1) CTAの予測
新作が公開されたばかりの映画「スターウォーズ」をなぞって、CTAは動画コンテンツサービスの競争激化を「Streaming Wars」と例えた。日本でも人気のNetflix、Hulu、Amazon Primeに加え、2019年には、HBO Max、Disney+、NBC Universal、Apple TV+というストリーミングサービスが開始された。CTAは、人気のコンテンツを提供するこれらのプロバイダーの登場により、SVOD(Subscription VOD、いわゆるサブスクリプション型の動画配信サービス)市場は右肩上がりで、2023年には$20.6B(206億ドル、約2兆2千億円)に達すると予測している。
ユーザーにとって選択肢が増えることは嬉しいことだが、Disney+のように、他プロバイダーへのコンテンツ提供をやめて独自チャネルとしてコンテンツを配信されると、追加の月額コストがかかることになり、ユーザーとしては頭が痛い。

2) Quibi社
Quibi社は、DreamWorks社の共同設立者でCEOを務めていたJeffrey Katzenbergさんが2018年に立ち上げた、モバイルに特化したSVODサービスを提供するスタートアップで、元HP社のCEOのMeg WhitmanさんがCEOを務める。見方を変えると、ハリウッドのコンテンツのプロフェッショナルとシリコンバレーのビジネスのプロフェッショナルがタッグを組んだSVODサービスと言える。
Quibi社が配信するコンテンツは6〜10分の”Quick Bite”と呼ばれるコンテンツで、電車の待ち時間、病院での待ち時間など、ちょっとした隙間時間に楽しむコンテンツだ。Quibi社はTVコンテンツの再配信は行わなず、タッチスクリーン、カメラ、GPS、ジャイロスコープといったMobileの特徴を活かしたコンテンツを配信する。
Quibi社が配信するコンテンツは、ランドスケープモード(横長画面)とポートレートモード(縦長画面)ではスクリーンに映る映像が異なる。Quibi社のCPO(Chief Product Officer)のTom Conradさんの説明では、AIを活用してスクリーンの向きに合わせて最適なシーンをスクリーンに表示するようになっているという。

Quibi社はWi-Fi、LTEなどのネットワークの状態に応じて、最適品質のコンテンツを配信できる仕組みになっている。その仕組みの一部を担っているのが、パートナーのGoogle社だ。Quibi社はGoogle CDNとを活用することで、ユーザーが配信速度、遅延を気にしなくても済むようにしたという。また、T-Mobile社とも提携して、シームレスなコンテンツ配信を実現している。
Quibi社は、25のデイリーニュース、175のドラマの8,500のエピソードを$4.99/mon(月額約550円、広告付き)および$7.99/mon(月額880円、広告なし)で4月から配信を開始する。
Quibi社のコンテンツは全てがダウンロード可能なため、フライト中などオフライン時でもコンテンツを楽しむことができる。
