社

 CES 2018でのトヨタ社のePalletの発表を受け、CES 2019のLVCC(ラスベガス・コンベンションセンター) North HallはMaaS一色だったが、CES 2020では一変した。「MaaSは儲からない」との囁きは本当のようで、MaaSは影を潜めた。昨年、ANYrobotics社のロボットとMaaSを組み合わせたLast One Mileソリューションを発表し、人気を集めたContinental社も、今年はMaaSは出展はしていない。

 そんな中、ドイツの自動車系サプライヤーのOsram社が、交換可能なPod型MaaSを発表していた。

 Osram社のSarah Carlsonさんは「既存のMaaSは単一の用途でしか利用できない。Osram社は、MaaSのシャーシ部(Skateboard)とボディー(Pod)を分離し、複数種類のPodを一つのSkateboardで移動させることができるようにした」と説明してくれた。将来はバッテリーの交換も視野に入っているという。

 Osram社は、人を運ぶ車両を「MetroSnap Passenger Pod」と呼び、荷物などを運ぶ車両を「MetroSnap Cargo Pod」と呼んでいる。例えば、MetroSnap Passenger Podを使えば、自宅から駅までSkateboardに運んでもらい、それを電車などに積んでもらえば、一歩も外に出ることなく目的地に行くことができる。また、MetroSnap Cargo Podを使えば、自宅で荷物を預けると目的地のホテルまで荷物を運んでくれる。Osram社の展示はそんな未来を想像させてくれた。

3) 小糸製作所

 自動車系サプライヤーの小糸製作所が自社ブースを持つのは、CES 2020で3年目だ。CES 2020では、日本のレクサス車に採用され、CES 2020 Innovation Awardを受賞したADB(Adaptive Driving Beam、ハイビーム可変ヘッドランプ)、スマートシティ向けのV2X(Vehicle-to-Everything)、センサークリーナー、センサー一体型コーナーモジュールの4つのカテゴリーの5製品を展示していた。ここでは、V2Xの製品について紹介する。

 CTAも予測しているが、スマートシティ、Smart Mobilityにおいて、V2Xの注目度が高まっている。小糸製作所が展示していたV2X製品は、人や自動車を検知し、自動車のインフォテイメントパネルに表示したり、歩行者のスマートフォンに通知を送ったり、道路に注意マークを表示できる街灯だ。

 この街灯のライトは、小型のLiDAR(光を利用したセンシング技術)、プロジェクションユニット、通信モジュールが一体となっている。小糸製作所のブースでは、ブースの前を通る参加者を検知すると、注意マークを通路に表示する仕組みになっていた。小糸製作所の説明員は、「人や自動車を検知して通知するだけでなく、蓄積されたビッグデータをもとに人や車両の動きを予測し、信号機がいらない自動運転車の安全走行の実現を目指したい。」と説明してくれた。

 5Gの商用化きっかけにC-V2Xも注目され始め、自動車と自動車、歩行者、インフラとの連携は今後さらに進むと考えられる。

 小糸製作所の説明員は、V2Xの展示の裏話を教えてくれた。本当は向かい側にブースがあり、交差点イメージしたデモ展示となる予定だったが、向かいのブースが出展を取りやめたため、交差点をイメージしたデモにはならなかってしまったそうだ。展示していた内容でも十分にV2Xのメリットが伝わっていたが、交差点をイメージしたデモになっていたら、角に隠れた参加者を事前に検知して、通路に注意マークを表示するデモができたため、さらに参加者にV2Xのメリットを理解してもらえただろう。

4) e-mobility

 Bosch社は毎年、Self-Driving、SmartHomeなどの製品を、自社ブースに所狭しと展示している。CES 2020では昨年までと場所を変え、展示の内容も例年と違っていた。ブースの真ん中には、Benteler社と共同開発したe-mobility(EV Platform)が展示されていた。

 e-mobilityはCESでは珍しくないが、同じ国の競合相手と共同でe-mobilityを開発したというのは非常に稀だ。Bosch社の説明員は「このe-mobilityは両社の強みを活かして開発した。例えば、バッテリーはBosch社の製品でモーターはBenteler社の製品だ」と説明してくれた。

 CES 2020でBenteler社の技術を用いて開発したEVを発表したBenteler社のパートナーがもう1社いる。それがSONY社だ。SONY社が発表したEVのプロトタイプの「Vison-S」は、Benteler社から主要コンポーネントの提供を受けて開発された。Vision-Sについては多くのメディアが報じているのでここでは語らない。

 CES 2020を見ると、CTAが予測するようにEVの時代を迎え、自動車メーカー以外が自動車を開発する現実が、すぐそこまで来ていると感じた。ただ、CES 2020では、Tesla社のような業界の常識やビジネスモデルをひっくり返すようなメーカーは見られなかった。

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(5)Flying Cars(eVTOL)

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